閑居暇なし:ショート・エッセイ集【電子書籍版】
(著) 藤森靖允
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親父は、八十八の秋を名残に、人生を終えたが、晩年、その生涯を振り返って、こう言った。
「生まれてこの方、あっという間だったが、七十代が一番良かった」
古稀になって、自分もそうなるか、と期待していたが、いつの間にか、時が過ぎ、気が付けば、もう七十代も後半。今年は、喜寿を迎える。
英語でも、この年代を「ゴールデン・セブンティーズ」と言うらしいが、まだ、親父のような実感はない。だが、一つだけ良い、と思ったのは、会社時代と違って、時間を自由に使える事。
自由時間を得て、旅もゴルフもしたが、書く事もした。書き始めたら、上手くなろうと欲が出て、早稲田エクステンション・センターで、「文体論」を学び、「エッセイ教室」に通った。そんな事を通じ、書き綴ったのが、本著である。
会社を卒業して、十五年余り。仕事をしない生活にも、すっかり慣れた。本来なら、サンデー毎日で、長閑な日々を過ごしている筈なのに、とも角、何だかんだと忙しい。まさに、「閑居暇なし」である。
さて、歳を取ったら、「大人気ない事をすべし。そうすれば、長生きする」と教わった。駄文を本にする事なども、この範疇に入るかもしれない。それでも、自分にとっては、五冊目の本。相変わらずの身辺雑記だが、今回は、「短く、軽く」を心掛けた。
各々の話に、繋がりはない。順番もないので、目次や挿絵を見て、興味を持たれたものがあれば、それを拾い読みしていただけたら、これに勝る幸せはない。(まえがきから)
【著者プロフィール】
藤森 靖允(ふじもり・やすみつ)
1942年東京生まれ。
1965年慶應義塾大学商学部卒業。同年東レ株式会社入社。海外事業を中心に大半を国際畑で過ごす。その間、経営企画や国際法務の経験もする。
1978年から2年間ロンドンに駐在。
2003年退職。
著書に
『いろいろにコスモポリタン』
『楽しみはアフター・エイトに』
『もっと知りたいイギリス』
『グッド・オールド・デイズ』
『朗読と映像でたどるイギリスの旅』(DVD)などがある。
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