危機の時代の疎開論:都市と地方をむすぶ、農業という生き方の可能性

(著) 坂根修

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作品詳細

[商品について]
―豊かさは節制の中にあり、満足は自然の与える富である―
人間にとって、最も必要なものは食糧である。しかし、そのために貨幣経済の社会の中で、金儲けのサイクルに縛られ、お金よりも大事な多くのものを失いながら生きる必要はあるだろうか。人間は土を耕し、家畜を飼い、それによって生命を維持して生きていくのが自然な生き方であって、本来、それ以上の生活もそれ以下の生活もないはずである。本書は、自立のための基盤となり、社会に翻弄させられることなく生きることができる農業こそが、政治や経済が深刻な破綻の危機を迎えている現在の日本において、私たちが選択しうる最良の手段の一つであることを、自身の体験をもとに綴った作品である。農業に携わって生きていくための方法論だけでなく、人の心も地球環境をも破壊する都市文明から脱却し、都市から地方へと軸足を移す健全な方法として示される「疎開」論は、都会と地方の共生という日本のあるべき姿を提示する一書として、示唆に富む内容となっている。

[目次]

地方で自分の国造り
一国一城の主
自給自足的零細農業のすすめ
低経済成長のすすめ 欲望の戒め
大統領の本職は零細農業
安全を求めた疎開
質素に生きれば極楽農業
テロの脅威
物質文明の誤魔化し エコもエゴにしてしまう
TPPと温暖化
ロシアのダーチャ(住居つき菜園)
農家協定
地方の農家も自給自足を考えるべき時代
地方に散れ それがバランスというもの
原発から三十キロ
生きがいこそが……人生を豊かにする
清潔病のはなし
テレビが洗脳する テレビが最大の教育者
日曜日は自分で決める 休む日まで強制はされない
節制に努めれば地方は豊か
三食食えて貧乏だろうか? 無駄を捨てれば裕福だ
月収は十五万円 それ以下で食べていければ優等生
ケチと質素
生まれたら死ぬのが運命 人間、死ななかったら大変だ
偽善……知らず知らずに他人のためという偽善
幸せは、ささやかなるをもって極上とす
ベーシック・インカム
人工知能の時代
浪費から贅沢の世界へ
贅沢と浪費
この国の資源
買わずに作るが信条 手間は楽しみのひとつ
体づくり
竹炭を焼く 効率に悪い炭から石油へ
たかがタマゴ、されどタマゴ
お返しはいつもタマゴ 野菜も……山に咲く花も
ニワトリ様々
タマゴの黄身
草養鶏
借金はダメ 借金に縛られたら自由とは言えない
豆腐屋さんと友達 廃棄物大歓迎
木材にも廃棄物あり ガッパ アンド トンコロ
不満を持てば不幸、感謝の気持ちを持てば幸福
ドエンチ・デ・バガブンド
お母さんは魔法使い ポップコーン
山は山菜の宝庫
一束、三キロ 空芯菜
果たせなかったこと
農業は生活の一部
秋野菜の虫害 西日が当たらないところに種を蒔く
コオロギの好物は米糠
野生動物の被害 ペットの野性化が怖い
高病原性インフルエンザ(鳥インフルエンザ)
バターナッツとソーメン南瓜 保存性抜群
冤罪 タマゴのコレステロール
尻つつき 鶏同士の残酷話
鶏の絶食健康法
ニューカッスル病 たくさん産ませないという選択肢
ソルゴーと欠き菜 欠き菜は一挙両得
市場原理に外れた販売 作るほうも買うほうも苦労を分け合う
豚の放牧はたまらない幸福感
畑に電気柵 電気柵はイノシシに効果
桃栗三年柿八年、柚子は大馬鹿十八年
吸い上げポンプ 九月には水が欲しい
苗の移植 移植苗のできがいい
しいたけの栽培 バター焼き、酢醤油が旨い
農機具 トラクターは贅沢か?
夏の葉野菜
幻のオクラ 輸送の都合で決まる野菜の規格
堀川ゴボウ これこそ幻だった
ネギが好き 食べるのも作るのも
玉葱にトウが立つ? 小さく育ててトウ立たず
ポパイのエネルギー源はほうれん草だった
ミニトマトと隼人瓜は雑草
ニンジンに困った 相反する二つの要素
キャベツは三回蒔く 蒔き時期を忘れがち
コーヒーの種蒔きは想像できない穴蒔き
ニンニクは元気の元
農業事始
皆農塾という研修農場
鶏舎の作り方
餌箱の作り方
産卵箱の作り方
ヒヨコの飼い方
中種の作り方
ノコクズ発酵飼料の作り方
育成飼料の作り方
農薬を使わない野菜暦
二月中下旬
〈ジャガイモの種芋の植えつけ〉
〈里芋の種芋の植えつけ〉
四月上、中、下旬
七月上、中、下旬
〈キャベツの種蒔き〉
九月上、下旬、十月
〈玉葱の種蒔き〉
〈ニンニクの球根植え〉
十一月上、中旬、下旬
〈大根、ネギ、小カブの種蒔き〉
〈絹さや、スナックえんどう、ソラマメ、ほうれん草の種蒔き〉
〈十一月、サツマイモ、里芋の貯蔵〉
ハウスの作り方
温床の作り方
一月中、下旬の種蒔き
二月上、中、下旬の種蒔き
三月の種蒔き
あとがき
著者プロフィール

[出版社からのコメント]
都市文明に慣らされた私たちが、本来の自然の中で生活するのは容易なことではありません。土とかかわり農業に携わって生きていくためには、少なからず頑健な肉体と明確な目的意識が必要となることは間違いないですが、一方で貨幣経済のサイクルから逸脱することへの不安をあおる現在の社会の空気は、若い人材を農業から遠ざけているように思います。本書は、そうした状況に一石を投じる一書として、農業に興味を持っている若い方はもちろん、資本主義経済の宿痾として生じる様々な問題に関心を持つ全ての方に、お薦めしたい内容となっています。

【著者プロフィール】
坂根 修(さかね・おさむ)
1944年東京生まれ。
1962年東京都立農芸高校卒業。
東京農業大学在学中に南米ブラジルに渡る。10年後に帰国。
2年ほどのサラリーマン生活のあと、埼玉県寄居町で営農の傍ら「皆農塾」を開く。
1989年皆農塾分室を愛媛県肱川町(現大洲市)に開設。
現在に至る。

■著書
『都市生活者のための ほどほどに食っていける百姓入門』(1985年、十月社)
『痛快、気ばらし世直し百姓の塾』(1987年、清水弘文堂)
『ブラジル物語』(1988年、清水弘文堂)
『脱サラ百姓のための過疎地入門』(1990年、清水弘文堂)
『ベーシック・インカム(国民配当)投票に行ってお金をもらう構想』(2016年、文芸社)
『日本の進むべき道 ベーシック・インカム』(2016年、文芸社)
『移民船上のわが友』(2018年、ルネッサンス・アイ)
『五つ星無料レストラン』(2019年、ルネッサンス・アイ)

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