婦唱夫随の野良作業:定年退職後の目耕録

(著) 山本鎭雄

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作品詳細

[商品について]
―里山で、畑を耕し、作品を耕す―
大学を定年退職後に選んだのは、妻が相続した200坪の畑に通いながら過ごす晴耕雨読の人生。東京と山梨を行き来しながら慣れない野良仕事に励み、収穫の喜びを味わい、農にまつわる本を読んでものを書いて過ごす。そんな時間は、やがて目の前の風景の奥にある「農」そのものの考察へと著者を誘ってゆくーー三島由紀夫の絶筆となった長編小説『豊饒の海』第二巻の『奔馬』から、ユニークな発想と考察が示唆に富む徳野貞雄の『農村(ムラ)の幸せ、都市(マチ)の幸せ』まで、野良仕事に汗を流し土と格闘しながら書物と向き合う半農文人の日々を綴った農と文学のエッセイ。

[目次]
はじめに 晩秋のある山狭村の文学散歩――三島由紀夫『奔馬』に寄せて――
第一部 農の史的点描
 第一章 徳冨健次郎著『みみずのたはこと』を読む(岩波文庫、一九三八年)
 第二章 山川菊栄著『わが住む村』を読む(岩波文庫、一九八三年、初版、一九四三年)
 第三章 有賀喜左衞門著「炉辺見聞(ろばたけんもん)」(一九四八―一九七一年)を読む(『有賀喜左衞門著作集Ⅹ巻』収録、未來社、一九七一年)
 第四章 きだみのる著『にっぽん部落』を読む(岩波新書、一九六八年)
 第五章 深沢七郎著『百姓志願』を読む(毎日新聞社、一九六八年)
 第六章 杉浦明平著『農の情景―菊とメロンの岬から―』を読む(岩波新書、一九八八年)
 第七章 守田志郎著『対話学習 日本の農耕』を読む(農山漁村文化協会、初版一九七九年)
第二部 農の危機と再生
 第八章 小島麗逸著『新山村事情』を読む(日本評論社、一九七九年)
 第九章 山下惣一著『農から見た日本』を読む(清流出版、二〇〇四年)
 第十章 井上ひさし著、山下惣一編『井上ひさしと考える 日本の農業』を読む(家の光協会、二〇一三年)
 第十一章 金子勝編『食から立て直す旅―大地発の地域再生―』を読む(岩波書店、二〇〇七年)
 第十二章 エドワード・レビンソン著『ぼくの植え方――日本に育てられて』を読む(岩波書店、二〇一一年)
 第十三章 伊藤礼著『耕せど耕せど―久我山農場物語』を読む(東海大学出版会、二〇一三年)
第三部 里山へのまなざし
 第十四章 内山節著『里の在処(ありか)』を読む(新潮社、二〇〇一年)
 第十五章 藻谷浩介・NHK広島取材班著『里山資本主義―日本経済は「安心の原理」で動く―』を読む(二〇一三年、KADOKAWA)
 第十六章 田中淳夫著『いま里山が必要な理由(わけ)』を読む(二〇一一年、洋泉社、改訂版)
 第十七章 徳野貞雄著『農村(ムラ)の幸せ、都市(マチ)の幸せ――家族・食・暮らし』を読む(二〇〇一年、NHK出版、生活人新書)
おわりに
著者略歴

[担当からのコメント]
里山や日本の農業の未来を考えるとき、自分がどこにいてそれをするのかということは、実はとても大切なことではないかと本書を読みながら思います。農関連の書籍ガイドとしても、土の上からの農業論としてもお楽しみいただける本書、ぜひ手に取ってご覧ください。

[著者略歴]
目耕:目で紙田を耕す。読書することを譬えて言う(『世説新語』)
山本鎭雄(やまもと・しずお)
日本女子大学名誉教授
主な著書:『西ドイツ社会学の研究』恒星社厚生閣、『社会学的世界』恒星社厚生閣、『社会学』日本女子大学通信教育事務部、『現代社会学のエッセンス』(共著)恒星社厚生閣、『現代社会学の諸相』(フランクフルト社会研究編=訳書)恒星社厚生閣、『社会学的冒険』(ディルク・ケスラー=訳書)恒星社厚生閣、『新明社会学の研究―論考と資料―』(共編著)時潮社、新明正道著『ドイツ留学日記─一九二九─一九三一年─』(編集)時潮社、『時評家 新明正道』時潮社、『新明正道―綜合社会学の探究―』東信堂、他

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