障害者の問題を考えるうえで大切なこと――思考を変革し、健常者問題として捉えなおすための14講

(著) 堀利和

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作品詳細

[商品について]
―社会が人を障害化する、その「社会」とは何か―
本書は、障害ないしは障害者の存在を障害者「問題」すなわち社会問題として把握し、障害者側ではなく健常者ないしは健常者の社会に問題があると捉え、社会科学としての障害学として、障害者問題の本質を障害者の問題とはかかわりがないような分野も射程に入れて、あらゆる角度から分析することによって、障害者の存在論を解明しようとする試みである。固定観念を排し、障害者問題を解決するために必要となる健常者と社会の意識の変革を促す一書として、類書のない内容となっている。

[目次]
はじめに
第一講話 障害をとおして偏見と真実を考える
第二講話 障害をとおして人間関係の意味を考える
第三講話 障害を引き受ける共生の社会を考える
第四講話 世界に類のない日本だけの盲人史
第五講話 障害に関することば、障害政策・運動の展開
第六講話 障害者の〝働く〟を考える ――一般雇用と社会的事業所
第七講話 自立・平等・社会的配慮
第八講話 異形と障害の間を考える
第九講話 自己否定と自己肯定を超えて
第十講話 共生・共働の四〇年 斎藤縣三
第十一講話 障害者が生きるには、地域を丸ごと変える ――障害者との出会いと交流の四〇年の自分史的検証 伊藤 勲
第十二講話 共に学んでひびき合う 北村小夜
第十三講話 社会の中の精神病・精神障害を語る ――精神の病をもった家族を抱えた者の立場から―― 滝沢武久
第十四講話 全盲母親の子育て奮闘記 水出智津
まとめ 今、なぜ障害者解放論か
おわりに

[出版社からのコメント]
障害というとき、この「害」という言葉は何を意味しているのか、私たちは普段あまり考えることはありませんが、障害者問題について考えてみると、この「害」は社会が障害者と呼ばれる彼らになしているものを意味しているのではないかと思えます。この問題を人間の問題と捉える本書の視座を通じて、多くの方に福祉だけにとどまらない思索の時間を持っていただければ嬉しく思います。

【著者略歴】
堀 利和(ほり・としかず)
一九五〇年、静岡県清水市生まれ。
小学校就学直前に、薬害による難病で失明。小学校四年生二学期に静岡県立静岡盲学校小学部に転校。東京教育大学附属盲学校高等部卒。明治学院大学卒。その後、日本社会事業学校卒。民間保育園保父(二ヶ月)、養護学校スクールバス添乗員(一年半)、大田区点字講習会講師(週一、十年間)などの後、一九八九~九五年、参議院議員(日本社会党)。一九九八~二〇〇四年、参議院議員(民主党)。立教大学コミュニティ福祉学部福祉学科兼任講師、現在、特定非営利活動法人共同連顧問、『季刊福祉労働』(現代書館)編集長。

<著書>
詩集『相剋』(一九七四年)
『障害者と職業選択』共著 三一書房(一九七九年)
『生きざま政治のネットワーク』編著 現代書房(一九九五年)
『強制社会論──障がい者が解く「共生の遺伝子」説──』現代書館(二〇一一年)
『初めての障害者問題──社会が変われば「障害」も変わる──』現代書館(二〇一三年)
『障害者が労働力商品を止揚したいわけ──きらない わけない ともにはたらく──』社会評論社(二〇一五年)
『アソシエーションの政治・経済学──人間学としての障害者問題と社会システム──』社会評論社(二〇一六年)
『私たちの津久井やまゆり園事件 障害者とともに<共生社会>の明日へ』社会評論社(二〇一七年)
『障害者から「共民社会」のイマジン』社会評論社(二〇一八年)
『私たちは津久井やまゆり園事件の「何」を裁くべきか 美帆さん智子さんと、甲Zさんを世の光に!』社会評論社(二〇二〇年)
『障害社会科学の視座──障害者と健常者が共に、類としての人間存在へ』社会評論社(二〇二〇年)
『重度障害者が国会の扉をひらく!──木村英子・船後靖彦の議会参加をめぐって』社会評論社(二〇二一年)

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