古今短歌エッセイ:名歌に学ぶ人生の知恵(二)

(著) 久米建寿

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作品詳細

[商品について]
―人間と人間を直接に結びつける人生の文学―
「三十一文字」、「みじかうた」といわれ、感情を表現する叙情詩として、日本人の息づかいにとって、きわめて自然な長さであるといわれる短歌。本書は、これまで短歌に馴染みのなかった方にも、短歌の素晴らしさを知ってもらい、また親しんでいただくために、身近な人生と密着した古来の名歌を選び、独自の三部構成で編んだ作品である。歌壇や専門歌人からは一段低いものとみられてきた道歌や教訓短歌を積極的に取り上げ、日本人が生活の中で悟り伝えようとした「生きる知恵」を紹介した第一部、生涯の最期において人生を窮極の一首に凝縮させて表現した、遺詠や辞世集を収めた第二部、時代の変革期に生まれ、時代を導いた日本を代表する歴史上の大物の詠作を集めた第三部を合わせ、約430首の名歌を収録する。異色の分類別・詞華集(アンソロジー)として、また鑑賞や作歌、人生の参考書として、お楽しみいただける内容となっている。

[目次]
凡 例
序にかえて―― 短歌と日本人 三十一文字に託した生きる知恵も
〝宇宙短歌〟と宮中歌会始
五句三十一音の定型短詩
古典和歌につらなる短歌
庶民の生活の知恵と道歌
人生を映す名歌
第一部 名歌人生訓 ――人生短歌、道歌、教訓和歌にまなぶ――
一 赤ちゃん――赤ん坊は天才である
二 母――海より深い母の愛
三 親と子――親子は一世の縁
四 ことば――物も言いようで角が立つ
五 友情――「朋(とも)有り遠方より来る亦(また)楽しからずや」
六 努力精進――為せばなる……
七 読書――心を養う活字とのつきあい
八 時…光陰――〝時よ止まれ、君は美しい〟(ファウスト)
九 恩を感じる――四恩に報いる
一〇 恋愛――恋は思案のほかけ舟
一一 結婚――合縁(あいえん)奇縁の結びつき
一二 家庭――家族は最小の社会集団
一三 世の中――人の口に戸は立てられず
一四 足るを知る――欲は無際限「吾唯知レ足」
短歌コラム(著者拙詠) 乾坤抄――永遠なれ 美しく青き われらの地球
一五 耐え忍ぶ心――辛抱する木に花が咲く
一六 こころ――心は闇にあらねども
一七 親に孝――孝行(こうこう)をしたい頃には……
一八 朝起き――朝起き正直はたらき
一九 健康を保つ――養生のすすめ
二〇 酒――〽酒は涙か溜息か……
二一 笑いをさそう歌――「笑う門ここだここだと福の神」
二二 金銭…財――それにつけても金の欲しさよ
二三 貧困…貧苦――貧の病の処方箋
二四 運命――運命はこのように扉をたたく
至誠抄――讃仰 世界の四大聖人
二五 苦と楽――泣くも一生、笑うも一生
二六 信仰――鰯の頭も信心から
二七 神明の道――日本民族のバックボーン、神道
二八 老年――超高齢社会に処するために
二九 死――人生最期の刻にのぞむ
三〇 今日という日――一日一生、一日生涯
千歳抄(一)――讃 世界1000年の巨人たち
第二部 類聚名歌選 ――歌集抄、御詠歌抄、辞世、遺詠、その他――
三一 万葉名歌 選抄 ――七世紀、皇子たちの悲劇
三二 歴代皇后 御歌抄
三三 西国(さいごく)三十三所 御詠歌抄 ――近畿の観音霊場(巡礼札所)
三四 四国霊場八十八カ所 御詠歌抄 ――弘法大師 修行の足跡をたどる
三五 震災 歌詠抄
三六 戦国武将 辞世抄 ――群雄割拠、乱世の英雄たち
三七 赤穂義士 辞世抄 ――泰平の世の仇討ち美談
三八 幕末維新志士 遺詠抄 ――幕末動乱期の英傑たち
三九 昭和陸海軍名将 遺詠抄 ――大戦に殉じた悲劇の将軍、提督
四〇 神風特別攻撃隊員 遺詠抄 ――祖国に殉じた若鷲たち
千歳抄(二)――讃 世界1000年の巨人たち
第三部 名家名詠集 ――異色歌人の世界――
四一 伝教(でんぎょう)大師 最澄(さいちょう) ――比叡山を開いた日本天台宗の開祖
四二 菅原道真(すがわらみちざね) ――学問の神様 天満の天神さん
四三 紫式部(むらさきしきぶ) ――千年前に世界的文学「源氏物語」を著した才媛
四四 法然(ほうねん)上人 ――日本浄土宗の開祖 親鸞上人の師
四五 道元(どうげん)禅師 ――永平寺を開いた孤高の天才的宗教人
四六 日蓮(にちれん)上人 ――蒙古来寇を予言 日蓮宗の開祖
四七 蓮如(れんにょ)上人 ――文書布教のパイオニア 浄土真宗中興の祖
四八 豊臣秀吉(とよとみひでよし) ――日本史上の出世頭 天下人・太閤さん
四九 徳川家康(とくがわいえやす) ――〝葵〟の威光で太平へ 江戸幕府開創、東照大権現
五〇 白隠(はくいん)禅師 ――近世禅宗界の最高峰 日本臨済宗中興の祖
五一 平田篤胤(ひらたあつたね) ――「平田国学」を大成 明治維新の思想的原動力に
五二 二宮尊徳(にのみやそんとく) ――勤倹力行を説いた経世家 〽手本は二宮金次郎……
五三 吉田松陰 ――萩・松下村塾で個性教育 維新回天の志士らを育成
五四 明治天皇 ――文明開化と富国強兵 日本の近代化を主導
五五 昭憲皇太后(しょうけんこうたいごう) ――明治天皇を支えた皇后・一条美子
五六 大西良慶(おおにしりょうけい)和上 ――京都・清水寺の名物和尚 わが国初、五つ子の名付け親
五七 山本五十六(やまもといそろく) ――対米戦反対唱えつつ 開戦の火蓋を切った悲運の提督
五八 岡本(おかもと)かの子 ――小説と仏教評論 岡本太郎画伯の母
五九 宮沢賢治(みやざわけんじ) ――法華文学を志向「雨ニモマケズ…」の詩人・童話作家
六〇 三島由紀夫(みしまゆきお) ――昭和文学の華麗なる鬼才 憂国の士として警世の自決
あとがき
本書の文庫本化にあたって
著者略歴

[出版社からのコメント]
人の心は人の心からしか学べないとすれば、はるか昔から人の心を映し出してきた和歌は、私たち日本人にとって何よりの教科書であるのかも知れません。本書を通じて、和歌の魅力と学びの時間を多くの方に楽しんでいただければ嬉しく思います。

[著者略歴]
久米 建寿(くめ・たけひさ)

・昭和11年(1936)、兵庫県神戸市出身、関西大学文学部卒、宝塚市在住
・㈲人間医学社にて「月刊・人間医学」誌を編集
・明治東洋医学院専門学校に学び、鍼灸師免許、および教員資格取得
・松下電工㈱に入社、「月刊・健康」その他を編集
・昭和49年~ 明治東洋医学院専門学校・専任教員。この間「月刊・東洋医学」を編集、傍ら月刊コラム、人物評伝、「名歌人生訓」等を執筆
・平成13年~30年 平成医療学園専門学校にて専任教員。宝塚医療大学講師
・短歌結社・あけび歌会、不二歌道会に所属、作歌にはげむ
・著書―『東洋医学の革命児―平田内蔵吉の生涯・思想・詩』(1995、たにぐち書店)
・  ―『名歌人生読本』①②(2000、2009、文芸社)
・編著―『平田式心療法―熱鍼快療術』平田内蔵吉著(1996、たにぐち書店)
・  ―『坐の研究』平田内蔵吉著(2003、たにぐち書店)

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