歌集 昼の銀河

(著) 升田隆雄

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作品詳細

[商品について]
―言葉が現実の薄皮を切り裂いたとき、その向こうには何がある―
乗せてゐるヒトとかかはりなきことよ 二兆回目を回る地球の
光みちて見えざるものか死に近き ひとのこころと昼の銀河は
憂ひなく気負ひもあらず七錠の 抗癌剤(ゼローダ)をのめば新たなる夏
生ふと終ふ二つのあひにひと世なる 言の葉さはに茂りてゐたり
家族、戦争、いのち、ホスピス――医師として、歌人として、手に触れ心で感じてきた情景を詠んだ455首を収めた、『間氷期』に続く第二歌集。
【令和2年度中日短歌大賞受賞作品】

[目次]

舗道
マンションの窓
背すぢ伸びゆく
焰かきたて
夜の鏡に
カラスノエンドウ
海の風景
和音に浸り
豊橋の春
目をしばたかせ
たたかはず
おろかなること
東山の森
夜気のかぐはし
歳月の河
沸き騰がる
しまなみ海道
冬の岬
楽浪海中
指を折り

鏡の欠片
鎹として
村医を忘れず
長き戦後を
友の賀状
まなこ冴えゆく
天皇機関説
はさはさと
蛙ならざる
疎開児の夏
春の小川
夏の余韻
昼の銀河
凜と立つ
トレモロを聴く
螺旋のさまに
残響もなく
花のひとひら
反射のみにて
夕霧の

花冠
新たなる夏
いい日旅立ち
よき赤を
ゆるらかに
秋風の川
諸橋に
昏き奈落
脳リハビリ
夢違へ得ぬ
月の沙漠
あ と が き
著者略歴

[担当からのコメント]
死んだ人に対する想い、遠く離れた人に対する想い、それらは三十一文字の言葉にのってやがて祈りの詩となっていく、本書にはそんな短歌の力を感じさせる作品が収められています。生きることの意義が問われる今だからこそ、お薦めしたい一冊です。

[著者略歴]
升田 隆雄(ますだ たかお)

1935年 横須賀市生まれ(山口県出身)
1960年 名古屋大学医学部卒業
2005年 「まひる野」入会
2008年 第53回まひる野賞受賞
2012年 第1歌集『間氷期』刊行

国立病院機構豊橋医療センター緩和ケア病棟非常勤医

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