スコットランドを知っていますか:英国の影に埋もれた「石と水の国」の生き方とその魅力、教えます

(著) 横川善正

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[商品について]

―ヨーロッパの「縁(フリンジ)」、だからこそ面白い―

イギリスの一部として、ウェールズと北アイルランド、イングランドと共に連合王国を構成するスコットランド。各地に今も数多く点在する美しい古城や湖、硬い岩盤からしみ出る澄んだ良質の水が生みだすウイスキーなど、スコットランドを訪れ魅了される人は多いが、ゴルフやバグパイプ、タータンチェック等に代表されるスコットランド固有の文化や、謹厳実直で質素な「スコッツ」(スコットランド人)の気質については、日本ではまだ深く理解されているとはいえない。本書は、四半世紀にわたりスコットランドに魅せられてきた著者が、「石と水でできている」と揶揄されるそのスコットランドの本当の魅力とスコッツの心を、カーリングからトマス・カーライルまで、歴史、文学、宗教、建築等さまざまな角度から語った作品である。

[目次]
はじめに (電子版発刊にむけて)
序章 スコットランドという「国」
格言のなかのスコッツ
ミレニアムのスコットランド
分権の担い手となるのは
第1章 スコットランドへの道
エディンバラの匂い
女王様はウイスキーが嫌い
コブル・ストーンの隙間
懐かしのスモーキー・フレーヴァー
魔界とよばれた島
石の島へ渡った民族
ピクト人とスコット人
聖者の籠船とヴァイキングの長船
消えたピクトランド
オークニーの岬に立って
第2章 石の国のなり立ち
石に触れて(ノック・オン・ストーン)
「運命の石」のゆくえ
マクベスの血統
「カーク」から「チャーチ」の時代へ
近代への闘い、メアリーvsノックス
「未婚の城」をめぐる母国語の戦い
スコティッシュ・バロニアルの系譜
グラスゴーが築いた帝国の繁栄
「追い立てられた」ハイランド
石を割る少年のこと
第3章 スコットランドとカーリング
カーリングの起源
ヴァイキングの海を渡って
ストーンの進化
氷の上の「教区(パリツシユ)」
秘密結社としてのカーリング・クラブ
国境を越えたストーン
第4章 絵のような国のデザイン
「ピクチャレスク」のふるさと
スコットランド・ケルト文芸復興運動の旗手たち
ギャロウェイの異神
風にそよぐ一本の葦を描くために、日本へ
C・R・マッキントッシュの建築言語
つつましい窓のある家
デザインの美しさ
第5章 スコットランドのこころ
フライング・スコッツマンに乗って
ネス湖めぐり、聖者と海獣
素面(しらふ)と陶酔
もうひとつの宗教改革
トマス・カーライルの場合
魔女の正体
新しい年の訪れ
第6章 言葉の海を泳いだ人びと
スコットランドの「文学」
聖書とゲール語
「キミは五月の真っ赤な、赤いバラ」
ウォルター・スコットの「歴史小説」
オークニー、「ホイ島の老人」
日常としての神話、G・M・ブラウンの世界
島が結びつけた詩人たち
終章 祭りのあと
あとがき
スコットランド略年表
参考文献(日本語)
参考文献(英語)

[出版社からのコメント]
スコットランドと言えば何を思い浮かべるでしょうか。ネス湖、ショーン・コネリー、セント・アンドリューズ、竹鶴リタなど人によって様々だと思いますが、文学から科学までスコットランドは私たちが思っている以上に身近な存在でもあります。本書を通じて、そうしたスコットランドの魅力に触れ、味わっていただければ嬉しく思います。

【著者略歴】
横川善正(よこがわ・よしまさ)

1949年生まれ。石川県金沢市生まれ。
金沢美術工芸大学名誉教授(英国文芸・デザイン史)、公立小松大学副学長。

主な著書:
『ティールームの誕生──〈美覚(びかく)〉のデザイナーたち』(平凡社)
『マッキントッシュ、建築家として・芸術家として』(訳、鹿島出版会)
『マッキントッシュ──インテリア・アーティスト』(訳、芳賀書店)
『スコットランド 石と水の国』(岩波書店)
『誰も知らないイタリアの小さなホスピス』(岩波書店)
『ホスピスが美術館になる日──ケアの時代とアートの未来』(ミネルヴァ書房)
『ホスピスからの贈り物──イタリア発、アートとケアの物語』(ちくま新書)

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