ヘックス入門-天才ナッシュが考えた数学的ボードゲーム + 電子書籍版付録:平行四辺形のパズル

(著) 半沢英一

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[商品について]
―「ナッシュのゲーム」で苦手な数学を楽しく学ぼう―
ギリシャ語で数字の6を意味するゲーム「ヘックス」は、その名の通り正6角形のマスをひし形に並べた盤を使ったボードゲームです。互いに石を置いて向かい合った辺を結ぶだけのシンプルさとは裏腹に、非常に奥の深いゲームとして世界中で愛されています。また天才数学者ジョン・ナッシュによって先手必勝の方法が数学的に証明されているにもかかわらず、具体的な手順が分からないという不思議なゲームでもあります。このゲームには引き分けがありませんが、それには「ジョルダンの曲線定理」をはじめ位相幾何学(トポロジー)の定理が深く関係しています。本書ではこの味わい深いゲームを紹介しながら、その背景にある数学、特にナッシュの証明についても丁寧に解説していきます。図版を多用して数学が苦手な方でも直感的に理解できるよう工夫されていますので、文系・理系を問わずどなたでもお楽しみいただけます。

[目次]
はじめに
第1章 ウールワース
1 ウールワース
2 非対称ウールワースの対称戦略
3 ウールワースとチェスの終盤
4 負け形と勝ち形の論理
第2章 ニム
5 ニム
6 映画や小説のニム
7 ウールワースとニム
8 二進法と二進分解
9 二進対称形と二進非対称形
10 ブートンの定理
11 模範ゲーム
12 ブートンの定理の証明 その1
13 ブートンの定理の証明 その2
14 逆ニム
第3章 ツェルメロの定理
15 有限ゲーム
16 かつて将棋は有限ゲームではなかった
17 数学的帰納法
18 ツェルメロの定理
19 手数nまでのゲーム
20 ツェルメロの定理の証明
21 コンピューターによる有限ゲームの解明
第4章 ヘックス
22 ヘックス
23 ナッシュという人
24 ナッシュとヘックス
25 映画『ビューティフル・マインド』への不満
26 ナッシュの定理
27 ヘックスには引き分けがない
28 ヘックスでは自分の石は邪魔にならない
29 相手の戦略をまねる戦略
30 ナッシュの定理の証明
31 ヘックスの基本は二股をかけること
32 5×5までのヘックスの先手必勝戦略
33 n×(n+1)ヘックスの対称戦略
34 なぜ対称戦略で勝てるのか
35 非対称ヘックスの必勝戦略
おわりに
付録 ヘックスに引き分けがないことの厳密な証明
ⅰ この付録について
ⅱ ヘックス盤の極表示および単位正方形表示
ⅲ 関数の連続性と中間値の定理
ⅳ 単位正方形におけるジョルダンの曲線定理
ⅴ 単位正方形におけるブラウワーの不動点定理
ⅵ 三角形内部の重心座標
ⅶ 引き分けがないときの格子点間写像
ⅷ 格子点間写像の単位正方形間写像への拡張
ⅸ 引き分けがあれば不動点がなくなる
参考文献
電子書籍版付録 平行四辺形のパズル―チェバの定理の散歩道

[担当からのコメント]
天才数学者ジョン・ナッシュというと映画『ビューティフル・マインド』を思い浮かべる方も多いかも知れません。本書には、ナッシュ・フリークを自称する著者の同映画への思いも語られています。ナッシュの業績の一端を知りたいという方にもお薦めの一書です。ぜひご一読ください。

[著者略歴]
半沢英一(はんざわ えいいち)
東北大学理学部数学科卒。理学博士。金沢大学教員。

主要著書・論文
「ステファン問題の古典解(英文)」(『東北数学雑誌』1981)
「超関数理念の一般化(英文)」(『日本応用産業数学雑誌』1992)
「数学と冤罪―弘前事件における確率論誤用の解析」(庭山英雄編『被告最高裁』技術と人間1995)
『狭山裁判の超論理』解放出版社2002
「ナッシュの等距離埋蔵論文の影響についての私見」(『ナッシュは何を見たか』シュプリンガー・フィアラーク東京2005
「ナッシュのゲーム理論―正義と競争の数学的関係」(『数学通信』2007、日本数学会HPで公開)
『雲の先の修羅―『坂の上の雲』批判』東信堂2009
『邪馬台国の数学と歴史学―九章算術の語法で書かれていた倭人伝行路記事』ビレッジプレス2011
『天皇制以前の聖徳太子―『隋書』と『記』『紀』の主権者矛盾を解く』ビレッジプレス2011

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