多久家文書にみる『葉隠』の時代【電子書籍版】

(著) 片倉日龍雄

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作品詳細

[商品について]
―古文書の奥深い森の向こうから顔をのぞかせる人々―
佐賀県多久市の市立郷土資料館に所蔵されている近世多久家に関する古文書・古記録「多久家文書」。総点数2900点に及ぶそれらの大半は、『葉隠』の中の出来事や逸話の対象となっている16世紀末~18世紀初頭と同時代のもので、極めて貴重な地域史料群である。そこには、剛直な「葉隠武士」像とはかけ離れた軟弱な武士や、その時代の多久地域に生きていた人々のありのままの姿が記録されている。本書は、そうしたこれまでの人物像や地域像とは異なる、当時の武士や庶民たちの現実感あふれる諸相の一端を、多久家文書を読み解く中から拾い上げ紹介した九篇の小論を収めた作品である。

[目次]
はじめに
近世多久家
多久古文書の村と多久古文書学校
多久家文書にみる『葉隠』の武士たち
「御屋形日記」の「武士」、「武士道」
「水江臣記」の武士たち
「申し分け」する武士たち
事務官僚化する武士たち
弱者に寄り添う「慈悲」
常朝が考える「慈悲」
『葉隠』の中の「慈悲」
「御屋形日記」にある「慈悲」の事例
隣人愛互助の「慈悲」
女たちの立身
鳥巣甚右衛門の妻と娘
多久領納所村百姓茂右衛門の妻と娘
茂右衛門妻と娘の江戸行き決まる
女たちの立身
家系図の中の「拝領妻」
パラダイムシフト時代の武士たち(一)
供応を求められた多久の上士
公儀体制の浸透
パラダイムシフトの進行と多久の武士
人生指南書としての『葉隠』
多久長門茂矩の隠居
多久茂矩突然の隠居を命じられる
『葉隠聞書校補』の考証
「御屋形日記」でたどる隠居の経過
茂文を慈しんだ茂矩
「御父子様御意」による多久領統治
「生類憐み」の時代
忠実に順守した小城藩主鍋島元武
佐賀本藩は元武の申し入れを断る
将軍綱吉の真意を伝える御触書
佐賀本藩のゆるやかな方針
多久領における実態
多久領周辺の状況
藩境紛争を解決した民間外交
佐賀藩多久小侍番所と唐津藩厳木との交流
抜け道を通って相互往来
藩境侵犯発生
権太左衛門の腹芸が成功
「弁財公事」の影響
パラダイムシフト時代の武士たち(二)
主家に敵対した先祖を自慢する多久会所役
主君名代の寺参を断った上士たち
新しい時代への不適応
多久茂辰の挑戦「問題手頭」
磨かれざる宝石的文書群「肥陽旧章録」
多久茂辰と佐賀藩重臣との論争「問題手頭」
父親世代の大物と論戦
相互信頼に基づく論戦
論議深まらなかった借銀問題
模範答案的報告書
附 録
『御屋形日記』第三巻、第四巻、第五巻の「解題」
第三巻 解題
史料構成と人脈
「生類憐み令」の地域における実情
記事の分類
下多久水出入究め
「内證差閊え」の進行
「年行司」の仕事
寺社関係と商工業関係
不成功に終わった銀山開発
第四巻 解題
史料構成と人脈
多久領統治意思決定の構造
領主茂文の苛立ち
末端までの指示徹底を求めた藩主鍋島光茂
北嶋覚左衛門預かり
「生類憐みの令」への対応
近親者や抱え主の申し出により領分払い
武芸者の凋落
寺社参詣の盛行
御用商人のモラル低下
第五巻 解題
史料構成
多久領の統治メンバーと関係人脈
有力家臣八人が領主名代の寺参を断る
村々で付加税の増徴
百姓たちの集合、連判が批難される
多久や唐津で禁令違反の猪狩
「殺生」の語には漁労や狩猟の意味もあった
預かり人の処遇に苦慮する多久家
コラム 佐賀藩の「御年行司」
コラム 御屋形日記の「…通」
コラム 「みいら」のこと
コラム 多久へ登る、佐嘉へ下る
解説  史料集という森に深く立ち入る
多久家文書にみる『葉隠』の武士たち
弱者に寄り添う「慈悲」
女たちの立身
パラダイムシフト時代の武士たち(一)
パラダイムシフト時代の武士たち(二)
多久長門茂矩の隠居
「生類憐み」の時代
藩境紛争を解決した民間外交
多久茂辰の挑戦「問題手頭」
附録『佐賀藩多久領 御屋形日記』の解題
コラム
あとがき
著者略歴

[出版社からのコメント]
古文書や古記録はその時代の人々や社会についての生の情報を得ることができるものですが、そうした史料に直接あたるのは難しいという方は、ぜひ本書を通じて葉隠の時代の空気を楽しんでいただければ嬉しく思います。

【著者略歴】
片倉 日龍雄(かたくら・ひるお)

多久古文書の村 多久古文書学校教務主任
佐賀県文書館をつくる会事務局担当

昭和10年(1935)佐賀県多久市に生まれる。
昭和26年(1951)南多久村立南多久中学校卒業。同年、電気通信省熊本電気通信学園に入学しモールス通信士の訓練を受ける。その後、電気通信省、電電公社、NTT、NTTドコモの各機関に勤務。
平成8年(1996)NTTドコモを退職。同年、佛教大学通信教育部(史学科)に入学し、平成12年卒業。
平成8年(1996)多久古文書学校に入学し、現在に至る。

【主要執筆論文】
「解題」『佐賀藩多久領御屋形日記』第三巻~第五巻(九州大学出版会、多久市教育委員会)
「解題」『佐賀藩多久領御家中寺社家由緒書』(岩田書院)
「近世後期、佐賀地方における情報流通について―弘化・嘉永期の商人日記を中心に―」(『九州国際大学国際商学部論集』第12巻第1号)
「幕末期佐賀藩の海外情報収集と対応-籌邊新編をめぐって-」(『幕末佐賀科学技術史研究』第1号)
「佐賀藩の情報収集と意思決定-天保~嘉永期を中心に」(『幕末佐賀藩の科学技術』岩田書院)

【表彰】
平成28年(2016)長年の地域古文書の解読・解明による地域貢献活動に対して、一般財団法人逓信同窓会から、「大河内賞」を受賞。

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