
ヒトの「平等」はサルの「平等」と何が違うのか――人類学的・進化論的観点からの平等論
(著) 寺嶋秀明
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[商品について]
―「平等」の概念は、哲学ではなく自然科学によって明らかとなる―
「自由」とともに近代を特徴づける概念である「平等」は、理想とすべき特定の社会的価値として論争の的となっている。しかしどのような状態が真に「平等」といえるかについては、未だ明確な答えは得られていない。本書は、この「平等」という難問に対して人類学的および進化論的な観点からアプローチを試みた、霊長類における社会と平等の進化論である。人の平等をサルの平等と重ね合わせ「平等」の根源的な姿を探求しながら、人類における平等の観念に新たな視点をもたらす知的冒険の書。
[目次]
まえがき
第一章 平等を求めて
1 平等、この大切なもの
2 平等のレトリック
3 平等はややこしいか
4 分配の平等をめぐって
5 平等、もう一つの姿
第二章 素朴平等論と狩猟採集社会
1 素朴平等論
2 狩猟採集社会
3 権威と物
4 狩猟採集社会の多様性
5 不平等を畏懼する社会
6 平等の「脱自然化」
第三章 霊長類社会と平等・不平等
1 霊長類学の誕生
2 社会構造から平等・不平等へ
3 行動から見た平等と不平等
4 遊びと平等
5 闘争と和解
6 食物分与のもつ意味
7 平等論の新展開
第四章 サルの平等から人の平等へ
1 人間社会における平等
2 サルと人の接点
3 公平と平等
4 分配行動のもつ意味
5 アクションとしての平等・不平等
6 平等の機能
第五章 平等を支える認知能力
1 石器時代の平等革命
2 トマセロ理論の評価
3 意図と心の理論
4 自己と他者との同一視
5 黄金律と平等の論理
第六章 平等と社会の進化
1 平等の原点
2 霊長類における平等の系譜
3 平等と群れのパフォーマンス
4 平等の長期戦略
5 進化の産物としての平等性
あとがき
平等論、10年後のあとがき
危機の時代に突入した人類―「わけわけ」の心で世界を救う
Ⅰ わけることからはじまった人類の社会進化
Ⅱ 危機の時代に入った地球、生き延びる道はあるか?
Ⅲ 地球1個分の生き方―持続可能な社会へのチャレンジ
あとがきのあとがき―「わけわけ」の復権
文献一覧
著者略歴
[担当からのコメント]
子供の頃、おやつの分け方を巡って喧嘩をしたり不満を持ったりした経験がある方も多いでしょう。実は意識していなくても、その根底には平等というものが隠れています。本書では「平等」とは何かという古くて新しい問いに、生物としての人間という存在に立ち返って迫りますが、それは人間とは何かを問う理性の旅路でもあるように思います。私たちが抱える様々な問題への糸口として、ぜひ本書を多くの方にご活用いただければ嬉しく思います。
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