日本経済再生のために、打破すべき三つの壁:真実を知る実務経験者の提言

(著) 野上浩三

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作品詳細

[商品について]
―日本の潜在的・総合的な経済力を、いかに再生の原動力とするか―
かつて世界に冠たる経済大国に成長を遂げた日本は、バブル崩壊と未曾有の不況によりその勢いを失い、いま長期的な低迷に苦しんでいる。ではなぜ21世紀になっても尚、このような状況が続いているのだろうか。本書では、打破されないままに残され健全な経済発展を阻んでいる「死角的要因」として三つの壁を取り上げ、金融制度、株式会社制度、通貨制度の三つの視点からこれを打破するための方策を考察する。誤った形で行われたエクィティー・ファイナンスや日本独自の代表取締役制度、聖域化された円高信仰の弊害など、長く国際投資や資産運用の現場で活躍してきた著者が自身の体験と客観的なデータに基づく独自の視点で分析・提言した日本再生のための実践論。

[目次]
はじめに 電子書籍化に際して
まえがき――迷走経済からの突破口を求めて
1 三つの壁と「死角的要因」
2 アメリカから学ぶべきこと
(1) 果敢に試行錯誤を行なうアメリカ
(2) アメリカ企業の逆転的復活
(3) 奢る日本の企業に対するボーゲル教授の警告
3 この本を書いた動機と協力者への感謝
第一部 平成バブルを発生させ、株式市場を死に至らしめた銀行本位の金融制度
第一章 エクィティー・ファイナンスの本来の在り方と誤った実態
第一節 エクィティー・ファイナンスの本来の在り方
第二節 時価発行導入の経緯と実施状況
第三節 時価発行のルール・基本が守られなかった状況
第二章 時価発行を歪めた株価工作の実態
第一節 時価発行銘柄の増資前後の株価の不自然な動き
第二節 払込期日における「確実に儲かる状況」の発生
第三章 時価発行に関与した当事者の驚くべき基本逸脱の状況
第一節 アンダーライター失格の証券会社
第二節 時価発行に対する基本的な理解を欠いた事業会社
第三節 TPOを誤って大量の時価発行を行なった銀行
第四節 誤った形の時価発行に追随した機関投資家
第五節 責任発揮が不十分だった金融行政機構
第四章 模範的な時価発行を行なった会社――ソニー
第一節 良き伝統の源流
第二節 自然な株価に見られるソニーの伝統
第三節 真のグローバル企業
第五章 平成バブル発生の根源的原因となったエクィティー・ファイナンス
第一節 平成バブルの原因究明の必要性と「死角的要因」
第二節 魔物化したエクィティー・ファイナンスが平成バブルの根源的原因となったことの証明
第六章 株式市場を死に至らしめた、誤った形で行なわれたエクィティー・ファイナンス
第一節 株式市場の重要な役割とわが国の現状
第二節 「株式の死」をもたらした誤った形で行なわれたエクィティー・ファイナンス
第七章 アメリカにおけるエクィティー・ファイナンスの実施状況
第一節 実績と注目すべき点
第二節 重要項目の実施実状
第八章 エクィティー・ファイナンスの正常化と株式市場の改革のための提案
第一節 エクィティー・ファイナンスの正常化
第二節 直接金融に適応した証券行政の確立と証券業界の革新
第三節 インサイダー取引に関する自主規制の撤廃
第二部 代表取締役制度のために機能不全に陥りやすいわが国の株式会社制度
第一章 制度疲労を起こしているわが国の株式会社制度
第一節 株式会社制度の本質と優れた機能
第二節 わが国の株式会社の機関の概要と問題点
第三節 わが国の株式会社制度を歪めている「株主不在」
第二章 アメリカにおける株式会社制度の在り方
第一節 取締役会と執行役員制度の「二階層制」
第二節 株主重視の経営の伝統
第三節 優秀なCEOが選任される基盤と伝統
第四節 アメリカにおける模範的な取締役会の実例
第三章 企業統治機能を発揮させるための提案 ――代表取締役制度の廃止と二階層制の導入――
第一節 企業統治機能喪失の原因と原因究明を阻んでいる「死角的要因」
第二節 企業統治機能蘇生のために断行すべき改正
第三部 円ドル・レートを歪めている「円高信仰」
第一章 過度の円高の問題点
第一節 打破すべき円ドル問題の壁
第二節 過度の円高であると考える根拠
第三節 過度の円高をもたらしている要因
第四節 円切り上げ効果の実状
第五節 円高是正の必要性と是正を阻んでいる要因
第二章 過大な外貨準備高の問題点
第一節 外貨準備高の適正規模について
第二節 過大な外貨準備高の弊害
第三節 外貨準備高の適正化の必要性と可能性
第三章 『通貨烈烈』から学ぶべき通貨戦争の実相
第一節 妥当な円ドル・レートの水準を示唆する記事
第二節 ドル高是正のためにアメリカが実行した戦略と方策
第三節 ドル高是正に向けてのアメリカ産業界の取組み
第四章 円ドル・レートと外貨準備高の適正化のための提案 ――機関投資家による外貨建投資の促進――
第一節 円高是正策の困難性と可能性
第二節 生命保険会社が行なった海外投資の事例
第三節 解決しておくべき問題点
あとがき――本書を書き終えて感じたこと
1 基本の大切さ
2 平成不況対策について
3 金融制度とエクィティー・ファイナンスについて
4 株式会社制度について
5 円ドル問題について
6 グローバル化について
7 恩師の助言と資本主義の変貌
参考文献
著者略歴

[担当からのコメント]
政府が新たな政策を打ち出したり新たな日銀総裁が就任したりしても、一向に泥沼から抜け出す気配がない日本経済ですが、本書はその原因の本質を現場という視点から鋭く見つめています。ビジネスの最前線にいる方はもちろん、これからビジネスの世界に飛び込もうとする若い方々にもお薦めの一書となっています。ぜひご一読ください。

[著者略歴]
野上浩三
1938年群馬県に生まれる。1961年3月東大法学部卒業、日本生命に入社。主に株式投資や海外投資に従事したが、MOF担、ロンドンでの実務研修、資産運用企画、ニューヨーク事務所長、国際投資部長、監査役などを歴任。1995年に日本生命を退社後は、日本ベンチャーキャピタル(株)の設立に関わり代表取締役に就任。現在は神奈川県下の第三セクター関係の(株)ケイエスピーコミュニティの代表取締役。

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