南アルプス幾星霜
(著) 風間嘉隆
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――九州の最高峰である一九三六メートルの宮之浦岳がある島は次のどれでしょうか。
1.屋久島、2.種子島、3.奄美大島
正解は、本書「洋上のアルプス」をご覧ください。
南アルプスへの限りない憧憬と感謝を込めて、魅力を伝えるべく本気で対峙した日本の山々の記録を写真と共に残し、人生の大きな転機に北岳を心に思い浮かべその時々の決心を固めてきた、そして北岳頂上で新たな決意表明をした著者のロマン溢れる一冊である。ある人との出会いが著者の山への思いを一層深め、「冬の北岳に登った」という一つの経験が、それからの生き方の中での判断と行動への自信、日常の行動の座標軸となり、精神的に支えてくれる大きな力になった。山中心の生活となった著者にとっても、特に南アルプスには心を捉えてやまない何かがあった。四季の南アルプス登山は、体力・持久力・健康を維持し、山だけでなく日常のすべての思考と行動に好影響をもたらしている。本書には、山に魅せられた著者の限りない山への挑戦、いや人生の挑戦が詰まっている。
[目次]
第一章 南アルプスの歳月
北岳
歳月茫々
一人の儀式
鳳凰三山(観音岳)
夜叉神峠の春秋
新年の北岳を撮る
甲斐駒ヶ岳
二十一世紀の初日の出
七丈小屋の満月
黒戸尾根を登りきる
仙丈岳
新しい山靴
濃霧の山と蔵の宿
塩見岳
頂上のビバーク
南アルプスの匂い
赤 石 岳
荒川三山
山の精たち
滑 落
伊勢湾台風のあと
秋の縦走
聖岳
お前に逢いにきた
第二章 忘れ得ぬ山々
穂高岳(奥穂高岳)
嵐とそのあと
八ヶ岳(赤岳)
烈風の稜線
雪の横岳
丹沢 蛭ヶ岳
霧 氷
利尻岳
遠い山
宮之浦岳
洋上のアルプス
富士山
富士山頂からの暑中見舞
あとがき
[出版社からのコメント]
雄大で感動的な写真を用いて描写された著者の想いが詰まった本書は、時代と共に変化するその時々の気持ちが伝わり、自分も日常生活の励みや精神の支えとして何か目標を見つけ、日々健康・体力を維持しながらその目標と向き合い頑張っていきたいと思いました。人生を変えた北岳への挑戦、病気からの再起、山で出会った人や道具がもたらしたご縁、山で交わす挨拶、予想だにしなかったビバークや滑落など、山行での経験が著者の人生そのものであると感じました。本書を通して、多くの方に自分の人生を見つめなおす、また新たなことに挑戦するきっかけになっていただければ嬉しく思います。
[著者略歴]
風間 嘉隆(かざま・よしたか)
一九三三年三月、東京に生れる。小学校五年生のとき、母の郷里茨城県結城市に疎開、東京の自宅は空襲で消失。
下館第一高校を卒業し、一九五一年、三井銀行(当時帝国銀行)に入行。以後、関係会社を含めて足かけ五十年のサラリーマン生活を送る。(つきみ野支店長、本店業務推進役を経て、三井銀総合研究所取締役、さくら総合研究所取締役を歴任)
十九歳から二十二歳まで、結核による二度の長期療養を経験、健康回復のため訪れた奥武蔵のハイキングから山への傾倒が始まる。その後は山のほかにテニス、スキーなどアウトドアスポーツに、可能な限りの時間を投入する。また結婚前後、従業員組合副委員長を務める。
その後中断していた本格的な登山を、六十歳を機に再開する。同じく六十歳からオートバイに乗りはじめた。そして六十七歳で仕事を辞め、二度の日本周遊ツーリングを果たし、若い頃から漠然と夢見ていた、時間のすべてを自分のことに使うということを実現した一方で、社会的な関わりが少なくなっていくことに一抹の淋しさを感じている。
詩誌「巻きぐも」同人(一九五五年創刊時から参加)
山岳同好会「金時会」会員(岩崎元郎氏を中心とするグループ)
著書『オートバイと山と|利尻島から屋久島まで|』(文芸社 二〇〇四年)
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