鳥取発!青谷の遺跡の骨物語

(著) 井上貴央

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作品詳細

[商品について]
―発見された弥生人の脳はどのように保存されていたでしょうか―
1、冷凍保存  2、氷温保存  3、ホルマリン溶液保存
正解は、本書 第3章の「弥生人の脳発見」をご覧ください。

鳥取県鳥取市青谷町に弥生時代の遺跡がある。本書は、その青谷上寺地遺跡で発掘された骨について、実際に発掘に携わった鳥取大学名誉教授の井上貴央氏が執筆したものである。青谷上寺地遺跡は、世界でも数少ない脳の発見で有名だが、本書においてはそれにとどまらず、人骨が語る戦いの傷あとや病、風習さらには、動物の骨などについても調査・検討の過程とともに記されている。骨を通して当時の人々の生活を垣間見ることができる本書は、骨に秘められた数多くの情報に驚き、骨に親しむことができる一冊となっている。

[目次]
第一章 ヒトの骨
 弥生人骨発掘への序曲
 つながりのある骨
 ファジーな性
 私、青谷のサウスポー?
 出産のあかし
 あしの骨の断面
 時を超えた「うんち座り」
 テクテク青谷の弥生人?
 よみがえる弥生の顔──復顔
 頭と顔の韓国ドラマ
 花をたむけし人々
 ミトコンドリアDNAの輪
 由来をめぐる二人の対決
 古人骨の血液型
 背の高い人々
 弥生人の前歯
 骨の卒業写真
第二章 戦いを物語る骨
 傷ついた人骨──戦いの証
 ごみの中から宝物──銅鏃の刺さった寛骨
 鏃の正体
 鉄(アイアン)と青銅(ブロンズ)
 殺戮(さつりく)のシーン
 傷つけられた子供たち
 殺し屋集団のワークショップ
第三章 弥生人の脳
 弥生人の脳発見
 脳の「都落ち」
 脳のレプリカ
 脳の神経回路ネットワーク
第四章 里山の動物・やまの幸
 時代変われば品変わる──イノシシ肉かシカ肉か
 骨まで愛して、髄までも
 イノシシ骨格究明検討会
 イノシシくんとイノシシさん
 イノシシの家畜化
 シカの革、イノシシの革
 鹿角の四季
 消えた骨のなぞ
 森の熊さん
 ニホンカモシカと『因伯産物薬効録』
 サイコロの骨
 ムササビの毛皮
 「兎追い」の謎
 青谷の弥生犬と山陰柴犬
 描かれた動物の正体
 人を化かす動物たち
 ネズミのキャラクター
 姿を見なくなった動物たち
 頭や顔に現れる性差
第五章 海の動物・うみの幸
 赤いタイと黒いタイ
 タイのタイ
 フグは食べたし・・・
 「のど」にある歯
 マグロの季節
 骨の有効活用
 線刻画の魚の正体は?
 夏と私のサメ騒動
 青谷特産、夏のイワガキ
 イカはいたか?
 漂着したウミガメ
第六章 空飛ぶ鳥・鳥取のトリ
 鳥取県のトリの骨
 アルバトロスの舞台
 いぼの並ぶ骨
 ハマナスと海鳥
第七章 骨に残された病や風習
 日本最古の結核
 結核の来た道
 骨の健康診断
 前後に長い頭
 青谷弥生人の寿命
 人骨から探る食生活
 折れた骨に骨を折る
 関節痛の季節
 抜歯の風習
 歯の刺さった木製品
 シカ占いを訪ねて
 イノシシを捧げた秋祭り?
 イヌの特異な歯槽膿漏
 オオカミのペンダント
第八章 青谷の骨をめぐって
 傷ついた人骨の怪
 骨の色の移ろい
 完成した骨の分布図
 墓穴を掘る試掘調査
 僕らは「骨・ほね探偵団」
 対決の数々
 悲しい骨にはしたくない
 高架下の展示館
エピローグ
アンコールに応えて再登場
私の「青谷の遺跡の骨物語」年表

[出版社からのコメント]
人骨を扱った刑事ドラマなど、骨をテーマにした作品は多く、骨から得られる情報をご存じの方も多いと思います。しかし、古代人の発掘された骨となると未知の世界ではないでしょうか。当時の戦いや生活の様子を知ることへのロマンは尽きません。また、当時の人の食料となった動物や魚の骨などは、古代からのメッセージです。ご自身が発掘した骨への敬意と愛着を持った著者のこの一冊をぜひお楽しみください。

【著者】
井上貴央(いのうえ・たかお)

鳥取大学名誉教授。医学博士。形態学が専門で、細胞・組織学の研究のほか、発掘人骨・動物骨の同定に従事。ニホンアシカの研究も。

人体骨格のペーパークラフト・ブック『ボーニー』、翻訳書として『カラー人体解剖学』、『生命ふしぎ図鑑 脳のしくみ―4億年の歴史を探る―』、『生命ふしぎ図鑑 脳とからだ―運動,感覚,思考のひみつ―』など。

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