古事記と日本書紀:古事記の凄さ、日本書紀の強さ:奄美島口で「記・紀」の世界を読み解く
(著) 配山實
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――三種の神器の草薙剣が納められている神社は次のどれでしょうか。
1.熱田神宮、2.伊勢神宮、3.明治神宮
正解は、本書 十四「八俣大蛇の正体は」をご覧ください。
日本古代史の見直しに避けることのできない「古事記」と「日本書紀」、従来の常識を超えた読み解きの力作である。本書は歴史書という共通点のみで生みの親も作成目的も異なる2史書をそれぞれの角度から比較分析していく。古事記(ふることのふみ)の謂で「古事(ふること)」を書き留めた本の表題である古事記、「古事」とは古事記序文に用いられた「帝紀及び本辞」のことである。古事は「古き倭の時代、国にとって一番重要な行事」と表現できる。日本書紀は「帝紀と本辞」を歪曲して、史書としての体裁を整え上げた、まさしく擬似史書であった。一方、古事記は日本書紀に対抗して「帝紀と本辞」を修復して置くために必要とされ作成された史書である。対照的な記紀万葉の凄さと強さを改めて読み直し、記紀の古代史を洗い直してみませんか。
[目次]
序 古事記の凄さ
古事記の凄(すご)さ、日本書紀の強(したたか)さ
一 日本書紀を糾弾した最初の人物は天武天皇
二 神世七代(かみよななよ)の意義
三 天津神(あまつかみ)と国津神(くにつかみ)
四 五柱(いつはしら)の別天神(ことあまつかみ)
五 神世七代
六 記と紀の神系列の違い
七 大八島生(おほやしまう)み神話
八 筑紫(つくし)島を女陰(ほと)に見たてた神話的宇宙観
九 受精卵の姿形が小豆(あづき)状であることを物語る児島生(こじまう)み神話
十 黄泉国(よみのくに)神話
十一 禊(みそぎ)の原義は「身削(みそ)ぎ」
十二 天照大御神(あまてらすおほみかみ)とスサノヲ命(みこと)
十三 大気津比売(おほけつひめ)神話
十四 八俣大蛇(やまたのおろち)の正体は
十五 稲羽の白兎
十六 大汝(おほなむち)・少彦名(すくなびこな)神話
十七 国譲り神話
十八 日本書紀の国譲り
十九 天孫降臨神話
二十 猨田彦大神と猨女君(さるめのきみ)
二十一 木花咲夜姫(このはなさくやひめ)物語
二十二 海幸・山幸物語
二十三 神武東征神話
二十四 神倭命(かむやまとみこと)東遷神話
二十五 神倭命艮紀行物語(かむやまとみことうしとらきこうものがたり)
二十六 亡母・娘・更に娘の胎内児(はらちぬのこ)、三人三様の神倭伊波礼毘古(かむやまといはれびこ)命
二十七 久米歌(くめうた)とタブー
二十八 弟宇迦斯(おとうかし)と吉備津彦(きびつひこ)と桃太郎
二十九 悲劇の英雄ヤマトタケル
三十 タケル物語
三十一 倭建命(やまとたけるみこと)の死の晴れ舞台
三十二 神功皇后物語
三十三 胎中神の名で討ち取られた背の君
三十四 新羅討ち神話と万葉巻十五の関係
三十五 石之媛(いはのひめ)物語と石長媛(いはながひめ)神話
三十六 胎児信仰の権化と見なされた柏
あとがき
著者略歴
[出版社からのコメント]
歴史書の中でも有名な「古事記」と「日本書紀」、読み直してみるとこれほど多くの違いがあったのかと驚嘆させられます。記紀の裏にはどのような人の思惑や動向があったのか、本書はそれを解き明かして、それぞれの視点から分かりやすく説明されています。比較対象である「日本書紀」を用いて「古事記」の素晴らしさがより一層証明されている一冊だと感じました。本書を通して「古事記」の凄さ、「日本書紀」の強さを多くの方に共感していただければ嬉しく思います。
【著者プロフィール】
配山 實(はいやま・みのる)
1937年鹿児島県奄美(あまみ)大島に生まれる。
青春時代はヨーロッパ文化に心酔し、特にドイツ哲学に魅了され、独学でハイディカーの『存在と時間』まで読破した後は興味を失い東洋の「日本学」に目覚める。先進大国になった日本を知りたいがため古典、特に記・紀・万葉の重要さに気付き「記紀発掘」をライフワークにしている。
著書に
『縄文の巫女(みこ)の道』
『倭(わ)と日本』
『奥のおくの細道』
『古事記の凄さ』
『鬼道の教典、古事記を読む』
『芭蕉と子規』
『浦島子魏伝』只今取り組み中。
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