
なぜ人は、神と物語を必要とするのか――歴史・宗教・創作から見つめる人間の心
(著) 安田員壽
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神様は、最初から「神様」だったのか。
もしかすると、かつて地上を生きた王や有力者が、人々の記憶の中で祭り上げられ、長い年月を経て神として語られるようになったのではないか――。
そんな独自の着想を出発点に、神話・歴史・宗教・異世界創作の奥にある「人間の心」を見つめた一冊。
アマテラスや大国主をはじめ、日本神話に登場する神々は、争い、迷い、厳しい決断を重ねる。その姿は、清らかで遠い存在というよりも、権力を持ち、国を治めようとした人間の姿に近いのではないか。
本書では、国譲りを飛鳥時代の出来事として捉え、アマテラスに持統天皇の姿を重ねながら、国の形が変わるとき、人々が何を失ったのかを想像していく。
そしてまた、なぜ人は危機の時代に強い言葉を求めるのか。
蒙古襲来、日蓮の『立正安国論』、ヨハネの黙示録。戦争や疫病、飢饉を前にした人々は、宗教の言葉に救いと答えを求めてきた。
宗教は人を支える一方で、政治や権力と結びつけば、人を縛る力にもなり得る。人はなぜカリスマ的な人物を絶対視し、神のように祭り上げてしまうのか。本書は、古代や中世の出来事を通して、現代にも残る人間の恐れや弱さを考える。
著者は、企業で働き、日々の生活を整えながら、頭の中に浮かぶ異世界を少しずつ文章にしてきた。人間関係の難しさ、努力しても報われない苦しさ、怒りとの向き合い方。現実の中で経験した一つひとつが、創作する世界の奥に流れている。
異世界とは、現実から逃げるための場所ではない。
国や権力、人間関係、弱さや希望を、別の角度から見つめ直すための鏡である――。
神話の奥に人間を見ること。
歴史の空白に、消えていった声を感じること。
宗教の言葉に、人間の願いと恐れを読むこと。
そして、自分の中にある世界を、言葉として残すこと。
書くことは、忘れられてしまうものに、もう一度形を与える営みである。物語は、書いた人だけで完成するのではない。読者の人生と重なったとき、新たな意味を持ち、再び生き始めるのだ。
神話や古代史、宗教に関心のある方。
歴史の表側だけでなく、記録されなかった人々の思いを想像したい方。
働きながら小説や文章を書いている方。
人間関係や報われなさを抱えながらも、前を向いて生きたい方へ。
神と物語を求めてきた人間の心をたどりながら、物語が人を支え、何度でも立ち上がらせる力になることを伝える一冊。
[著者略歴]
安田 員壽(やすだ かずひさ)
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