男役の行方:正塚晴彦の全作品【電子書籍版】

(著) 天野道映

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作品詳細

[商品について]
―時代の潮流の中に生きる男役―
100年以上続く女性だけで構成された宝塚歌劇団の花形とされる男役は、歴史的産物であり、観客の胸に宿る理想像であり、その時々の社会思想の上で初めて成立する存在である。男性でも女性でもない、この「男役という第三の性」はどのようにして生まれ、どこへ向かっているのかーー演劇評論家として宝塚を観つづけてきた著者が、『モン・パリ』をはじめとする歴史的な三作品と、鋭い感覚で新しい時代の男役の行方を彼の作品の中に込めた演出家・正塚晴彦の全作品から男役の意図を読み解きその行方を探った『宝塚の快楽』に続く論考集。

[目次]
まえがき
男役という性
『モン・パリ』―倒錯のエロチシズム
『ベルサイユのばら』―オスカルの長髪
『エリザベート』―男役の消滅
正塚晴彦の全作品
正塚晴彦作品年表
Ⅰ-1『暁のロンバルディア――愛が甦るとき』自己否定の思想
Ⅰ-2『イブにスローダンスを』過去の呪縛の強さ
Ⅰ-3『アンダーライン』プレイバック
Ⅰ-4『テンダー・グリーン』心を開くこと
Ⅱ-1『パペット――午前0時の人形たち』人生の教師
Ⅱ-2『WHAT'S THE TITLE…!』名歌手卒業
Ⅱ-3『BLUFF(ブラフ)――復讐のシナリオ』弔い合戦
Ⅱ-4『ロマノフの宝石』パンドラの箱
Ⅱ-5『銀の狼』友と別れる朝
Ⅱ-6『メランコリック・ジゴロ――あぶない相続人』カーニバルの後に
Ⅲ-1『二人だけの戦場』男と女の絆
Ⅲ-2『WANTED』来世まで
Ⅲ-3『LAST DANCE』時の流れ
Ⅲ-4『ブラック・ジャック 危険な賭け――手塚治虫原作より』権威との闘い
Ⅲ-5『ハードボイルド エッグ』作風の転機
Ⅲ-6『二人だけが悪(ワル)――男には秘密があった そして女には…』タンゴは一人では踊れない
Ⅲ-7『バロンの末裔』エロスと社会
Ⅳ-1『FAKE LOVE――愛し過ぎず 与えすぎず』イエスタデイ
Ⅳ-2『SAY IT AGAIN――「ヴェローナの二紳士」より』結婚詐欺
Ⅳ-3『デパートメント・ストア』不況のさなかに
Ⅳ-4『ブエノスアイレスの風――光と影の狭間を吹き抜けてゆく…』男役の潔さ
Ⅳ-5『Crossroad――すれ違うばかりじゃやりきれない』生きていく十字架
Ⅳ-6『Love Insurance(ラブインシュランス)』二十世紀のジゼル
Ⅳ-7『Practical Joke(ワルフザケ)――ってことにしといてくれよ』非婚の夢
Ⅳ-8『カナリア』愛は心中の出来事
Ⅴ-1『追憶のバルセロナ』出会いと別れ
Ⅴ-2『Romance de Paris』ローマの休日
Ⅴ-3『La Esperanza(ラ・エスペランサ)――いつか叶う』ペンギンのように
Ⅴ-4『BOXMAN――俺に破れない金庫などない』伝説のコンビ
Ⅵ-1『BourbonStreet Blues』ジェームズ・ディーン
Ⅵ-2『スカウト』秋葉原事件・元厚生次官襲撃事件
Ⅵ-3『ホテル ステラマリス』ゲーシュ
Ⅵ-4『愛するには短すぎる』騎士道物語
Ⅵ-5『マジシャンの憂鬱』観客の夢
Ⅵ-6『マリポーサの花』男役の行方
あとがき
[著者略歴]

[担当からのコメント]
観客の多数が女性である宝塚歌劇団は、レビューと男役によって独自の芸能形式を作り上げました。その中でも特に「男役」の果たす役割は大きく、演出家が手がける作品では男役が歴史や社会背景から影響を受け大きな変化を遂げています。本書は、時代によって移り変わる男役の変遷を、社会性と人間の愛、サスペンスを基調とした政治と愛の絡み合う作品を世に送り出し続けている正塚晴彦の全作品から解読していきます。宝塚が好きな人はもちろん、演劇ファンにもお楽しみ頂ける一冊です。

[著者略歴]
天野道映(あまの・みちえ)
1936年生まれ。東京大学文学部仏蘭西文学科卒、朝日新聞記者を経て演劇評論家著書に
『舞台はイメージのすみか』『宝塚のルール』(いずれも朝日新聞社)、『宝塚の快楽――名作への誘い』(新書館)ほか

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