未完の女性哲学者 西田幾多郎の姪・高橋ふみ
(著) 浅見洋
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―彼女にとって、生きることは開拓することでもあった―
明治34年に織物業を営む家に生まれた高橋ふみは、地元の名士の次女として教育環境に恵まれ、自由で快活な近代女性に育った。やがてふみは、日本哲学における巨人であり叔父でもあった西田幾多郎の後を追って哲学の道を志すようになる。しかし当時の封建的な社会では、ひとりの女性がアカデミックな生き方をすることは許されなかった。特に哲学の世界はその傾向が強かったが、ふみは目の前に立ちはだかる困難と闘い続け、知性と文化を漂わせるモダンガールの先駆者として、自立した女性の道を切り拓いた。本書はそんな知られざる女性哲学者・高橋ふみの43年の生涯を、豊富な写真・資料とともにご紹介した評伝である。
[目次]
再版の序
刊行にあたり 七塚町長 東 與市
高橋ふみとの出会い 筑波大学名誉教授 関東学院学院長 小川 圭治
第一章 生い立ち
第二章 生徒の頃
第三章 東京女子大学
第四章 東北帝国大学時代
第五章 教育者として
第六章 ドイツ留学へ
第七章 フライブルクで
第八章 帰 国
第九章 残されしもの
高橋ふみ年譜
あとがき―葦からの連想
著者略歴
[担当からのコメント]
戦前に較べれば改善されているとはいえ、日本は先進国の中では女性の社会進出が遅れていると指摘されていますが、本書はそうした問題を考えるうえでも示唆に富む内容となっています。高橋ふみという女性が残した精神の輝きを、本書の中で感じていただければ嬉しく思います。
[著者略歴]
浅見 洋(あさみひろし)
一九五一(昭和二十六)年石川県能登町(旧柳田村)生まれ、金沢大学大学院文学研究科哲学専攻修了、博士(文学、筑波大学)、専攻分野は宗教哲学、日本哲学、死生学、エンドオブライフケア
国立石川工業高専門学校教授、石川県立看護大学教授を経て、現在石川県西田幾多郎記念哲学館長、石川県立看護大学名誉教授。第七十八回北國文化賞受賞
主な著述に、『西田幾多郎全集 別巻』(編集代表)岩波書店、『西田幾多郎とキリスト教の対話』朝文社、『西田幾多郎-生命と宗教に深まりゆく思索-』春風社、『二人称の死―西田・大拙・西谷の思想をめぐって』春風社、 『西田幾多郎の姪 高橋ふみの生涯と思想―おふみさんに続け!女性哲学者のフロンティア』ポラーノ出版、K・ラマ―『悲しみに寄り添』(共訳)新教出版社などがある。
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