オルフェオの瞳――そして言葉は原初のまどろみを生きる

(著) 松久明生

Amazon

作品詳細

[商品について]
―この世の果てに何が見えますか 優しいあの人の眼差しですか―
真夜中の 耳元に 忍びよる/しずやかな 時の雨音/自らの 滴りのうちに/己の孤独を 打ちながら/夢の水面を 歩いていく(「この世の雫」より)
詩集『言葉の孤独』で人の心に住む言葉への思索を探究した詩人は、いま生と死を包み込む森羅万象に目を向け、その聲に耳を傾ける――思想としての言葉ではなく、人間の物語としての詩の言葉を追い求める、魂の陰影を象る第2詩集。

[目次]
まえがき
オルフェオの瞳
オーレリアの別れ
雨月物語
アモールとプシュケー
帰郷
ムネモシネ
ディオティマ
葉っぱのフレディ
雨傘を忘れてしまって
彼岸からの便り
この世の雫
波紋の彼方に
祭りの日に
フランチェスコの白い影とともに
エルスール
パスカルの葦のように
野の道へ
今日は死ぬにもってこいの日だから
原風景を求めて
ファミリィツリーまたは家族の肖像
写真
背景の闇へ
白い闇
光あるうちは闇の中を歩め
間近な囁き
南島へ
星の瞬き
風媒花
世界の中心から悲鳴が聞こえる
蜻蛉(かげろう)
死ねば死にきり
夜桜
誰にも向かわない遺書
イサドラの雨足
カッサンドラのメッセージ
今はここになきイノチの跡
草葉の陰の瞬き
よだかの旅
古鏡
赤い花
BOYS,BE AMBITIOUS
アンタレスの涙
影法師を脱いで
ギフト
ジョバンニは三度否認し、泣いた
クアシ ウルチマ
ゲッセマネの道へ
ノスタルジア
海潮音
海へ
シャコンヌ
別れの儀式
夜明け前の赤い光
目にてものを言う
ガラスの中の白い影
バルドソドル
あとがき
著者略歴

[担当からのコメント]
昔の人は当たり前のように感じていた周りにある沢山の死を、私たちはいま、改めて強く感じるようになってきています。哲学や思想によって彩られた生や死ではなく、ありのままに現れるそれらの姿と、そこから始まる言葉がもたらす詩想の世界を、どうぞじっくりとお楽しみください。

[著者略歴]
松久 明生(まつひさ・あきお)

1951(昭和26)年名古屋市生まれ、北海道大学薬学部卒、医学博士(東京慈恵会医科大学)。密教学修士(高野山大学)。1985(昭和60)年~1992(平成4)年東京慈恵会医科大学(専攻生)、2004(平成16)年~2012(平成24)年大阪府立大学客員准教授、2004(平成16)年~2007(平成19)年千里ライフサイエンス振興財団企画委員、2006(平成18)年~2008(平成20)年日本細菌学会評議員。以上、製薬会社在職中併任。第一詩集『言葉の孤独』(郁朋社)がある。退社後(2018年)、現在は専門学校講師。

新刊情報