瓦礫の中のほおずき : 阪神・淡路大震災で避難所となった小学校の一教師の体験

(著) 小﨑佳奈子

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作品詳細

[商品について]
―心をうしなってはならない。たとえどんな災厄の中であっても―
1995年1月17日午前5時46分に発生した阪神・淡路大震災は、多くの人の命と大切なものを一瞬にして奪い去った。神戸市の小学校に教師として勤めていた著者は、すべてが崩れ去り余震なお続く日々の中で、子供たちの安否確認に奔走しながら、避難所となりほとんどスペースのない小学校で「ひえだっ子教室」を担当するーー破壊されたインフラと混乱する社会、無視されるルール、忘れてはならないあの悪夢をかけがえのない子供たちと共に見続けたひとりの女性教師が綴った、人間の復興の記録。

[目次]
いっしょに生きていきましょう
はじめに
I くずれおちる街
心はずませて迎えた一九九五年
一月十七日午前五時四十六分 それは起こった
初めて学校で見た光景は
名簿が手際よく作られていく
二人で一個のおにぎり
被災した校舎
地震直後の私の仕事
小さなおばあちゃん
避難所内のボランティア
たくさんの方々の心が届く
他府県ナンバーの車
交通法無視
北区に買い出しに行く
ライフラインの破壊――水・水・水
活躍する若きボランティア
北区の「ゆうゆうの里」に疎開
母はいつも静か
暗さと寒さと
夜の歯医者さん
消費税に怒り
心に残る外国人
動物たちも被災者
地震の名前が変わる
赤ちゃんを抱いた女の人
チュニジアの旅の仲間
Ⅱ ひえだっ子教室
子供が集まった
言葉集め
みんなが運動場に集まった
節分の豆まき
班に分かれる
歌声が響く
わくわくタイム
もらうことに慣れてしまった
泣きたい
日 番
ボランティアのみなさん
チャイムの音
一つのクラスになった
快眠・快食・快便
マスコミの取材
生きていたザリガニ
原田児童館へ
文集作り
始まる時刻が変わる
からんだ独楽のひも
午後はビデオの会
カルタ作り
壁新聞作り
室内オリンピック大会
震災後一か月目
「ひえだっ子教室」は閉じられた
Ⅲ 闇の中の光
歌のボランティア
大阪からのボランティア
命を奪ったピアノ
道路の落下物
震災ルック
洗濯物
おうちがだんだん遠くなる
車の保険切れと下着の洗濯
暗い部屋の中のインスタントラーメン
新聞騒動
童話の表彰式
ほっとコンサート
ブーニンがやってきた
「鉄道」はがんばる
物があふれている
小さな命が天国に行ってしまった
わがやの風呂が戻った
襖はり
Ⅳ 新しい出発
教育復興担当
新しい学年が始まった
やっぱり地震が一番怖い
壊れた家の向こうの屋根にこいのぼり
プール下は大雨
プールのメダカ
黄色い花とネコジャラシ
ほたるを見る会
天に向かって伸びるなすび
瓦礫の中のほおずき
小さな命
大きな未来に
ロシアで演歌を歌う
テントの中で蟬が鳴く
果物を入れる鉢がない
合唱組曲「阪神大震災」
更地に咲き乱れるコスモスの花
あとがきにかえて――決して戦争と同じではない
〔著者プロフィール〕

[担当からのコメント]
時が過ぎて記憶が薄れ、東日本大震災やコロナ禍などの災厄が相次いでも、心に刻んで忘れてはならないものがあります。本書はその大切なことを私たちに思い出させてくれる、そんな作品になっています。鎮魂の思いと共に命と平和の尊さを噛み締める、そんな時間を本書と共に過ごしていただければ嬉しく思います。

〔著者プロフィール〕
小﨑佳奈子(こさき・かなこ)

愛媛県松山市出身。神戸市在住。
神戸市立稗田小学校教諭時代に阪神・淡路大震災を体験。
○特記すべき卒業校
愛媛県立松山東高等学校(旧制松山中学。夏目漱石が勤務し、小説「坊ちゃん」の舞台になった。)
○取得している免許
小・中・高教諭普通免許(中・高は音楽)
自動車運転免許
スクーバダイビングCカード(C=certification認定)
 アドヴァンスドゥ・オープン・ウォーター
○主な著書
「こどもと歩く」「みすてないで」「あっ ちがってたよ」(絵本)
「『外国度』の高い国々」「新・作文のすすめ」
「ことばで築く豊かな世界」「ゴマメの歯ぎしり 教師の斧」「笑顔が報酬──刑務所での国語科の授業──」など

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