行動する考古学:国を超え時代を超える知的冒険を楽しむ

(著) 髙倉洋彰

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作品詳細

[商品について]
―人類の軌跡をたどる総合科学、考古学という魅惑の世界へようこそ―
発掘調査によって得られた遺跡や遺構、遺物などの考古資料を対象に研究を進める考古学では、考古資料からいかに豊かな情報を取り出しうるかという研究者の力量が大きな鍵となる。本書は、九州大学で考古学を学び、九州歴史資料館への勤務を始め長く考古学研究に携わってきた著者が、研究の王道とでもいうべき「知学問」から見聞による「目学問」「耳学問」まで、日頃の研鑽の成果を如何なく発揮して書き上げた論考や記事、講演などをまとめた作品である。古代稲作文化、観世音寺、キリシタン文化などこれまでの研究はもちろん、考古学生活や自らオタクという博物館へのこだわり、博多の食文化についての自説も開陳しながら、考古学の楽しさと難しさを存分に語る。未知なるものへの探究心とロマンが詰まった一書となっている。

[目次]
国際交流の考古学
Ⅰ 国際化の遺跡
Ⅱ 国際交流の精華・弥生文化
一 稲穂の実る農村の出現
二 仕事を効率化させた金属器の存在
三 日常生活の革新
四 身分の格差の出現
五 列島文化の中国化
Ⅲ オウの誕生
Ⅳ 国際文化学のなかの考古学
V 碣石宮と徐福
Ⅳ 兎は月で餅をつく
Ⅶ 寧波をさわがす日本人
Ⅷ 南方世界との交流の門戸としての琉球
一 貿易陶磁の道
二 将棋の道
三 班布の道
現地踏査は知識の泉
Ⅰ 旅・ヒラメキ・苦吟
Ⅱ 赤飯と赤酒
一 赤飯の起源
二 赤酒の起源
Ⅲ 魔除けの鏡
Ⅳ 中国・中原の古代を旅して
Ⅴ 慶州で大宰府を考える
観世音寺の甍と鐘
Ⅰ 観世音寺の創建期について
Ⅱ 観世音寺戒壇と延暦寺戒壇
Ⅲ 馬頭観世音菩薩の慈悲と忿怒
Ⅳ 中世観世音寺の隆盛と衰退
一 観音信仰の寺としての中世観世音寺
二 中世観世音寺の様相を示す発掘調査の成果
三 子院四十九院の成立
四 観世音寺の衰退と復興
Ⅴ 観世音寺宝蔵
九州国立博物館の誘致と開館
Ⅰ ミュージアム・グッズの楽しみ
Ⅱ これからの博物館像とは
Ⅲ 博物館のある街の景観
Ⅳ 二つの国立博物館の誕生
Ⅴ 『ミュージアム九州』に集った研究者たち
一 岡倉天心、そして藤井功と岡崎敬
二 『ミュージアム九州』の果たした役割
三 九州国博基本構想調査研究委員会の活動
四 編集委員会の仲間たち
Ⅵ 九州国立博物館開館一年に思う
大学博物館の必要性
Ⅰ 大学博物館への期待
一 大学博物館の必要性
二 減少を続ける博物館の入館者
三 博物館の館種別入館者数の推移
四 博物館の設置面積
五 博物館の開館状況
六 入館者を増やすための歴史博物館の事例
七 市民と連動する大学博物館
Ⅱ 大学の知性の象徴・大学博物館
Ⅲ 西南学院大学博物館設置の意義
聖嶽洞窟遺跡事件の解明
Ⅰ ふたりの大人
Ⅱ 九州の考古学と賀川光夫先生
一 賀川先生との出会い
二 九州考古学の一大画期――聖嶽と須玖岡本の発掘
三 賀川先生の縄文農耕論
四 弟子思いの側面
五 聖嶽洞窟事件を考える
Ⅲ 聖嶽洞窟遺跡に関する問題の所在と検証
一 問題の発端
二 別府大学「聖嶽問題検討委員会」の調査
三 聖嶽洞穴遺跡問題連絡小委員会の設置
四 聖嶽洞穴遺跡問題に関する調査検討委員会の活動
五 聖嶽洞窟遺跡の検証報告
キリシタン文化研究事始め
Ⅰ 景教僧文青磁壺(古青磁貼花神父像長壼)
Ⅱ 踏絵の一形態 紙踏絵の紹介と検討
はじめに
一 紙踏絵とは
二 紙踏絵の資料
三 これまでの紙踏絵の評価
四 実物資料としての紙踏絵の意義
硬軟の考古学
Ⅰ 交差年代決定法による弥生時代中期・後期の実年代
一 AMS年代測定法による弥生時代の年代観
二 考古学による相対年代の決定法
三 銅鏡を用いた弥生時代の実年代の決定法
四 弥生時代の実年代
五 各期および各小期の時間幅
六 交差年代決定法による弥生時代の実年代の検証
Ⅱ 博多の夜は屋台で飲もう
図版の出典
著者略歴

[出版社からのコメント]
考古学がどこか人を惹きつけてやまない魅力を持っているのは、かつてインディ・ジョーンズがスクリーンの中で暴れまわった探究と冒険の興奮を、現実の知のフィールドで体感できるからなのかも知れません。豊かな想像の翼をひろげて、ぜひ本書の中にある知の冒険をお楽しみください。

【著者略歴】
高倉洋彰(たかくら・ひろあき)

1943(昭和18)年5月11日,福岡県朝倉市に生まれる。
筑紫丘高校,九州大学文学部卒業,九州大学大学院文学研究科博士課程修了。九州歴史資料館技術主査を経て,西南学院大学文学部教授。国際文化学部教授。現在,名誉教授文学博士。

【著書】『弥生時代社会の研究』(東出版寧楽社,1981年),『日本金属器出現期の研究』(学生社,1990年),『弥生』(光文社文庫,1991年),『金印国家群の時代』(青木書店,1995年),『大宰府と観世音寺』(海鳥社,1996年),『交流する弥生人』(吉川弘文館,2001年),『箸の考古学』(同成社,2011年),『行動する考古学』(中国書店,2014年),『見聞考古学のすすめ』(雄山閣,2018年),『金印国家群的時代』(中国・上海古籍出版社,2019年),『中国D級グルメの旅』(花乱社,2019年)

【編著】『観世音寺』(淡交社,1981年),『日本における初期弥生文化の成立』(文献出版,1991年),『太宰府市史―考古資料編―』(太宰府市,1992年),『西区は歴史の博物館』(福岡市西区役所・海鳥社1995年),『太宰府市史―通史編1―』(太宰府市,2005年),『AMS年代と考古学』(学生社,2011年),『大学的福岡・博多ガイド』(昭和堂,2012年)

【共訳書】『図説中国古代銅鏡史』(中国書店,1991年)

ほかに論文多数。

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