貿易国家ベネチア・オランダ・イギリスの歴史:日本は何を学ぶか

(著) 川地博行

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[商品について]
―貿易国家として、日本はヨーロッパから何を学ぶか―
海上貿易で生き延びるために、さまざまな敵やライバルから侵略される危険のなかで絶えず緊張感を保ち能力を磨き続けた都市国家ベネチア。ローマ時代から毛織物の製造地であり、16世紀から18世紀までの世界の海運業と貿易の中心となって貿易と製造業で都市経済を大きく発展させたオランダ。国家と商業が強力に結びついて羊毛製造業の保護に力を注ぎ、ヨーロッパ大陸の戦争から距離をおいて国内の工業化を促進させ世界初の都市産業社会を生み出したイギリス。これらの国は、それぞれいかなる歴史のなかで貿易国家として一時代を築いたのかーー現代の日本が変わりゆく世界情勢の中で貿易国家として如何なる道を歩んでいくべきなのかを、貿易と産業という視点からベネチア、オランダ、イギリスの歴史を概観しながら考察した産業と貿易の国家論。

[目次]
はじめに
1.第一回十字軍(1096-99)
2.英仏百年戦争(1337-1453)
3.寒冷化の時代
4.八十年戦争(オランダ独立戦争)(1568-1648)
5.1648年以降
第1章 都市および国家の成立
1.都市国家ベネチアの成立
2.オランダ国家の成立
3.イギリス国家の成立
第2章 軍事力
1.ベネチアの軍事力
2.オランダの軍事力
3.イギリスの軍事力
第3章 貿易と戦争
1.ベネチアにおける貿易と戦争
2.オランダにおける貿易と戦争
3.イギリスにおける貿易と戦争
第4章 自然災害対策
1.自然災害対策
2.都市の防災対策
第5章 国家と農業
第6章 商業
1.ベネチアの商業
2.オランダの商業
3.イギリスの商業
4.ヨーロッパにおける貿易の流れ
第7章 製造業
1.オランダの製造業
2.イギリスの製造業
3.ヨーロッパの製造業発達の流れ
第8章 造船業
1.ベネチアの造船業
2.オランダの造船業
3.イギリスの造船業
4.ヨーロッパの造船業の流れ
第9章 海洋政策
1.オランダの海洋政策
2.イギリスの海洋政策
3.ヨーロッパの海洋政策の流れ
第10章 人材確保
1.ベネチアにおける人材確保
2.オランダにおける人材確保
3.イギリスにおける人材確保
4.ヨーロッパにおける人材移動
おわりに
1.国家の成立について
2.国家の役割について
3.貿易国家の成立条件について
4.国家の政策について
5.自然災害対策について
6.中立政策について
7.戦争について
8.貿易について
9.製造業について
参考資料
あとがき
著者略歴

[担当からのコメント]
本書を読んでいると、戦後の日本の経済発展や日本をとりまく状況を思い起こさせるような箇所に何度も出会います。その一方で、著者はヨーロッパと日本の違いについて興味深い考察も行っています。かつてのようにモノを作れば売れる時代が終わろうとしている今、日本という国の未来を考えるうえで示唆に富む本書、ぜひご一読ください。

[著者プロフィール]
川地 博行(かわち ひろゆき)

1933年生まれ。
1956年東京大学工学部機械工学科卒業。
昭和電工、日本製鋼所、新進商会に勤務。
その後、中央大学大学院文学研究科国史学専攻博士課程満期退学。
著書:『英米日の小銃・自転車・自動車産業』(中央公論事業出版、2008年)

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