物物の声 七十七話

(著) 東海林春生

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東日本大震災後の海辺の町。
坂道、防波堤、仏壇、家計簿、提灯、入れ歯――。
失われた風景と、そこに残された「物」、そして生きていた人々の気配を、静かな筆致で掬い上げた珠玉の随筆集。

津波によって町は変わった。しかし、そこに暮らしていた人々の記憶までは消えない。

認知症となった母との日々。
施設へ入所した妹への想い。
福祉職として出会った高齢者たち。
死者の気配が残る坂道と、防波堤から見える海。

「老い」「介護」「震災」を描きながら、「物」を通して人生を見つめる。
仏飯をさらっていくカラス。
どこかへなくなった母の入れ歯。
誰もいなくなった海辺の集落。
どこか可笑しくて、切なくて、あたたかい。

失われていく昭和の暮らしと、人が老いていくことの哀しみ、そして小さな幸福を描いた、“人生の余韻”が静かに胸に残る一冊。

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