島根・鳥取のわらべ歌

(著) 酒井董美

Amazon

作品詳細

わたしがわらべ歌や民話の収録と研究に入ったのは、昭和35年(1960)の初めだった。そして今日まで半世紀余りが経過した。当時、中学校教師だったわたしとしては、勤務の傍ら、はじめは自転車、まもなくバイク、やがて軽自動車にテープレコーダーを乗せて古老訪問を続けたものである。わたしの活動範囲は、勤務の制約もあって主として山陰両県(島根・鳥取)である。
 ところで、本書の内容は『朝日新聞』地方版(島根版・石見版、一部、鳥取版)に「山陰のわらべ歌」として平成12年(2000)4月1日から16年1月31日にかけて、毎週1回150回にわたり連載したのをベースに、多少手を入れたものである。西暦年号を( )で加えたり、平成の大合併で変わった収録地名を修正したりした。それは本書の歌を研究資料にしようとする方のことを考えたからに他ならない。
 ところで、紙の本では音声を聴くにはCDが別に必要だが、電子書籍のおかげでクリックさえすれば、収録当時の音声が聴けるところに本書の良さがある。もっとも長年の間に保存したカセットが壊れ、テープ破損で声が再生できなかったり、不注意で録音テープを紛失したのもあり、再生できないものは省いたので、結局129曲に縮小せざるを得なかった。収録当時は音声を発表することなど考えられもしなかったので、わたしが古老を誘導している声が含まれている場合もあるが、これも収録現場の雰囲気が伝わっていると理解いただきたい。(まえがきから)

【著者プロフィール】
酒井 董美(さかい・ただよし)

昭和10年生まれ。松江市出身。
昭和32年、島根大学教育学部中学二年課程修了。玉川大学文学部卒業(通信教育)。島根県下の中学校・高等学校に勤務した後、大学に転じた。山陰両県の口承文芸を収録・研究している。平成11年、島根大学法文学部教授を定年退官、鳥取短期大学教授となり、平成18年退職。その後、24年3月末まで松江市大庭町の出雲かんべの里館長を務めた。昭和62年第27回久留島武彦文化賞受賞。

主要編著書(口承文芸関係)
『石見の民謡』 − 山陰文化シリーズ19 −西岡光夫氏と共著(今井書店)
『島根のわらべ歌』尾原昭夫氏と共著(柳原書店)
『鳥取のわらべ歌』尾原昭夫氏と共著(柳原害店)
『山陰の口承文芸論』(三弥井書店)
『山陰のわらべ歌』(三弥井書店)ほか多数
『向かい山猿が三匹とおる』−石見の民話・民謡・わらべ歌 −(ハーベスト出版)
『島根の民謡』 −謡われる古き日本の暮らしと文化 −(三弥井書店)
『ふるさとの民話』全15巻完結(ハーベスト出版)、ほか多数

新刊情報

22世紀アート
オフィシャルコーポレートサイト

百折不撓