万博の世紀のインド舞踊

(著) 河野亮仙

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作品詳細

[商品について]
―知れば知るほどインドもインド舞踊も奥がフカイ―
右から読むのか左から読むのか、象形文字であるのか表音文字なのか、そもそも文字なのかも分からないインダス文字。突然のように都市を築くのも不思議なら、その滅亡の原因についても謎が多いインダス文明。さまざまな民俗、文化が入り交じるインド、その代表的な芸術であるインド舞踊も、よく分からないことが多い。考古学から人類学、芸術論に文化論、かと思えば話は一気にカレーへと飛ぶーーインドという摩訶不思議なテーマをノンジャンルで縦横無尽に語り尽くす、河野センセイの人間学的インド学、いざ開講。

[目次]
オリエンテーション
天王寺界隈
舞楽四箇法要
彫刻はインド舞踊のブロマイド
何を踊るのか?
はじめに
第一講 意外と分かっていないインダス文明
インダス文字の謎
アイ・アム・コーヒー
インダス文明はインド文化のルーツか?
バナナの秘密
あなたは何人?
第二講 アーリア人の侵入とドラヴィダ人
アーリア人の侵入
インドの人種
インドの言語
多様性の中心と起源地
騎馬民族はやって来た? 来ない?
ドラヴィダ民族主義の台頭
遺伝子と顔
インド人の遺伝子
第三講 古代インドの演劇と舞踊
インド演劇前史
インド舞踊神話
日本舞踊って何?
ラースヤからターンダヴァへ
ラサの理論
アビナヤ
インド文化の花開くグプタ朝
第四講 図像史から見るインド舞踊
インド舞踊の起源
シヴァ神(ナタラージャ)の踊り
インド文化の東南アジアへの伝播
ボロブドゥールは今日もインド舞踊だった!?
第五講 天平勝宝のインド舞踊
インド僧「菩提遷那」と仏哲
東大寺・大仏開眼
天平勝宝のインド舞踊
放談 放課後ゼミナール カレーは空
初めてカレーを食べた人
カレーの定義
カレーは空である
インド・レストランのカレーが本物のカレーか?
香料貿易で輸出したもの輸入したもの
ヒンドゥー文化とイスラーム文化の融合
ハーブとスパイス
カレーは薬膳料理?
第六講 インド舞踊神話
インド舞踊は一つ?
バラタナーティヤムの語に秘められた意味
バラタナーティヤムの起源
インド舞踊は男の踊り
踊りの師匠は男
デーヴァダーシーの踊り
歯を見せるな、身体は隠せ!
バラタナーティヤムはデーヴァダーシーがいなくても成立した
歌舞伎の芸術化
聖娼
デーヴァダーシーの役割
第七講 伝統の創出
バラタナーティヤム前史
ルクミニー・デーヴィーのデビュー
バラタナーティヤムの特殊性
真っ直ぐ立てない日本人
体育の時間にインド舞踊を
オリッシー・ダンスの始まり
ゴティプアの伝統
現代的なオリッシー・ダンス
武道場の伝統
ギータゴーヴィンダの革新性
第八講 チャーキャールの秘密
芸能の担い手は誰か?
チャーキヤールのディープな世界
フィギュア・スケートと自由演技
チャーキヤールの観相法
チャーキヤールは釈迦族?
踊る菩薩摩訶薩
補講 芸能は ヴァーチャル・リアリティを 現出する技術
ウマー・ラーオのデモンストレーション
ヴァーチャル・リアリティ
ファントム・リム
仮想モデルの修正
算盤暗算名人の秘密
身口意の三密
呼吸は身心をコントロールするスイッチ
芸能は古代的な心身統御技術
あとがき
付論 参考資料
インド美術のもう一つの見方/仏像は踊る
仏哲のもたらした悉曇・声明・林邑楽とは何か
参考文献
第九講 万博の世紀のインド舞踊
モダン・ダンスの始まり
二百三十年ぶりに鎖国が解かれる
インドからの舞踊とベリーダンスのアメリカ上陸
シカゴ万博からパリ万博へ
第十講 タンジョール宮廷の楽士たち
ベートーヴェンと同時代の楽聖
シャーマ・シャーストリ
ティヤーガラージャ
ディークシタ
タンジョールの宮廷楽士四兄弟
第十一講 近代インドの始まりと女性解放
寡婦の居場所は?
近代インドを開く
アーリア・サマージと神智学協会
アイルランドの女闘士
河口慧海とアニー・ベサント
十六歳の美少女ルクミニーの結婚は大スキャンダル
先に動いたのはタゴール
バラタナーティヤムと女性解放
第十二講 デーヴァダーシーのバーラ・サラスヴァティーはアメリカで活躍
小泉文夫の米留学
デーヴァダーシーの起源
一番大事なもの
身を捧げるということ
金剛界曼荼羅
デーヴァダーシーの分類
バラタの星を目指すには
アランゲットラム
第十三講 カタック家の出自
四半世紀ぶりにインドに行くはずが
辻芸人が宮廷に
素のままの男の子が演技する
ラーム・リーラー
ラース・リーラーというクリシュナの物語
世襲音楽家ミーラースィー
資料 『アジアの舞踊』より
復刊の辞
著者略歴

[担当からのコメント]
インド舞踊に関心のある方が本書を開くと、いきなり肩透かしをくらったように思うかも知れません。一見無関係に思えることが漠然と繋がりを持ちはじめ、そこに思考の火花が散り始める、本書はそんな醍醐味を持つ本です。読み終えたときは、インドという混沌を語るにはこのスタイルが良いとさえ思えるから不思議です。一風変わったインド学講義、どうぞごゆっくりお楽しみください。

[著者略歴]
河野亮仙(こうの りょうせん)
昭和28年生。昭和52年、京都大学文学部卒業(印度哲学史専攻)。昭和54年~57年、バナーラス・ヒンドゥー大学文学部修士課程留学(哲学・宗教専攻)。昭和58年、大正大学大学院博士課程後期課程(単位取得満期退学)。天台宗延命寺住職、日印文化交流ネットワーク幹事https://tsunagaru-india.com/。『カタカリ万華鏡』(平河出版社)他、著書論文多数。インド文化を中心に、宗教、儀礼、芸能の研究を進める。近年は、声明とインド舞踊を合わせたイベント「新・舞楽法会」のプロデュースに力を入れている。

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