古稀 つれづれの記: 大学・福祉・ひと三題

(著) 大沢勝

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作品詳細

[商品について]

――ヨーロッパの大学に比べて、一般に歴史が浅いものと思われている日本の大学であるが、実は意外にも長い歴史がある。その証拠である「大学寮」の文言が初めて現れる1世紀の資料はどれか。

1. 大宝律令 2. 養老律令 3. 十七条憲法

正解は、本書「国民と大学の責任」をご覧ください。

本書の著者・大沢勝は、日本教育学会の理事や『講座・日本の大学改革』の代表編著などを務め、そして現在も日本福祉大学の名誉総長として活躍する。本書は、このように日本の教育、特に大学教育において長らく重要なアクターであり続けた大沢の「大学私論」を集めて編んだものである。各私論の初出は主に21世紀黎明の前後にあたる。21世紀もすでに4分の1が過ぎ、これまでの四半世紀の大学のあり方が反省的に問われる時期を迎えた。そのような中にあって、本書は一人の大学人が21世紀の教育に何を期待していたのかを知るための資料的価値も備えている。

[目次]
まえがき
I 二十一世紀大学へのメッセージ
〈プロローグ/大学論前史〉私と大学のめぐりあい
一、私の大学論/その軌跡をたどる
1 国民と大学の責任
2 大学改革の課題
3 大学審議会「答申」と大学長期戦略の課題
4 〈鼎談〉二十一世紀の大学はどこへいくのか
5 大学をどう生かすか
[付属資料]
①大学・短期大学の規模の推移
②学習人口の現状
随 想
カナダとの国際交流・雑感
「氷河期」を生きる大学
社会変動と人材養成計画
新時代の逸材に期待する(I)
新時代の逸材に期待する(II)
一樹百獲者人也
二、大学・地域・産業の連携と生涯学習
1 『教育をどうする』大学と地域文化/共生・共創の時代をつくる
2 知多ソフィア・コンソーシアムの理想に向かって
3 二十一世紀の人材養成に挑む ―インターンシップの導入にふれて―
4 学・産・官・民連携と生涯学習
随 想
「知多半島連合都市」の夢
「臨空広園都市」への夢
WACEのことについて
LEC「大沢サロン」のこと
三、教職員と学生へのメッセージ
プロローグ・地域社会と生きる「共生と共創の時代」
1 新たな大学の創造に向って――学長就任にあたっての所信――
2 学長最初の入学式辞 昭和六十一年度 大学入学式「学長式辞」(骨格)
3 学長最後の卒業式辞 平成十年度――大学卒業式「学長式辞」(骨格)
4 大学卒業生への学長メッセージ
5 総長の就任にあたって
6 二十一世紀学園の基本戦略の構築を目指して
7 学園創立三五十周年に向けて
8 本学園を目指す青年たちへのメッセージ
II 二十一世紀長寿社会への展望
一、やさしさに満ちた人間世紀の創造――新しい産業社会システムの創出――
二、二十一世紀高齢社会を生きる/共生と共創のまちづくりをめざして(要旨)
三、高齢社会の福祉人材養成
随 想 一、高齢者と障害者/地域と暮らし
高齢者と障害者のアメニティ社会
内なる優しさに目を
活力ある行動に敬服
高齢者とスポーツ
手話は最も人間らしいコミュニケーション・アート
「嘉の会」のこと
随 想 二、いのちと健康
停煙中のひとりごと
音楽森林浴/タングルウッドの夏
無理なく生きる
人並みの臨死体験?
「幻気の会」のこと
四、二十一世紀福祉の課題
1 書評・京極高宣著『社会福祉をいかに学ぶか――社会福祉教育研究の現状と課題――』
2 「二十一世紀あいち福祉ビジョン」の策定を終えて――自立と自己実現を支える福祉をめざして――
III 人生回路をめぐる
一、ジグザグ人生を楽しむ――二十歳までの軌跡から
家族のことを話そう
二、 母への挽歌/お袋三話
1 平凡な母のこと
2 パチンコとお袋
3 お袋のシルバー青春
三、友たちへの挽歌
1 犀川・バス事故犠牲者への追悼
(1) 第三回忌・追悼法要/慰霊の辞〈学長〉
(2)桜の記念植樹に際して/学長のことば
(3)「慰霊碑」除幕式にあたって/学長の式辞
(4)犀川バス事故遭難者・七回忌追悼法要/学長・慰霊のことば――亡き友たちと集いて――
(5)犀川バス事故遭難者・十三回忌追悼法要/学長・慰霊のことば――亡き友たちと語る――
2 学友たちへの追悼の記
(1)小玉真二君への弔辞
(2)圡方康夫君への弔辞
(3)マドレーヌお春さんへの挽歌
(4)故足立省三君への弔辞
(5)草鹿外吉君への弔辞
(6)故大須賀忠夫先生遺稿集刊行のことば
(7)永田人士君・山添博一君/二人の友を偲ぶ
(8)嶋田豊君を偲ぶ/「嶋田さんと私とのこと」
3 太陽へのラブレター

[出版社からのコメント]
大学は様々な危機に晒されています。たとえば、2015年の文科省通知が発端となり、文系学部廃止の危機が取り沙汰されました。これはいわば、文系・理系の対立が先鋭化した結果といえます。しかし文理対立は古くからある問題で、本書「〈鼎談〉二十一世紀の大学はどこへいくのか」でも著者がこの問題をどう乗り越えるかを議論しています。このように本書は今に通じる話題が盛り込まれています。大学のあり方に関心のある方は、是非本書を通じて考えを深めてみてはどうでしょうか。

【著者経歴】
大沢 勝(おおさわ・まさる)

現 職: 日本福祉大学総長

■昭和六年七月十六日生れ。福岡県北九州市出身。

■福岡県八幡市立平野小学校卒業(昭和十九年)
 福岡県立八幡中学校入学(旧制、昭和十九年)
 福岡県立八幡高等学校卒業(昭和二十五年)
 八幡製鉄株式会社に勤務の後、退社(昭和二十七年)
 早稲田大学第一文学部入学(昭和二十七年)
 同大学同学部卒業(昭和三十一年)
 同大学大学院文学研究科修士課程修了(昭和三十四年)

■教育雑誌編集(昭和三十四年~三十七年)を経て、日本福祉大学社会福祉学部専任講師赴任(昭和三十七年十月)、以来、助教授、教授、および、学園事務局長、常務理事を経て、昭和六十一年十二月、学園理事長、翌六十二年一月、日本福祉大学学長、平成十一年四月、学長退任の後、日本福祉大学総長に就任、現在、名誉総長。
■この間、日本教育学会理事(昭和四十九年~六十一年)および、日本社会福祉学会理事(昭和五十二年~五十五年)、日本学術会議第一部会員(昭和五十年~六十年)、日本社会事業学校連盟会長(平成四年~五年)等の要職を歴任し、日本私立大学協会理事、東海地域インターンシップ推進協議会副会長などをはじめ、Member of the World Council(世界理事); The World Association for Co-operative Education(WACE=世界協同教育協会)として、国内外での学会活動。
 一九九九年以降、名古屋保護司選考委員会委員、愛知県社会福祉協議会会長、愛知県社会福祉審議会委員長、愛知県特別職報酬等審議会委員、愛知県厚生事業団理事、全国社会福祉協議会副会長など多数の公職につく。

■教育学、教育法学、高等教育論。最近は、研究と講演の主テーマとして「長寿社会研究」に取組み中。

■『日本の私立大学』(一九八一年)、代表編著『講座・日本の大学改革(全五巻)』(一九八二~八三年)。大沢・高木編『日本の大学教育』(一九八二年)。「大学開放のネットワークについて」(『平成六年・第十七回私立大学の教育・研究充実に関する研究会・報告書』私立大学団体連合会刊、一九九五年)。「地域から世界へ/地域文化と大学連合」(『大学創造』第四号高等教育研究所刊、一九九六)。「やさしさに満ちた人間世紀の創造」(『21世紀長寿社会への展望と我々の選択すべき道・報告書』中部産業連盟刊、一九九五年)。『「今」を懸命に生ききる』(文芸社、二〇一三年)など、著書・論文多数。

■趣味は、写真、囲碁(免状は三段、実力初段)、スキー(上級程度)、ゴルフ(初心者)、絵画(手習中)。

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