一羽の鳥:2013年春~2016年夏

(著) 水野昭夫

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作品詳細

[商品について]
―空飛ぶ精神科医は、これから何処へ向かうのか―
私の傍にいる、姿は見せず、声も出さず、だけどはっきり私に語りかけてくる一羽の鳥。話しかけると答えが返り、会話もできるそれは、多分、十年前に急性脳溢血であの世に去ってしまった彼女。中学時代からの同級生で、結納まで交わしながら結婚式の二週間前に取りやめてしまった彼女。その声に囁かれ、対話しながら、私は導かれていく。精神科医として、これまで歩んできた記憶の中に――。全国をリュックひとつで駆け回っている 引き籠り治療(往診家族療法)の精神科医。この白髪の爺を見つけて囀りかけてくる。ふざけ顔、脅し顔、呆れ顔、茶化し顔。最後には、きりり、励ましの力強い声をいっぱいに広げて ゆったりと羽ばたいて大空の中に消えていく。
本書は、従来の精神科病院とは異なる、患者を一人の人間として治療するための新しい試みとして「自立支援アパート」を提唱する著者が、全体主義にたった一人で反論した若き日から医師会をはじめ色々と「はみ出して」きた日々を、様々な出会いや葛藤の道のりの中で振り返る。『自立支援アパートと往診家族療法』と対をなす自伝的エッセイ。

[目次]
1、追っかけてくるというのは間違いかな?
2、混雑する羽田空港で
3、二人目のパパ…少年鑑別所の所長・ターサン
4、三番目のパパ
5、自治労の顧問弁護士・織田と高下病院の高下真樹を相手にした裁判
6、性格障害弁護士(織田)との和解で終わった裁判
7、完全勝利に至る裁判
8、精神科医療審査会の実態を確認するための質問状
9、高輪のマンションで、昼飯を食べながらの合同家族会
10、34歳から36にかけて
11、冊子『歩』のこと
12、〈障害者も主張しよう。Hさん夫婦の場合を通じて〉
13、高下真樹医師の意見書への反論
14、往診家族療法のこと
15、医学部を卒業して、2航海だけで終わる船医を経験するに至る経緯
16、船医体験 世界の刀狩運動
17、船員保険病院へお見舞いに来てくれた山本恵子
18、結婚を決めなければセックスしてはならないと、どうしても考えてしまう。
19、本所吾妻橋の患者さんの家
20、中学1年の時から一人の同級生が好きになった。
21、都城盆地を自転車で走り回る。
22、〈自然な動物のままの人間〉と小狡い計算の下に行動するように学習させられた打算的な、枠にはめられた人間〉
23、結婚式直前での中断の話
24、宮崎市の西、高岡町花見の17ヘクタールの山
25、かの人は森のような腕の中で安らいでいるのだろう。
26、「もう一つ日記読むね」と梟の様な雰囲気で
27、長い間、若草病院の院長をしてくれた中江建夫そっくりの山
28、シューベルトの街を訪ねて 葉子との二人旅
29、柏木光夫と吉川寛子の結婚
30、医学部を卒業する前の年の夏休み
31、三鷹が柏木の住まい
32、学生時代の引っ越し 21回
33、高校3年の時に書いた『緑の出立』
34、孫の言葉に振り回されて
35、母と姉の逝去
36、富士山の周囲の光景
37、宮淑子さんとのお別れ
国連の五大国特権を廃止させ世界中の殺戮兵器の全廃を目指そう
【私の今までの出版・その他】
著者略歴

[出版社からのコメント]
がむしゃらに走り続けるだけで良かった若い時間が過ぎ去った後、立ち止まって来し方を振り返る時間は誰にでもあるのではないかと思います。あちこちぶつかり痛い思いもしながらたどり着いたその道からは、前にも後にもこれまで見えなかった風景が見えるのではないでしょうか。本書を通じて、ぜひそんな貴重な時間を多くの方に楽しんでいただければ嬉しく思います。

【著者略歴】
水野昭夫(みずの・あきお)

1943年 宮崎県都城市に生まれる
1961年 宮崎県立泉が丘高校卒業
1967年 国立鹿児島大学医学部卒業
1973年 精神保健指定医の資格取得
1975年 精神科診療所を開業
1980年 164床の精神科病院を開業
1994年 医療法人如月会を設立して、その理事長となる。

現在 医療法人如月会を辞めて大空クリニックを経営

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