祈りのように:岩谷征捷の文学世界Ⅱ

(著) 岩谷征捷

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作品詳細

[商品について]
―それでも、饒舌の、背後には、暗い、沈黙が、ある。―
古井由吉『夜明けの家』を題材に、主人公たる「言葉」と「死者たちの声(肉声)」によって成り立つこの連作集から最初の一編、「祈りのように」を取り上げ、多様な語りのなかで死の闇をとらえ、死をめぐる物語と思索を紡いでゆく評論「祈りのように」、村上春樹『海辺のカフカ』の登場人物・田村カフカにスポットをあて、「図書館」という《場、トポス》に集結するモノガタリへの考察から、長らく近代科学や西欧中心の価値観から逃れられなかった日本の文学を伝統回帰させようとした点に、村上文学の新たな位置づけを見いだすエッセイ「カフカ少年の図書館」など、前作『ゆきあひ』に続き、未発表作品を含む10篇の評論・エッセイを収めた岩谷征捷作品集・三部作の第二弾。

[目次]
茂木氏の場合
雲に鳥
カフカ少年の図書館
こんにった! 丸谷先生
島尾敏雄と少女
祈りのように
きのう、夕光の赤い屋根
川上富三先生墓参記
今年はまた雪が多いんだヮ
饒舌な臨終

[出版社からのコメント]
エッセイは比較的気軽に読めるジャンルというイメージもありますが、書き手の顔が見えやすいという点で小説とは異なる楽しみもあります。そのエッセイが文学を対象として書かれた時、そこには対象となる文学作品の顔が書き手と共に現れてくる様に思います。本書を通じてそんな奥の深い世界を楽しんでいただければ嬉しく思います。

【著者プロフィール】
岩谷征捷 (いわや・せいしょう)
1942年、北海道生まれ。國學院大學文学部文学科卒。
主たる専門領域は、日本文学評論・小説。
主な著書
『島尾敏雄論』近代文藝社、1982年
『大江健三郎、イーヨー譚の生成』亜細亜文庫、1991年
『島尾敏雄私記』近代文藝社、1992年
『島尾敏雄事典』(共著)勉誠出版、2000年
『芥川龍之介大事典』(共著)勉誠出版、2001年
『近代文学作品論集成・死の棘』(共著)クレス出版、2002年
『中有の旅・岩谷征捷初期短編小説』亜細亜文庫、2003年
『桜花爛漫羅利骨灰・岩谷征捷自撰短篇小説』晃栄社文庫、2005年
『父と兄の時間 - 戦後小説を読み解く( 電子書籍)』株式会社22世紀アート、2018年
『ゆきあひ - 岩谷征捷の世界』株式会社22世紀アート、2019年

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