
河のほとりに佇みて: 歌集
(著) 赤荻孝明
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斉藤茂吉先生は、ご自身を〝あかあかと一本の道とほりたりたまきはる吾の命なりけり〟と歌われたが、私は自身の命を「河」に因って象徴する。
歌聖・斉藤茂吉先生と比較しようとするのではない。私という極めて凡愚な一個の人間を「河」に因って表徴するのである。それは余りにも混沌とした私のひとすじの「河」である。
雨季によっては私の内部の汚濁が氾濫し、真夏の太陽の下、あるいは酷寒の早魃においては私の心も涸れ、また飢えて、それから思いだしたように求め、彷徨うのである。
自然の四時のごとく整然たるものではなく、混迷に充ちた一個の人間の拙い記録ではある。
【著者プロフィール】
赤荻 孝明(あかおぎ・こうめい)
昭和六年、千葉県生まれ。
昭和二十六年、山口茂吉先生の結社「アザミ」に入会。
昭和三十二年、「アザミ」を退会後、隣村本埜村在住の
歌人吉植庄亮先生主宰の結社「橄欖」に参加。
庄亮先生没後、数年で退社。
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