私たちの心づもり:原爆被爆者が語る自分らしい人生の過ごし方

(著) 有田健一

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作品詳細

[商品について]
彼らは、最後まで自らの生を全うできただろうか。
彼らは、最後まで人生を自分らしく生きることができただろうか。
それを知るためには、彼らの人生に踏み込まなければならない。
本書は、呼吸器領域の専門医である著者が、医師として、一人の人間として、全ての人間が抱えるこの命題に向き合った挑戦の記録である。
最後まで自分らしく生きようとする、その最も具体的な存在として、著者は原爆被害者を選んだ。突如として人生の進路変更を余儀なくされた彼らが、自分らしい生を取り戻すために、これまでどの様に生き、これからどの様に生きていくのか、その人生に踏み込むことで「老い」の中で自分らしく生きる、その本質を見定めようとする。
本書の試みは、全ての人が尊厳を持って生きる寛容な社会を実現するための最初の一歩であり、その一歩は私たちそれぞれが死と裏返しの生を考えることで未来に向かって歩き始めるだろう。
市民社会に生きる私たちが、いま何をすべきかを考える上で必読の一書。

「目次]
はじめに
第1章 自分らしく生きるということ
(1)自分らしく主体的に生きるために
(2)伝えるべきことを伝える
(3)吉田章(ふみ)枝(え)の被爆証言
(4)被爆証言者との面談
第2章 被爆者の人生の語りを聴くために
(1)被爆者の語りに執着するわけ
(2)面談への参加と対話内容の扱い
(3)被爆前後の社会情勢
第3章 話し始めた被爆者
(事例1)世の中の人に知ってもらいたい(被爆時年齢17歳、女性)
(まとめ:老いの道筋と時間の流れ具合)
(事例2)とにかく老衰のように、そのまま自然に(被爆時年齢17歳、女性)
(まとめ:人生の目標とそれを達成するための思い)
(事例3)パステルカラーが似合う場所(被爆時年齢17歳、女性)
(まとめ:今後の医療への希望や思いを語ること)
(事例4)家族の絆から離れつつ、一人で旅立つ日のために(被爆時年齢14歳、女性)
(まとめ:生きる安心感に支えられた人の道)
 他
第4章 前を向いて、自分の人生は自分で決める
(1)よみがえる被爆者の思い
(2)アドバンス・ケア・プランニングへの期待
(3)被爆者の語りから受け取るもの
おわりに
付録 質問用紙〝私の心づもり〟の記載内容のまとめ
文献
著者略歴

[出版社からのコメント]
タイムリミットが近づいた生というものは、年若い人々には想像もできない世界です。それは死ぬことが生きることであるということを、否応なく感じる世界でもあるからです。
しかし想像力の欠如は、断絶以外の何ものも生み出しません。他人への感受性は市民社会の根幹であり、私たちはそれを言葉によって実現してきました。本書に収められた人生は、その感受性の結晶ともいえるものです。本書を通じて、多くの方が身近な人の生と死を感じ、なすべきことをなすためのきっかけとなることを願います。

【著者プロフィール】
有田 健一(ありた・けんいち)
1949年 広島県東広島市安芸津町生まれ
1981年 広島大学大学院医学研究科修了 医学博士
1984年 米国City of Hope国立医学研究所研究員
1990年 広島赤十字・原爆病院呼吸器科部長
2008年 藍綬褒章受章

現在   総合病院三原赤十字病院呼吸器内科医師
安田女子大学客員教授
広島原爆援護事業団臨時嘱託医師
学会活動 日本結核・非結核性抗酸菌症学会、日本呼吸ケア・リハビリテーション学会でそれぞれ功労会員
日本肺癌学会、日本呼吸器内視鏡学会で特別会員
日本呼吸器学会専門医・日本感染症学会専門医ほか
社会活動 広島労働局石綿関連疾病協議会座長ほか

著書
1.肺機能による評価.内科学(朝倉書店、1987)
2.ろう石肺、酸化鉄肺.産業内科学.循環器系/呼吸器系(医歯薬出版、1988)
3.運動と呼吸機能.新生理科学大系、17呼吸の生理学(医学書院、2000)
4.出会い織りなす風景.緑地帯2012上巻(中国新聞社、2012)
5.気管支拡張症、嚢胞性肺疾患 内科学書第9版(中山書店、2019)ほか

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