野口英世とロックフェラー医学研究所の濾過性ウイルス研究

(著) 鳥山重光

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作品詳細

[商品について]
―ウイルス研究のパイオニア的役割を担ったロックフェラー医学研究所と野口英世―
本書は、ロックフェラー医学研究所における梅毒菌の培養や黄熱病など濾過性病原体の人工培養にかかわる研究を中心に野口英世の事跡を追った前著『黎明期のウイルス研究』に続き、ロックフェラー医学研究所の研究者たちが、初期のウイルス研究に如何に貢献していたかを中心に、野口英世の貢献を新たな視点で捉えようと試みた作品である。
研究者たちが苦闘を続けた濾過性ウイルスの培養等を通じて、ウイルス研究の大局的な展開を明らかにし、細菌パラダイムからウイルスパラダイムへの転換について知るうえで参考となる一書となっている。

[目次]
はじめに
1.野口英世とS.フレクスナーの病原体、濾過性ウイルスの培養への執念
i フレクスナーのポリオ(小児麻痺)ウイルス研究
ii コンスタンティン・ルヴァディティのウイルスの培養
2.ロックフェラー医学研究所(Roc医研)の変革
i トーマス・リバース(Thomas Rivers)をRoc医研・付属病院のウイルス研究リーダーに採用
ii Roc医研 植物病理学部門(プリンストン市)を新設
3.T.リバースの著書、『濾過性ウイルスFilterable Viruses』の概要―ロックフェラー医学研究所のウイルス研究
4.野口英世とトーマス・リバース
5.追悼 野口英世と黄熱病 (Yellow Fever) 病原体の研究
6.W.スタンレーがタバコモザイクウイルスの結晶化に成功、生物界に新風
7.Roc医研、トーマス・リバースの濾過性ウイルス研究
8.濾過性ウイルスの正体:T.リバースにとって、何が、どこが難解だったのか?
9.「The messenger lectures」(1943)にみるT.リバースとW.スタンレーのウイルス観の埋まらない溝
10.ウイルスパラダイムの世界を初めて開示したW.M.スタンレーのウイルスの世界
コラム1:ウイルスの種(Species)概念
コラム2:イネを襲ったウイルス病の制圧
あとがき
謝辞
主な参考資料
追記 中山茂が描いた野口英世像:その検証

[出版社からのコメント]
偉人の伝記の人物として登場していた野口英世について、近年ではその研究成果だけでなく人間像についても様々なアプローチがなされていますが、研究者であったその功績はウイルス研究の歴史において重要なひとつの道標となることは間違いないだろうと思います。未知のものとの戦いに命がけで挑んだ研究者たちの事跡のうえに私たちは立っているということを、当時の時代の空気を感じながらぜひ味わっていただければ嬉しく思います。

【著者略歴】
鳥山重光(とりやま・しげみつ)

1939年生まれ。青森県現むつ市出身。
県立田名部高等学校卒,東京農工大学・農学部卒。
東京大学大学院農学系研究科博士課程修了,農学博士。
1968-1986年,東京大学農学部(文部教官助手)
1977-1978年,オランダAgricultural University, Wageningen(Dept. Virology)に留学。
1986-2000年,農業生物資源研究所,農業環境技術研究所(環境生物部,上席研究官)。
2001年-2010年,明治大学農学部生命科学科(非常勤講師):ウイルス学概論,植物ウイルス学,大学院特論担当。

主な研究業績内容:「イネ科植物のウイルス病とウイルスの分類学的研究」,「植物ラブドウイルスと転写酵素」,「イネ縞葉枯ウイルスの精製と病原性に関する基礎的研究」,「イネ縞葉枯ウイルスの糸状粒子に付随したRNAポリメラーゼ」,「日本産テヌイウイルスのゲノム解析;Tenuivirus属ウイルスの系統関係」,「遺伝子組換えイネ作出(共同研究)」など。
1999年,日本植物病理学会賞受賞。

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