本当に伝えたい事を伝える為に

自分の考えを相手に伝える事ほど難しいことはない。
双方に異なる知識や経験があることを踏まえれば、
物理的に不可能に近いとすら思う。
それでも自分の想いを本気で伝えたいなら、
どちらかが倒れるまで話し合うしかないのかも
しれない。
そうでもしない限り、ほとんどのコミュニケーションは、
どうあっても想いが伝わりきらない寂しさが
後味の悪さとなって胸に残ってしまう。

さて、どうして人はそこにいる人の事を、
先入観や固定概念によって勝手に解釈して、
自分の想像の範囲に収める安心感を本能的に
選んでしまうのだろうか。
この難題に適当な答えを出せる人がいるのだろうか。
恐らく、いないだろう。
そう思うと、より一層「本当に伝えたい事を伝える」
という事に恋焦がれてしまう。

だからこそ、僕は本の出版が好きだ。
なぜなら、本はこの世の中でただ一つ
相当な純度を持って相手に本当の気持ちを伝えうる
力をもった強力なコミュニケーション手段だからだ。

テレビやYoutubeは、視聴者の印象次第で
容易に受け取り方が変わってしまう。
しかし、なぜか本は、作者の想いが優先されるのだ。

本という物質に形を変えた作家の「たぎる想い」は、
読者の想像力という助けを借りて
確かに伝わっていく事を、僕はもっと広めていきたい。
言ってしまえば、本は孤独を恐れずに
本当の気持ちを伝える事が出来る最後のメディアなのだ。

僕は、たぎる想いを本に込めた作家と、
それを受け取る読者のコミュニケ―ションから
生まれるエネルギーの創出に可能性を感じている。
22世紀アートは、その為の架け橋であり、
そうあり続ける事が至上命題であり
存在意義でなければいけない。
それが、僕の本当に伝えたい気持ちである。

株式会社 22世紀アート
代表取締役 向田 翔一