現場こそ天命の舞台:航空自衛隊救難パイロットの日常と素顔の自衛隊

(著) 坂本祐信

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作品詳細

[商品について]
―自衛隊を知らずして、安全保障を語れるか―
これまで主に第9条を中心に憲法問題として議論されてきた日本の安全保障は、国際情勢の急激な変化に伴い、いま現実の脅威への対処として考え直す時期にきている。しかし我々は、その議論の前提となり安全保障問題の主役とも言うべき「自衛隊」について、あまりにも多くのことを知らないーー航空救難部隊に所属する一人のヘリコプター・パイロットの日常を通じて、自衛隊という組織や勤務の実際、そして国防という仕事に命をかける隊員たちの姿を綴った現場からの防衛白書。

[目次]
は し が き
1 航空事故発生 そのとき
2 航空救難の体制
3 パイロットへの道、操縦課程学生の頃
操縦英語課程
第一初級操縦課程(T―34)
第二初級操縦課程(ジェット練習機T―1) 教官はトップガン
救難計器飛行課程(再びT―34に)
初めてヘリコプター操縦(陸上自衛隊 小型ヘリ操縦課程)
救難操縦課程 ウイングマークを胸に
4 救難パイロットの日々
芦屋救難隊に配属
強風下の人命救助
転覆漁船乗組員の人命救助
小松救難隊に転属 距岸二百マイルでの救出能力
暗夜の海上での救出活動
F―104 エマーゼンシィ その一
F―104 エマーゼンシィ その二
海上徘徊癖? 漁船の捜索
そこに山があるからだ
ヘリコプターの水上滑走
陰の応援団
炉辺談話
航空救難団の歌
5 幕僚勤務を通じて
防衛庁航空幕僚監部勤務
月月火水木金金
幕僚訪問で各地を飛ぶ 恥ずかしいチョンボもありました
担当正面の仕事は
第八航空団司令部防衛班長
防衛庁統合幕僚会議事務局勤務
大韓航空機(KAL)遭難
幕僚勤務の実感
6 救難隊長の頃
編制単位部隊長 指揮官職あれこれ
VIP空輸機エマーゼンシィ
気象制限ぎりぎり 災害派遣発令
要請を待たずに災害派遣を決心
ミルクを準備せよ
三原山噴火
フライ・オーバー・ナイト
演習余談
メリハリを付けること
ちょっとの油断 大きな失敗
状況一時中止 飲み方始め
M一尉が墜ちました
航空救難団部隊長会同
7 警戒群司令
8 忘れ得ぬこと
先輩・同僚・部下
峯岡山 基地周辺の人達
美しき人
そして家族
9 指揮官勤務雑感
自分らしさを出すチャンス
部下は困難な状況になると指揮官の顔を見る
部下を叱るに遠慮は不要
前向きの姿勢
指揮官は 部下より優れていなければならない。しかし、ちょっとだけでよい?
部下を大切に(勤務評定は良い点を)
優秀な部下を抱え込むな
指揮官はひとりぼっち
適時適切な報告と上下の連携プレーは危機管理の要決
機会教育と自己啓発
自己修養(古典を読む意味)
自分流指揮統率十戒
10 新しい時代の到来
あ と が き
追 記
著者略歴

[担当からのコメント]
軍隊なのかそうでないのか、ということ一つとっても、今の自衛隊は非常に曖昧で難しいポジションに置かれていますが、そうしたモラトリアムはもう通用しない時代に来ているのだろうと思います。自衛隊の実情を知り国防について考える、その一助として本書を多くの方にご活用いただければ嬉しく思います。

[著者略歴]
坂本 祐信(さかもと・ゆうしん)

石川県出身。昭和三四年七月航空自衛隊入隊。昭和三九年三月防衛大学校卒業。昭和五一年七月航空自衛隊幹部学校指揮幕僚課程修了。昭和五七年七月統合幕僚学校一般課程修了。統合幕僚会議事務局第三幕僚室勤務を経て、航空自衛隊芦屋救難隊長、同百里救難隊。百里救難隊長時代の昭和六一年八月五日、豪雨による那珂川氾濫に際し救難部隊を指揮して水戸市内の孤立者二三六名を救助した。昭和六二年一月航空幕僚監部調査第二課情報第二班長。昭和六三年七月一等空佐、同年八月第四四警戒群司令。平成二年一二月航空支援集団司令部防衛課長。平成五年五月退官。

平成九年から平成二三年まで日本戦略研究フォーラム政策提言委員。平成二四年から公益財団法人偕行社近現代史研究委員会研究員・同安全保障研究委員会研究員。

著作
『近現代日本の軍事史』(全五巻) かや書房
 ○ 第一巻(国家生存の要・陸海軍の発展)
 ○ 第二巻(政軍関係混迷の果てに)
 ○ 第三巻(再出発)
 ○ 第四巻(東西冷戦の狭間で)
 ○ 第五巻(新たな試練)

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