ビールと経済学ーー産業組織論から見た日本ビール産業の問題と展開

(著) 水川侑

Amazon

作品詳細

[商品について]

―ビール産業で産業組織論の体系を学ぶ―

産業における組織・運営の態様を理解し、経済的厚生への貢献を評価する産業組織論は、現実に存在する諸産業の競争と独占の状況を分析して政策の在り方を研究することを目的にしている。本書は、この経済学の応用分野の一つである産業組織論の体系を理解する一つの方法として日本のビール産業を取り上げ、産業組織論的体系にしたがって実証分析を行いながら取り扱うそれぞれの項目と関わる理論及び問題点を解説した、実証的な産業組織論入門書である。


[目次]

はじめに

第1章 ビール及びビール産業の発展

1.ビールとは何か

2.ビールの歴史

(1)古代のビールと中世のビール

(2)産業革命とドイツのビール

(3)日本のビール及びビール会社

3.ビール産業の発展

(1)ビール産業成長の歩み

a.ビールの供給状況

b.ビールの需要状況

(2)製造業としての歩み

a.事業所数と従業者数

b.労働生産性と資本生産性

第2章 市場構造

1.売手集中

(1)企業数

(2)規模の経済性

(3)売手集中度

2.製品差別化

(1)ビールそれ自体

(2)容器・販売方法

(3)ブランド

(4)製品差別型寡占

3.参入障壁

(1)工場建設費

(2)制度的規制

a.製造免許

b.販売場免許

4.市場需要の成長率

第3章 市場行動

1.価格設定政策

(1)価格設定方式

(2)価格引下げ政策

(3)価格差別政策

(4)価格先導性

a.価格の同調的引上げ(その1)

b.価格の同調的引上げ(その2)

2.製品差別化政策

(1)酒類の需要構造

(2)製品差別化競争の前奏曲

(3)容器の差別化競争――容器戦争――

a.78~82年の前哨戦

b.83~85年の本格戦

c.容器戦争がもたらした結果

3.中身の製品差別化――味戦争――

(1)生ビール

(2)麦芽100%ビール

(3)辛口ビール

(4)容器戦争及び中身戦争の成果

第4章 90年代におけるビール産業の新展開 ――市場行動(その2)――

1.規制緩和と価格破壊

(1)規制緩和と酒DSの出現

(2)価格破壊

2.発泡酒の開発――ビール対発泡酒――

3.地ビールの誕生と成長

第5章 80~90年代における市場成果

1.製品の多様化現象

2.売上高及び利潤率の動向

3.利益率の動向

4.シェアの動向

(1)シェアと売上高経常利益率の関係

(2)シェアと販売奨励金・広告費の関係

参考文献

あとがき

執筆者紹介


[担当からのコメント]

大きな経済の中に組み込まれている限り、私たちの日常生活の営みは市場や価格という経済学にとって重要なテーマと無縁ではいられません。しかし経済学をもっとよく知りたいと思っても、世の専門書は数式が羅列していて読みにくいものばかり。その点、本書はビール産業という目に見えるものを対象にしており、門外漢でも読みやすい内容になっています。ぜひご一読ください。


[執筆者紹介]

水川 侑(みずかわ・すすむ)


1940年生まれ。

[現職]専修大学経済学部教授。

[専門]寡占経済論,産業組織論。

[著書]『現代日本の産業構造』(共著,三輪芳郎編,青木書店,1991年)。

『日本の産業構造』(共著,大西勝明・二瓶敏編,青木書店,1999年)。

『新版 現代経済入門』(世界書院,2000年)他。

新刊情報