元日本陸軍中将遠藤三郎と日中戦争ー「遠藤日誌」を中心に

(著) 張鴻鵬

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作品詳細

[商品について]
―軍国主義の中で若き参謀はいかなる戦争を戦ったのか―
第二次大戦中、日本陸軍のエリート軍人として主に参謀畑を歩み、最終的には陸軍中将まで上り詰めた遠藤三郎。独自の戦争観や戦略・戦術観を持ち、帝国陸軍の軍人として忠実に作戦を遂行する中で、ときに陸軍上層部と衝突しながらも自己の意見を貫徹し、各作戦の勝利に大きな役割を果たした遠藤は、一方で優しい人間的な面を持ったユニークな軍人でもあった。本書は、これまであまり研究されることのなかったその遠藤三郎について、克明かつ膨大な記録として残されている「遠藤日誌」を主たる手がかりとして、遠藤三郎の自伝なども活用しながら、特に日中戦争における遠藤の果たした役割について、軍事的に果たした役割だけでなく、冷徹な軍人とヒューマニズムという二つの面を持つその人間性に分け入りつつ考察した作品である。若きエリート参謀の実像に迫る一書として、示唆に富む内容となっている。

[目次]
前書き
序  論
第一部 日中戦争までに形成された遠藤三郎の2つの性格
第一章 遠藤三郎のヒューマニズム的性格と世界観
第二章 遠藤三郎の軍人としての冷徹性 ―王希天虐殺事件の隠蔽工作―
第二部 遠藤三郎と満洲事変 ―東方会議から第1次上海事変まで―
第一章 満洲事変への引き金―東方会議と張作霖爆殺事件―
第二章 満洲事変
第三章 満洲事変後参謀本部の動きと遠藤三郎の満洲出張
第四章 満洲事変後関東軍の更なる謀略作戦
第五章 遠藤三郎と第1次上海事変
第三部 遠藤三郎と「満洲国」 ―「満洲国」誕生から熱河作戦まで―
第一章 遠藤三郎の「満洲国」着任
第二章 遠藤三郎と熱河作戦
第四部 遠藤三郎の対ソ戦論と行動
第一章 遠藤三郎と第731部隊
第二章 遠藤三郎と北満国境要塞
第三章 遠藤三郎の「対ソ作戦論」と「対ソ戦不可論」
第五部 遠藤三郎と日中全面戦争
第一章 遠藤三郎と盧溝橋事件―盧溝橋事件から大本営課長時代まで―
第二章 遠藤三郎と重慶爆撃
第三章 「北進」から「南進」への国策転換とアジア・太平洋戦争の終結
結  論
主要参考文献
付録 陸軍中将遠藤三郎の「非戦平和」思想と日中友好活動
第一章 敗戦直後の遠藤三郎
第二章 巣鴨入所中の遠藤三郎
第三章 出所後の遠藤三郎―「非戦平和」思想の形成
第四章 戦後遠藤三郎の日中友好活動
第五章 遠藤三郎の最終結論―「軍備亡国」論
後書き
著者略歴

[出版社からのコメント]
遠藤三郎は、戦時中の困難な時代であっても正気を失うことのなかった軍人の一人と言えるかも知れません。その意味で遠藤三郎の目線を通じて先の戦争を知ることは、現代の私たちが戦争という現象を捉えようとするうえで有益になるだろうと思います。本書を通じて、多くの方に今いちど戦争について考える機会を持っていただければ嬉しく思います。

【著者略歴】
張 鴻鵬(ちょう こうほう)

1976 年 11 月 中国内モンゴル包頭市土黙特右旗に生まれる。
1998 年 9 月 中国内モンゴル大学外国語学部日本語学科に入学、2002 年 7 月卒業。
2007 年 6 月来日、研究生として名城大学法学部に入学。
2008 年 4 月 名城大学法学研究科国際政治専攻修士課程に入学、
2010 年 3 月修了、同大学より法学修士号が授与される。
2010 年 4 月 名城大学法学研究科国際政治専攻博士課程に入学、
2016 年 3 月修了、同大学より法学博士号が授与される。
2016 年 5 月から2017年4月まで 名城大学アジア研究所共同研究員、愛知大学国際問題研究所客員研究員。
2017 年 7 月から現在まで 中国信陽師範学院大学外国語学部日本語学科講師。

著書:
(共著)内田稔·張鴻鵬『諺で考える日本人と中国人』(ブックショップマイタウン、2014 年 7 月)。
(共著)内田稔・張鴻鵬・鈴木義行『随筆 日中諺・成語辞典』(ブックショップマイタウン、2015 年 8 月)。
(共著)馬場毅編、菊池一隆・張鴻鵬・橋本浩一・森久男・三好章・呂芳上など『多角的視点から見た日中戦争―政治・経済・軍事・文化・民族の相克』(集広舎、2015年5月)。論文多数。

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