安楽死から尊厳死へ:法と社会の関わりにみる人の「死」と歴史的変遷

(著) 宮野彬

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作品詳細

[商品について]
ー「人間らしく」生き、「人間らしく」死ぬとはどういうことか ー
近代社会は、生命尊重の理念のもと、誰もが人為的な干渉を受けることなく、その生命を全うできることを前提としている。
しかし今、耐えがたい苦痛の中で生きることに対して、人道主義的な立場から「安楽死」を肯定するという考え方も生まれている。
人の「死」は、哲学や宗教、倫理、医学など様々な分野に関わる根源的な問題である。
本書は、「安楽死」および医学の進歩によって考えられるようになった「尊厳死」という生と死の狭間にある問題を、歴史、社会、法を含む社会科学の視点から鳥瞰しようとする作品である。
今なお結論を見ないこの問題に対して、論点を明確にし、より深く考える上で有用な一書となっている。

「目次]
はしがき
第一章 緒論
 第一節 生命の神聖さの原理
 第二節 安楽死思想の台頭
 第三節 医学の進歩と尊厳死の出現
 第四節 問題の所在
第二章 安楽死から尊厳死への歴史的変遷
 第一節 第一九世紀まで
 第二節 一九二〇年代まで
 第三節 一九三〇年代
 第四節 一九四〇年代
 第五節 一九五〇年代
 第六節 一九六〇年代と一九七〇年代の半ばまで
 第七節 一九七〇年代の半ば以降
第三章 安楽死と社会と法
 第一節 生命短縮の危険を伴う苦痛緩和の医療処置にもとづく死
 第二節 消極的安楽死
 第三節 積極的安楽死
 第四節 回復不能の身体的損傷を解決するための死の惹起
 第五節 安楽死の立法問題
第四章 尊厳死と社会と法
 第一節 尊厳死に関する判例と学説の動向
 第二節 尊厳死に関する立法の概要
補 遺
あとがき
著者略歴

[出版社からのコメント]
安楽死や尊厳死の問題は、いかに生きいかに死ぬかという人間の本質に関わる重要な議論であり、容易に結論の出る問題ではありません。それは人の生死がその人特有のものである、という点からくる難しさということもできます。各人が自らの問題として考えつつ、社会全体としてこの問題とどう向き合っていくのか、近代社会の原理を維持しながら生きやすい社会をどの様に実現していくのか、この困難な問題について有意義に議論をするための一助として、本書をご活用いただければ嬉しく思います。

[著者プロフィール]
宮野 彬(みやの・あきら)
略歴:1933年東京に生まれる。
1957年中央大学法学部卒業。
1963年東京大学大学院博士課程終了。
鹿児島大学法文学部講師・助教授を経て,現在,明治学院大学法学部教授。
主要著書:『安楽死』(日経新書,日本経済新聞社,昭51),『刑事訴訟法100問』(共著,蒼文社,昭53),『刑法入門』(共著,有斐閣新書,有斐閣,昭54)

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