和魂和才へ:死生観からみる日本人精神文化論

(著) 三浦正弘

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作品詳細

[商品について]
―世界が期待するクールジャパンの思想―
キリスト教徒が全人口の1パーセント程度でしかない日本は、未だに明治の近代化政策の中で推進されてきた西洋の文化を至上とする考え方から抜けられないでいる。それは学問においても同様であり、欧米の学説に追従するだけで、日本の現実との齟齬を顧みない姿勢が見られる。
本書は、キリスト教に根差した西洋の文化や思想を通用させている今の日本の現状に疑問を抱いてきた著者が、借り物の方法論ではなく、日本人の生活感情に根差した方法によって学問をつくり直してゆかなければならないという視点から、日本とは何かという問題を、その死生観を中心として論述した作品である。
明治のもたらした近代が行き詰まりを見せる中、あらためて日本について考える上で、格好の一書となっている。

[目次]
はじめに
 なぜ素人なのに本などを…
 方法論を求めて
 迷い込んだ薮の中
 『城の崎にて』を分析する
 二冊の「死」のちがい
 ほか
一、『神様のボート』
 「生と死の距離」
 救世主とは「暗闇の中の一点の灯」
 「生と死の距離」は「人と神の距離」
 宗教戦争も生と死の距離が原因
 『神様のボート』を読む
 ほか
二、『死の川のほとりにて』
 堀さんの死生観
 堀さんと陶淵明の共通点
 陶淵明の死生観
 死を日常化できなかった淵明
 原罪・性悪説は死の恐怖の変形したもの?
 ほか
三、トルストイと椎名麟三
 汎神論にもいろいろの段階(ギリシャと日本の差)
 椎名麟三とトルストイの信仰のちがい
 復活だけに期待する椎名麟三
 正統からはずれた椎名麟三…その裏には
 「身体的痛み」が恐怖の元…椎名麟三
 ほか
四、ヘッセ  カミュ  サン・テグジュペリ
 カミュの死生観
 『ペスト』の中に見られる死生観
 カミュと性善説
 「日本の母」は積極的・「欧州の母」は消極的
 サン・テグジュペリの死生観
 ほか
著者略歴

[出版社からのコメント]
明治政府が日本の近代化を急ぐ中で、母国語を英語にしようという提案があったことは知られていますが、国際化が叫ばれる現代の日本においても似たような動きが出るのは興味深いことです。自国がいかなる国であるかということを理解しない限り、近代化や国際化という名の模倣は絶えることはないのかもしれません。本書を通じて多くの方が日本について、あるいは日本が発信すべき文化や思想について考える機会を持っていただければ嬉しく思います。

【著者プロフィール】
三浦 正弘(みうら・まさひろ)
昭和二〇年 兵庫県生まれ
昭和四四年 国学院大学文学部卒業
昭和四七年 国学院大学修士課程修了
昭和六一年 兵庫教育大学修士課程修了
      忠臣蔵の資金米を復興させる会代表

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