お互いさま福祉でいこう――親の世話を他人に任せてボランティアをするという生き方

(著) 坂巻煕

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作品詳細

[商品について]
―福祉とは、その志とは何か―
新聞記者として、大学教師として、そして今は小さな社会福祉法人の理事長として、著者は福祉とどう向き合い、福祉に何を望んできたのか。本書は「親の世話を他人に任せて、自分は他人のためにボランティアをする」と言って憚らない著者が、その言葉の持つ本当の意味を、時代によって変わる福祉の考え方やその本質に目を向けながら綴った、共生の時代の福祉論である。少子高齢化が進む現代日本の福祉の在り方を問う、示唆に富む一書。

[目次]
はじめに
★命と暮らしを守る政治を
★福祉には“志”が
第1話 エッセイ 過疎地の小さな施設から
その1 生命尊重を唱えた村=沢内村
その2 農山村は景気のクッション材か?
その3 福祉に欠けるアクセスの視点
その4 彼を支えきれなかった地域での暮らし
その5 そんなに薬を飲ませて大丈夫?
その6 就労・雇用だけが自立ではありません
第2話 人権の視点で福祉の見直しを
●飢えと貧困と疾病からの解放
●福祉って何だろう
●世の中が変われば、福祉の考えも変わる
●“生活の質”が問われる
●福祉の原点とは
●人間の誇りと尊厳
●福祉という名の下での人権侵害
●保護と隔離の福祉
●主役はだれか
●処遇を見直せば
●人権を守る福祉を
●専用思想の克服を
●家族が“主”から福祉が“主”に
●なぜ「福祉」なのか
●自立を支える福祉こそ
●お互いさまの福祉に
●トゥギャザー・ウィズ・ヒム
第3話 親の世話ひとにまかせてボランティア
●近所の人の目がつらい
●どこに消えた“助け合いの心”
●構造疲労を起こした“人生順送り扶養システム”
●じじばばが多すぎて孫マゴマゴし
●目の中に入れたら痛い孫
●選択できる福祉を
●“迷惑”を喜びに変える生き方
●人は皆、助け合いの輪の中に
●タテからヨコの関係に
●まず知ることから始めよう
●無知が誤解を、誤解が偏見を、偏見が差別を
●身の回りにあるボランティアの芽
●地縁血縁から知縁結縁へ
●専業主婦の“幸福の中の不安”
●人と人とのつながりこそ
●ボランティア活動の原則とは
●ボランティアの問題点は
●見えないものが見えてくる
第4話 ボランティア活動の今日的課題
●阪神大震災の教訓
●自分たちで守った町
●ボランティア活動の地下水脈
●NPOの誕生
●問われる行政との関係
●機会の平等と結果の平等
●行政とのパートナーシップ
●広がるボランティアの分野
●あなたもできるボランティア
●あなたの特技でボランティア
●環境問題とボランティア
●趣味を生かしてボランティア
●ボランティアの評価ってなあに
●ボランティアは自己評価で
●「私をほめてあげたい」
●有償ボランティアの広がり
●住民参加の在宅福祉サービス
●お父さんもボランティアを
●海外でもできるボランティア
第5話 ボランティアが拓くもうひとつの生き方
●かかわりを避ける社会
●日本社会の大きな変化
●「家庭機能の外部化」ということ
●いまのままの生き方の問い直し
●座標軸を考えて
●老人給食「ふきのとう」の誕生
●元体操選手の老いての生き方
●「おばあちゃんの家」におじいちゃんは
●欲求には段階がある
●毒入りワイン事件の教訓
●子どもたちにボランティアをさせよう
●一方的なボランティアでいいのか
●肩書きはダメよ
●ボランティア活動に対するイメージは
●ボランティアに参加した人たちの感想は
●ボランティアへのアドバイス
●あしたのための日本をつくっていく努力
第6話 福祉・医療を志す若者たちへ
●私と福祉との関わり
●恩恵としての福祉の時代
●親による障害児殺しを考える
●社会事業の先駆者たち
●タテからヨコの関係へ
●国際障害者年の意味
●障害とは何か
●世の中を変えるリハビリを
●障害を持つ人の4つの壁
●無知→誤解→偏見→差別
●新しい流れと福祉の心
あとがき
著者略歴

[担当からのコメント]
福祉とは何かと問われれば、人によって様々な答えが返ってくるでしょう。ひとつはっきりと言えることは、福祉のあり方は私たちの社会のあり方と密接に関連しているということです。その意味では、福祉について考えるということは、私たちの社会の今を見つめ、その先にある未来を考えるということになるのだろうと思います。そのための一助として、本書を多くの方にご活用いただければ嬉しく思います。

[著者略歴]
坂巻 煕(さかまき・ひろむ)
 
東京生まれ、1959年早稲田大学政治経済学部卒業、同年毎日新聞入社。
社会部、「サンデー毎日」編集次長、編集委員などを経て、毎日新聞社論説委員(社会保障、福祉担当)。91年毎日新聞を定年退職。
淑徳大学社会学部教授、日本福祉大学客員教授に就任。07年淑徳大学定年退職。
総理府社会保障制度審議会委員、厚生省人口問題審議会委員、同年金審議会委員、東京ボランティアセンター運営委員など歴任。
現在、淑徳大学名誉教授、社会福祉法人潤沢会理事長、毎日新聞終身名誉職員、東京都福祉の町作り推進協議会副会長、東京都社会福祉協議会理事、千葉県障害者施策推進協議会会長、全国老人クラブ連合会評議員、社会福祉法人パール理事、中国残留孤児援護基金理事、昭和館運営有識者会議委員ほか。

著書に、『どう生きる、あなたの明日』(日本キリスト教団出版)、『生きること生かされること』(ぶどう社)、『ボランティア活動とリーダーシップ』(全国社会福祉協議会)、編著『高齢者ケアのニューウェーブ』(中央法規)、『社会保障年鑑』編集委員長(健康保険組合連合会)など。

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