原子力の未来 : 持続可能な発展への構想

(著) 鳥井弘之

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[商品について]
―人類は、カイバブ高原のクロオジカと同じ運命をたどるのか―
20世紀始めには約十五億人だった地球の人口は増加の一途を辿り、このままいけば2050年には100億人に達すると予想されている。一方で、地球温暖化をくい止めるために各国が温暖化ガスの排出削減に取り組み始めているいま、安易に化石燃料に頼ることは難しい時代となった。エネルギーと地球環境、この相反する2つの問題を抱える人類がとるべき道は、果たしていかなるものだろうか。こうした視点から、本書では持続可能な社会への移行の鍵となるエネルギー問題について、あらためて原子力の有効活用に目を向け、実現可能な未来への道すじとしての小型炉とこれからの原子力技術が進むべき方向性について考えてゆく。日本の原子力開発とエネルギー問題に一石を投じる示唆に富む一書。

[目次]
プロローグ  持続可能な発展を考える
「原子力の未来」の電子出版に当たって
福島原発事故
大きくなかった福島事故の影響
電力自由化と原子炉の老朽化
中国、ロシアの台頭
原子力途上国の動き
注目されるSMR(スモール・モジュラー炉)
第1章 何を視野に入れるべきか
1・1 日本の安全保障を考える
1・1・1 忘れられた安全保障
1・1・2 紛争の芽を早期に摘み取る
1・1・3 尊敬に値する国になる
1・1・4 影響力を持つ
1・1・5 世界の動きを知る、疑われない
1・2 目前に迫る制約条件
1・2・1 途上国における人口爆発
1・2・2 地球環境の行方
1・2・3 エネルギー資源は大丈夫か
1・2・4 世界は飢えるのか
1・3 現在のライフスタイル
1・3・1 エネルギー今昔物語
1・3・2 省エネを心がけても
第2章 原子力が抱える問題
2・1 反原子力を生む背景事実
2・1・1 連続した事故
2・1・2 リサイクル路線の行き詰まり
2・1・3 欧米での後退
2・1・4 高レベル廃棄物
2・2 拒否反応の根底に
2・2・1 核反応利用の不安
2・2・2 技術文明への疑問
2・2・3 安全性と技術の論理
2・2・4 位置づけ不明確な原子力
2・2・5 事業者への不信
2・2・6 生産地・消費地問題
2・2・7 電源三法に対する疑問
2・2・8 核拡散の心配
2・2・9 巨大システムへの不安
2・3 不安を助長する要件
2・3・1 情報隠し
2・3・2 マスコミ報道
2・3・3 政治駆け引きの材料になる原子力
2・3・4 インド、パキスタンの核実験
第3章 望ましい原子力技術の姿
3・1 なぜ原子力が必要なのか
3・1・1 原子力エネルギーとは
3・1・2 隔離型技術の必要性
3・1・3 原子力の環境影響
3・1・4 原子力の資源量
3・2 日本が取り組むべき原子力技術の条件
3・2・1 なぜ日本が取り組むか
3・2・2 より深い安全性の実現
3・2・3 世界に通用する技術
3・2・4 日本で実際に使える技術
3・2・5 その他の条件
3・2・6 原子力技術が備えるべき条件
3・3 なぜ今から準備が必要か
3・3・1 生活や経済の時間
3・3・2 技術開発の時間
3・3・3 なぜ今取り組むのか
第4章 注目される小型炉
4・1 小型炉のメリット
4・1・1 安全性を向上するシンプルさ
4・1・2 より深い安全の可能性
4・1・3 表面積が大きいことの利点(深い安全の可能性)
4・1・4 工場生産の可能性
4・1・5 柔軟性
4・1・6 その他の特色
4・2 小型炉の問題点と克服可能性
4・2・1 経済性
4・2・2 核拡散
4・3 小型炉の提案例
4・3・1 プリズム
4・3・2 高速小型「4S炉」
4・3・3 高温ガス炉
4・3・4 溶融塩炉「不二 FUJI」
4・4 小型炉を巡る最近の動き
4・4・1 動き始めた米国
4・4・2 動燃(現核燃料サイクル開発機構)の検討
4・4・3 日本原子力研究所のテーマ募集
4・5 小型炉と大型炉
4・5・1 大型炉の特色
4・5・2 役割分担
4・6 小型炉利用のイメージ
4・6・1 供給体制
4・6・2 利用と管理
5章 実用化に向けた課題
5・1 核燃料サイクルの整合性
5・2 国の役割、民間の役割
5・3 技術開発の方法論、マーケットプル
5・4 標準化のあり方
5・5 産業政策の必要性
5・6 国際協力のあり方
5・7 規制緩和の方向
5・8 象徴的な政策を
5・9 自然エネルギーに力を入れよう
用語集
著者略歴

[担当からのコメント]
以前に「逃げ切れる世代」というような言葉が世の中に広がったことがありましたが、持続可能な社会はこうした言葉の対極にある考え方なのだろうと思います。私たちが喫緊の課題として直面している問題を乗り越えるために何をすればよいのかということを、現実的に考えるための一助として、本書をご活用いただければ嬉しく思います。

[著者略歴]
鳥井 弘之(とりい・ひろゆき)

日本経済新聞社論説委員。文理情報短期大学客員教授。
1942年生まれ。東京大学工学部卒。同大学院修士課程修了。
69年日本経済新聞社入社。編集局科学技術部、産業部記者、論説委員等を歴任。2002年同社退職。その後東京工業大学原子炉工学研究所教授、科学技術振興機構JST事業主幹を歴任。原子力委員会専門委員、産業技術審議会委員、航空・電子等技術審議会専門委員などを務める。

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