明日へ続く道元禅ー天地がままに坐す:継承するその心と道元禅師の世界

(著) 髙橋全隆

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作品詳細

[商品について]
―法孫に受け継がれるその営みが、道元禅師のこころを今に伝える―
道元禅師を法統の祖とし、瑩山禅師を寺統の祖とする日本曹洞宗は、北陸の永平寺と能登の總持寺を基点として一万数千余の末寺をもつ全国的な教団に発展した。しかし本来坐禅を第一とする道元禅師の仏法は出家至上主義であり、そこからは必ずしも教化や拡大の指向は導き出されない。では教団はここまで隆盛し、その原動力となったものは何であろうかーー道元禅師の仏法が瑩山禅師、峨山禅師へと相承されていった日本的展開の様相を、道元禅師の思想や生涯、日本における禅仏教の歴史とともに考察した法灯をつなぐ論考集。

[目次]
はじめに
一 鎌倉仏教の特色 ―三つの思想と仏教―
鎌倉新仏教と末法思想
鎌倉以後の仏教――三つの心の思想――
人生観と三本柱の仏教
お寺の三つの修行と登竜門
寺院の四つの役割
寺院の使命
二 道元禅の存亡の危機 ――永平寺三代相論――
道元禅の日本的展開
曹洞宗の成立と五老峰――五老峰崇敬と師檀和合――
三 『総持寺中興縁起』の三つの鎮守 ――白山・山王・行基――
四 白山天台と密教
總持寺の朝課「転読大般若」
『理趣経』の本質
三つの発生論
五 山王は天台教学 地獄の思想
『往生要集(おうじょうようしゅう)』八つの地獄
餓鬼・畜生・阿修羅・人間・天の世界
源信が語る浄土の世界
地獄と極楽の出会い
地獄思想の人間洞察力
無明の闇に勝つ光 法然上人
死の美学から生の思想へ 親鸞上人
煩悩の嘆きを語る親鸞上人
末法を見る眼
二つの極楽浄土の世界
東西の地獄思想
六 心の思想 禅仏教 ―唯識から禅仏教―
行基菩薩の生涯と福田思想
定賢律師(行基菩薩)と交替瑩山禅師
新命總持寺二祖峨山禅師―總持寺讓与―
峨山禅師大いに禅風を振う―道元禅相承門人五百羅漢を育つ―
七 放光地蔵・観音二菩薩の救済
弥勒下生の変化仏――現世利益と庶民信仰――
弥勒化身の多様な救済
放光観音無限の変化――すべての生けるものへの畏怖心――
放光菩薩と十輪院三世仏
放光地蔵菩薩の慈悲
道祖神・遊行神の役割を引きつぐ放光地蔵
八 釈迦如来像の日本的受容 ――仏像の誕生・歴史的人格から超人格的仏へ――
總持寺仏殿――悟りより救いを――
九 道元禅師の生涯
道元禅師の出生(しゅっしょう)の秘密
女性を利用する宮廷政治家・源通親(一説久我通親)
出生のかげりと孤独
母への思慕と父への憎悪
出家の動機
入宋して正師如浄(にょじょう)禅師にめぐりあう
師如浄禅師との忘れ残り『宝慶記(ほうきょうき)』
身心脱落――独創的誤解か――
空手での還郷
深草(ふかくさ)閑居と激揚(げきよう)の時を待つ
越前入山と日本達磨宗の謎
鎌倉行化いかりの謎
もう一つの謎 上洛と入滅
峨山禅師(がさんぜんじ)の遺偈(ゆいげ)――高祖・太祖の遺偈とともに――
十 道元禅師の思想
『普勧坐禅儀(ふかんざぜんぎ)』の世界
曹洞宗二大宗典『正法眼蔵』と『伝光録』
摩訶不思議な世界『正法眼蔵(しょうぼうげんぞう)』
一生の問い――仏性は有か無か――
有仏性のミミズとは
無仏性のミミズとは
無常仏性の展開
道元禅師における三つの世界
三つの仏性とは
玄沙の明珠と華厳思想
有時(いうじ)。永遠は時間のなかにある
上智下愚を論ぜず
受用如意ならん
付記二 『普勧坐禅儀(ふかんざぜんぎ)』口語訳
あとがき
著者プロフィール

[担当からのコメント]
本書は道元禅師や禅に興味のある方であればどなたでもお楽しみいただける内容ですが、修行の中でこそその言葉をより深くより輝きのあるものとなるに違いない、そんなことを思わせる一書となっています。法灯に親しむ方もそうでない方にとっても示唆に富む本書、ぜひご一読ください。

[著者プロフィール]
髙橋 全隆(たかはし ぜんりゅう)

1937年仙台市に生まれる
駒澤大学仏教学部卒業
同大大学院人文科学科修了
曹洞宗宗学研究所所員(昭和39年~同44年)
大本山總持寺安居(昭和44年~同47年)
大本山總持寺宝物殿司(昭和50年~平成12年)
京都松蔭寺住職
静岡長光寺住職
現在(2015年)長光寺東堂

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