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仏教には多くの宗派が存在します。その中でランキング日本一の宗派は浄土真宗で、関連する本は昔も今もたくさん出版され続けています。何から読めばよいかわからない、という方にはぜひ本書をおすすめ致します。作者は京大卒の社会学者で、現在は浄土真宗の布教活動に専念しています。仏教の歴史、浄土真宗の教え、そして現世利益について、わかりやすく丁寧に社会学者の立場から解説してくれています。 

出版企画部・海野


仏教の現世利益

德岡 秀雄 /著

発売日:2019年2月19日

700円(税込)

装幀

カバー/野村知二・德岡惠満

デザイン/野村知二・德岡惠満


発行形態:電子書籍

ジャンル:教養



仏教を信じることによる功徳としては、自身の、地域社会の、国家社会の除災招福などが期待されがちです。ところが親鸞聖人の場合、そのような利益については一切言及していません。親鸞聖人は、「現生十種の益」を挙げていますが(二五一)、通俗的な現世利益は含まれていません。

仏教は、中国・韓国・日本へと伝来されてくる過程で、土着の宗教・慣習と争わず、それらを受容しつつ変容してきましたから、今に残る日本の仏教文化は、釈尊が説いた仏教とは大きく異なります。(密教は釈尊の説いた顕教と対比されますが、それは釈尊滅後千年も後にインドに興隆した一派です。)現世利益という用語でイメージされる趣旨は、釈尊には皆無でした。

科学・呪術・宗教、三者はともに観念の組織的な体系です。科学は実験的に確かめられ、客観的に事実に妥当する、因果必然の法則的世界観です。対して呪術は、希望的な観測を含む、主観的に歪められ、事実に合致しない観念連合です。宗教と呪術はともに人間の意志以外の力と関わろうとしますが、呪術が自分以外の力を自分の意志で操縦しようとするのに対して、自身以外の力に謙遜し、随順しようとするのが宗教です。

釈尊が仏教の変遷を俯瞰しておれば、遺訓を体現しつつ説法を続けた、精神としては紛れもない真の仏弟子たる親鸞聖人の姿に目を細めて微笑しつつ、「憶えば遠くへ来たものだ」との感慨を漏らすことでしょう。

著書プロフィール


德岡 秀雄(とくおか・ひでお)

一九四一年、京都府生まれ。京都大学教育学部卒業。京都家庭裁判所調査官補を振り出しに、関西大学教授(社会学部)、京都大学教授(大学院教育学研究科)、放送大学客員教授、などを歴任。教育学博士(京都大学)。

社会学研究に従事する傍ら、一九九三年、中央仏教学院(浄土真宗本願寺派・通信教育課程)入学、一九九六年、同校卒業。一九九七年、得度習礼に続いて教師教修を修了。二〇〇一年、社会学研究者としての職を辞して布教使補に登録。二〇〇三年、布教使資格を取得。放送大学客員教授の任期終了(二〇〇六年)後は、布教活動に専念。

 

《主な著書》

『社会病理の分析視角』(東京大学出版会、一九八七)、『少年司法政策の社会学』(東京大学出版会、一九九三)、『社会病理を考える』(世界思想社、一九九七)、『宗教教誨と浄土真宗』(本願寺出版社、二〇〇六)、『少年法の社会史』(福村出版、二〇〇九)、『仏法で観る現代社会』(平樂寺書店、二〇一三)、『縁起する親鸞思想』(平樂寺書店、二〇一四)、『悉皆成仏による「更生」を信じて』(福村出版、二〇一七)、など。

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