小正月の来訪神:中国地方

(著) 竹林史博

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作品詳細

[商品について]
――ドイツにもある「トイトイ」という言葉は、次の中のどの使われ方をするでしょうか。
1.あいさつ、2.おまじない、3.おひらき
正解は、本書「ドイツのトイトイ?」をご覧ください。

本書は、民俗学では「小正月の来訪神」とされ、また折口信夫説をうけて「まれびと」とも呼ばれるトイトイ・ホトホトについて、中国地方を中心に様々な文献から記録を集めその姿を収めた作品である。藁馬に具現化される農耕予祝の象徴であるトビの唱え言、囃し詞であったと思われる「トイトイ」、正月14日夜の仮装訪問者や行事の名称であり、地域によりコトコト、ゴリゴリ、トラヘイ、トロヘイなどと呼ばれる「ホトホト」、四国地方の小正月行事として知られ、方々の家からもらった米を一つにしてたいて食べると強い健康な力が得られると信じられていた「カユツリ」など、明治から昭和初期の事例を含め、失われつつある風習を知るうえで格好の一書となっている。

[目次]
まえがき
山口県
特集・地福と阿東(現山口市)のトイトイ
戦前のトイトイ
「酒がほしい」
トイトイが転ぶと不作
昭和四〇年代に消滅の危機
昭和五二年のトイトイ
平成二三年のトイトイ
攻防戦
不幸の家は避ける
平成三一年のトイトイ
阿東(現山口市)のトイトイ
篠目(阿東)のトヘ
嘉年(阿東)のトイトイ(1)
嘉年のトイトイ(2)
嘉年に隣接するむつみ(現萩市)のトイトイ
ドイツのトイトイ?
江戸時代のトヘ
吉敷の「座敷トヒ」と「水掛トヒ」
小鯖(おさば)のトヒ
陶(すえ)村のトヒ(江戸時代)
陶のトヒ
秋穂のトヒ
秋穂二島のトヒ
徳地のトロヘイ
美祢のトヘ
美祢市於福(おふく)町砂地のトヘ
宇部のトヒトヒ
下関のトヘ(盗餅)
蓋井島のトイトイ
赤田代のトヘ馬
豊浦町のトヘ(盗餅)
長門市湯本三之瀬(そうのせ)のトヘイ
三隅町のトヘ(盗餅)
萩のトヘ馬
佐々並のトヘトヘ
三田尻町のトロ平(江戸時代)
切畑のとひ(江戸時代)
向島のとひ(江戸時代)
防府のトロトロ
鹿野のトロヘイ
下松のトロトロ
周防田布施のトロトロまわり
田布施町麻郷地区のトロトロ
柳井のトロトロ
大畠のトロトロ
上関のトロトロ
由宇のトロトロ
周防山村のトロトロ
トイトイの語源はトビ?
「トビ」は「富」のなまり?
トビに二種
貝原益軒のトビ記事
島根県
特集・飯南町(いいなんちょう)頓原(とんばら)のトロヘイ・美郷町(みさとちょう)のトラヘイ
「民俗調査記録」より
赤来町のトロヘイ
トロヘイ
わら馬に託す一年の無事 ──伝統行事「トラヘイ」──
邑智(おおち)町(ちょう)(現美郷町)のトラヘイ
西石見のトイトイ・トラヘイ
柿木村のトイトイ
六日市町のトイトイ
日原のトイトイ(1)
日原のトイトイ(2)
左(さ)鐙(ぶみ)のトイトイ
浜田のトロヘイ(江戸時代)
弥栄(やさか)村(むら)のトノヘイ
金城(かなぎ)町(ちょう)のトラヘイ
墨つけ
江津のトロヘイ
井原(いばら)村(現邑南町(おおなんちょう))のトノヘイ
トノヘイの語源説話
大田市のトロヘイ
温泉津(ゆのつ)のトラヘイ
川本町のトロヘイ
出雲仁多郡横田地方の正月 ──昼はホトホト 夜はトロヘン──
掛合町のトロヘイ
木次(きすき)町のトロヘン、ホトホト
三刀屋(みとや)町のホトホト
大東町のホトホト
尾原のトロヘン
斐川町の正月の旅芸人
大社町のホトホト
四絡のホトホト
佐田町のホトホト
稗原のホトホト
出雲八束・美保関町のホトホト(1)
美保関町のホトホト(2)
松江市近辺のホトホト・コトコト・ガガマ
美保関町のアクマン祓い
朝酌町のトーレ・トーレ
玉湯町のホトホト
上竹矢のホトホト
伯太町のホトホト
広瀬町のホトホト
能義郡広瀬町のとんどとホトホト
能義奥のトロヘン
隠岐島のホトホト
西郷のホトホト
都万村のホトホト
鳥取県
特集・鳥取の狐狩り
狐(きつね)狩(が)り
米子の狐狩り
淀江町(現米子市)の狐狩り
八頭郡若桜町小船の狐狩り
智頭町のブイブイ正月
狐狩りの行事内容とその分布範囲
まとめ
狐の野施行と狐狩り
「おもがい」づくりと「ホトホト」
望の正月の来訪神
日南町神戸上のホトホト
日南町のホトホト
米子のホトホト
淀江町のホトホト
国府町雨滝の大ホトホトと小ホトホト
国府町広西・明治三〇年前後のホトホト
国府町のホトホト
河原町のホトホト
用瀬(もちがせ)町のホトホト
鹿野町のホトホト
智頭(ちづ)町のホトホト
八頭(やず)町のホトホト
八東(はっとう)町のホトホト
上(かみ)私(きさ)都(いち)村のホトホト
岩美町のホトホト
岩美町のホトホト
福部村のホトホト
若桜町(わかさちょう)のホトホト
ホトホトの俳句
広島県
特集・庄原市口和町のトラヘイ
明治・大正時代のトラヘイ トラヘイ馬と銭つなぎ
戦前のトラヘイ
昭和二〇年代のトラヘイ
昭和五〇年代のトラヘイ
昭和・平成のトラヘイ
平成二四年のトラヘイ
寅(とら)平(へい)のこと
広島のトラヘイ(1)
トノヘイあれこれ
広島城下のトロベイ(江戸時代)
佐伯のトロへー
一一日のトロトロ
吉和のトロトロ・トノヘイ
川上のトロヘイ
佐東町のトロヘイ
上下町のトロヘイ
千代田町のトノヘイ
高宮町のトロヘイ
トラヘイの攻防
甲田町のトラヘイ
三次市のトラヘイ
秋町のトラヘイ
布野村(現三次市)のトノヘイ(トロヘイ、トラヘイともいう)
作木村(現三次市)のトノヘイ
『国郡志下しらべ帳』下作木の項
庄原のトラヘイ馬
総領町(現庄原市)のトラヘイ
西城(現庄原市)のトラヘイ
高野町(現庄原市)のトロヘイ
新坂のトロヘイ
庄原の厄払い
芸北の門付芸(万歳・初午・猿回し・獅子舞)
岡山県
特集・岡山のカユツリ
加茂川町(現吉備中央町)のカユツリ
関戸の粥モライ
真鍋(現笠岡市)島のジョンジョンと粥モライ
和田南(現岡山市)のカイカイ
真庭市勝山町上のカユモライ
落合町のカユモライ
児島市田ノ口のカユツリ
岡山市建部(たけべ)町のカイホトホトとモチホトホト
「カユツリ」について
粥(かゆ)釣(つり)
岡山のコトコトとゴリゴリ
吉田字大ノ平のゴリゴリ
北木島のゴリゴリ
金光町のゴリゴリ
矢掛町のゴリゴリ馬
井原市のゴリゴリ(トラヘン)(1)
井原市のゴリゴリ(2)
総社市のホトホト
加茂川町のコトコト
昭和町のコトコト
備北のコトコト(1)
備北のコトコト(2)
備中町のトロヘイ
有漢町のコトコト
川上町のトラヘイ
美作のホトホト(コトコト)
新郷(現新見市)・美甘(みかも)(現真庭市)のホトホト
哲多町のホトホト
千屋字花見のホトホト
刑部(おさかべ)町のホトホト
新見市周辺
哲西町の厄ばらいと旅芸人
美甘(みかも)村のホトホト
落合町のホトホト
勝山町上のコトコト
勝山町本郷他
北房町のコトコト
新庄村のホトホト
鏡野町のホトホト
久米町宮部のホトホト
トロヘイの語源
ホトホトについて
あとがき
著者略歴

[出版社からのコメント]
昔は正月にさまざまな行事がありましたが、地域のつながりが薄れるに従ってそうした光景を見ることも少なくなりました。本書には年中行事が生活に息づいていた頃の日本の姿が収められています。こうした忘れられつつある懐かしい風習を、本書を通じて多くの方に知っていただければ嬉しく思います。

[著者略歴]
竹林 史博(たけばやし・しはく)

現在 曹洞宗龍昌寺住職(山口市阿東嘉年下)

[主な著書]
郷土史/『物語の里嘉年』(共著)『明治の神童書家伊藤明瑞探訪』(龍昌寺叢書)『嘉年の狐火ー狐に化かされた話——』(龍昌寺叢書)他
仏教/『曹洞宗正信論争』(龍昌寺叢書)『面山禅師受戒の話』(青山社)『曹洞宗百家の逸話』(青山社)『盆行事』(青山社)『施餓鬼』(青山社)『絵解き涅槃図』(青山社)『涅槃図絵解きガイド』(青山社)『涅槃図物語』(大法輪閣)

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