幕末と帆船 : ジョン万次郎が歩んだ道

(著) 草柳俊二

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作品詳細

[商品について]
――江戸後期、無人島に漂流したジョン万次郎を助けた船長は、次の誰でしょうか。
1. ウイリアム・ホイットフィールド 2.ジョージ・ホイットフィールド 
3.マーク・ホイットフィールド
正解は、本書 第2章3節「ジョンハウランド(Jon Howland)」をご覧ください。

鎖国が施行されていた江戸時代後期、庶民は海外のことを知ることも海外へ渡ることも考えられなかった時代、若い漁師見習いであったジョン万次郎は、嵐に合い無人島に漂着しアメリカの捕鯨船に救出される。本書は、子供の頃から船に魅せられ、大学勤務の傍らジョン万次郎の足跡調査を行ってきた著者が、大航海時代の到来から幕末までの日本の造船の歴史を通覧し、アメリカとの出会いによって日本に大きな影響を与えたジョン万次郎と船との関わりを辿りながら、幕末という時代の日本の姿を浮き彫りにしようとした作品である。世界の歴史の潮流から日本を俯瞰する一書として、示唆に富む内容となっている。

[目次]
まえがき
第1章 西洋帆船の日本来航
1.大航海時代の到来
2.南蛮貿易と帆船
3.豊臣秀吉とスペイン船
1)ガレオン船サンフェリッペの漂着
2)サンフェリッペの悲劇
3)サンフェリッペの補修と土佐の船大工
4)サンフェリッペの浦戸湾廃棄説について
4.徳川家康の西洋帆船建造
1)「朱印船制度」の制定
2)オランダ商船デ・リーフデの来航
3)家康が建造させた西洋船
4)スペイン船サン・フランシスコの漂着
5)ウィリアム・アダムスのテレビドラマ
5.伊達正宗のガレオン船建造
1)慶長遣欧使節団を乗せた船の建造
2)サン・ファン・バウティスタの復元船
6.戦国時代から江戸時代初期の外洋船造船技術
1)サンフェリッペの補修で得た造船技術
2)大型外洋船建造技術の推移
7.ガレオン船と模型について
第2章 ジョン万次郎と帆船
1.ジョン万次郎の人生と船
2.難破し鳥島に漂着した漁船
1)土佐の漁船
2)漂流した船の模型について
3.ジョンハウランド(John Howland)
1)捕鯨帆船ジョンハウランドと万次郎
2)ジョンハウランドについて
3)捕鯨船の乗組員
4)捕鯨の衰退
5)ジョンハウランドの模型について
4.フランクリン(Franklin)
1)フランクリンの建造に関する話
2)フランクリンとジョン万次郎
3)フランクリンの航海
4)フランクリン模型について
5.アメリカ海軍の軍艦ポーハタン(USS Powhatan)
1)アメリカの領土拡大
2)ポーハタンの建造
3)ペリー艦隊とポーハタン
4)ポーハタンと万次郎
5)ポーハタンの模型について
6.太平洋を横断した咸臨丸
1)咸臨丸という船
2)太平洋横断
3)咸臨丸のその後
4)アメリカ海軍ブルック大尉
5)咸臨丸の模型について
7.ジョン万次郎の建造した捕鯨船
1)「君沢型捕鯨船」の建造
2)日本初の本格的西洋船「ヘダ」
3)ジョン万次郎と小笠原諸島
4)小笠原諸島が正式に日本の領土となった経緯
5)現存する明治時代の帆船
6)ジョン万次郎の君沢型捕鯨船の模型について
8.海援隊の船「ユニオン」
1)ユニオンという船
2)ユニオンの模型制作
第3章 幕末の帆船とジョン万次郎
1.幕末の西洋型帆船建造技術
1)薩摩藩での西洋型帆船建造
2)和船、西洋型帆船、ジャンクの構造
3)「昇平丸」の模型について
2.「箱館丸」の建造の話
1)箱館港の開港
2)函館での西洋帆船建造
3)ジョン万次郎と箱館丸
4)箱館丸の復元船
3.海援隊の「いろは丸」
1)いろは丸の沈没事故
2)衝突事故の交渉
3)いろは丸と明光丸に関する話
4.幕府最大の戦艦「開陽丸」
5.幕末の西洋船購入
1)土佐藩が保有していた西洋船舶
2)西洋船舶購入状態
3)南北戦争の終結と幕末の艦船購入
6.幕末の西洋船操船技術と修理体制
1)幕末の操船技術
2)西洋船の修理・維持体制
7.ジョン万次郎が置かれた立場
第4章 ジョン万次郎帆船模型博物館による地域振興構想
1.観光施設建設計画の根幹
2.成熟社会に適合する観光施設
3.帆船模型博物館設立構想
4.帆船模型博物館の展示物の確保
5.地域の活性化と人材育成策として
6.帆船模型博物館設立プロジェクトの進め方
1)施設建設の方法
2)帆船模型博物館の設立候補地
あとがき
「追記事項」帆船模型郵送の方法
参考文献(順不同)
主要調査箇所
著者紹介

[出版社からのコメント]
日本は四方を海に囲まれた海洋国家ですが、これまで日本史の中で海が着目されることは多くありませんでした。本書は、その日本の歴史を海に関わる「船」という視点から眺めた作品になっております。幕末の日本外交に重要な役割を果たした人物の一人であるジョン万次郎の事跡と共に、海の日本史ともいうべき本書を、ぜひお楽しみいただければ嬉しく思います。

[著者紹介]
草柳 俊二(くさやなぎ・しゅんじ)

東京都出身。1944年生まれ。
小学生の頃から帆船模型の制作に取り組む。国内外の建設工事に従事し、ストレス解消策として帆船模型の制作を続ける。高知工科大学での勤務を契機にジョン万次郎の足跡調査を行いながら関連した帆船模型の制作を行っている。
2016年より東京都市大学大学院社会人コース 客員教授

高知工科大学 名誉教授
カンボジア工科大学 客員教授
モンゴル科学技術大学 客員教授
日本土木学会 名誉会員

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