でも、またきっと:コロナの世界を生きる詩

(著) 池谷敦子

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作品詳細

[商品について]
―こころの幾層かめのところに だれもが こんな風景を持っている―
いつか目にした「モアイ」の石像が/長いこと 背中にはりついていた/在ることの重みが/その在ることの どうしようもなさが/はりついていた/鼻から胃にチューブを繋がれ/生きて じっと耐えているあなたは/ぽつりとつぶやく/―ショウガナイナ ショブンするか―/そう聞こえた わたしには/「処分するか」と聞こえたのだ(本書「あなたは既に『モアイ』である」より)
コロナ禍によって一変した世界を、私たちはどう生きるのか――過去の連続である現在と現在の連続として生みだされていく未来に、詩人の言葉は語りかける。一瞬で、永遠の詩の言葉がアフターコロナの世界を優しく包む、珠玉の精選詩集。

[目次]
第1部
ブリキの月

アリガトウ
きさらぎ
十三の砂山
さくら
さんしょううお
しんしんと山桃の実は落ち
あなたは既に「モアイ」である
モーブ色の誘惑
運河の雨
砂の川
象がくる空
水の音
雪ふる運河
蒼すぎる空
燃える窓
明かり
夜の中へ
茫(ぼう)
第2部
草に生きる
さむ氏
うそじゃないよ
虫ピン
時の一滴
そらの青井戸
河が
魚になったひと
神馬と橋脚
夜の蟬
蛙が鳴く日
湖北
山百合
犇(ひし)めく
はしご
声、蟬の
三月
無花果
傾く町
はぐれ凧
著者略歴

[担当からのコメント]
人の世、人の生きる世界の中にある詩の言葉は、世界の変容によってその輝きを失わないだけでなく、ときとして変容によって生まれた暗がりの中で篝火のように私たちを照らすことさえある、ということを、本書を読んでいると改めて実感します。コロナ禍と現在を懸命に生きる全ての人に、本書をお届けします。

[著者略歴]
池谷 敦子(いけたに・あつこ)

1929年 静岡県に生まれる。 
1949年 同志社女子専門学校卒業。 

著書
1995年 『ブリキの月』 
1996年 『猫のいる場所』 
1997年 『ゆめぐろ中継所』 
1998年 『象がくる空』 
2000年 『気がつけば風』 
2002年 『夜伽』 
2004年 『蟬 降る』 
2005年 『青く もっと青く』 
2007年 『眠れぬ夜のあなたに』 
2009年 『バッタに会う日』 
2009年 『ぐらべりま』 
2011年 『声のかたち』  
2012年 『合図』 
2013年 『朗読詩集 夜明けのサヨナラ(DVD)』 
2014年 『点字詩集―指先から広がる想像の翼』 
2016年 『裏庭の揺り椅子』(電子書籍) 
2016年 『夜明けのサヨナラ』(電子書籍) 
2016年 『いのち、ときには渗み』(電子書籍)
2019年 『交信/こころは風のように ことばは水のように』
2020年 『では またいつか』

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