生涯現役エンジニア : 実例にみるその必要性と提案

(著) 田邉康雄

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作品詳細

[商品について]
―技術者が流出すれば工業国・日本は衰亡する。この事実を直視しなければならない―
企業に就職したエンジニアは、定年を迎えて仕事の場を去ってしまうと、もうエンジニアとしての仕事はできない。そうした有能な定年退職エンジニアを国内で活用できないということは、日本の産業界の損失であるだけでなく、日本の頭脳や技術ノウハウが海外へと流出するという意味で国家的損失でもある。本書はそうした問題意識のもと、化学系エンジニアとして技術者人生を歩んできた著者が、エンジニアが生涯現役でいるためにはどうすれば良いのか、日本の技術者の現状から説き起こしながら、生涯現役を可能にする資格制度の創出を提言する。併せて資格制度がない現在の環境の中で、生涯現役でいるための実際例も紹介した、全エンジニア必読の書。

[目次]
電子出版にあたって
推薦の書
まえがき
序 章 新資格の概要
第1章 わが国エンジニアの歴史と現状
1…工部大学校――わが国エンジニア教育の始まり
2…エンジニアの成果――日露戦争から大東亜戦争における勝利
3…エンジニア――エンジンを発明する人
4…エンジニアの日本語訳
第2章 生涯現役エンジニアの必要性
1…低下したエンジニア評価――NHK「プロジェクトX」
2…安全保障――工業立国
3…企業内エンジニアの育成――好い例
4…企業内エンジニアの育成――悪い例
5…エンジニアの使い捨て――定年退職
6…好例と悪例のバランス――「負け犬」から「金のなる木」へ
7…高齢者の責務――高齢化社会
8…活性化したエンジニア社会――個々の「やる気」鼓舞
9…わが国の安全保障――国際分業
10…退職後エンジニア――力量の急速低下
11…エンジニア力量開発の方向――深みと幅
12…高齢エンジニアが国を守る――美しい国土
第3章 エンジニア新資格の提案
1…現存資格――生涯現役には力不足
2…新資格の特徴―親方徒弟制度
3…ISO審査員資格―国際的評価
4…新資格――PDE登録エンジニア
5…資格の要件――入口は現存資格
6…評価される既存資格――技術士、博士など
7…継続的能力開発――CPD
8…放送大学――幅の拡大
9…新資格制度の全体枠組み――ビジネスモデル
10…ビジネスモデルの歯止め――オーディット
11…オーディットとは?――監査でない
12…「与信機関」の機能と構成――企業代表に限定
13…「運営機関」――企業代表に限定
14…「研修機関」――既存学協会
15…「エンジニア登録機関」――これも既存学協会
16…ビジネスモデルKFS―五つ
17…新資格の下で「生涯現役エンジニア」
第4章 「実例」生涯現役エンジニア
1…高等教育──エンジニア準備段階
2…企業内エンジニア活動──定年直前までエンジニア
第一段階──基礎研究エンジニア
第二段階──製造技術開発エンジニア
第三段階──製造プラント設計エンジニア
第四段階──事業化推進エンジニア
第五段階──事業企画エンジニア
3…退職後エンジニア活動──技術蓄積を活用
第一段階──必要資格取得
第二段階──ソフトランディングとテイクオフ
第三段階──「幅」と「深み」の拡大
付録・定年退職後の収入開示
あとがき
引用文献
■著者略歴

[担当からのコメント]
本書は直截的には技術者のための本ですが、その扱うテーマは日本という国の発展に関わる大きな問題も孕んでいます。資源がリサイクルされる時代に、貴重な知的資源ともいえる技術者たちの経験とノウハウを無駄にして良い筈がありません。ビジネスに携わる全ての方にお薦めしたい一書です。

[著者略歴]
田邉康雄(たなべ・やすお)

 学歴・資格:京都大学工学修士。CQI/IRCA登録ISO9001/14001/45001(品質/環境/安全衛生)の三分野 Principal Auditor。全国通訳案内士(英語)。英検一級合格。科学技術翻訳士(英語)。労働安全コンサルタント。中小企業診断士。技術士(化学)。
 
 生立ち:一九三六年八月、朝鮮京城(ソウル)に生まれ、一九四五年対米戦争敗戦とともに父親の実家、京都市左京区へ引き揚げた。

 高等教育:一九五七年、先の対米戦争中の「ゼロ戦」用ハイオクガソリン製造技術開発のために設立された京都大学工学部燃料化学科に入学し、修士課程修了まで六年間の工学教育を受けた。その間、ハイオクガソリンに関わったノーベル賞の福井謙一教授からエンジニア教育を受け、一九六三年修士号取得。

 社会人:修士卒業とともに三菱化成工業(現三菱ケミカル)株式会社に入社し、可燃性毒性化学品の大規模製造プラントの設計・建設に従事した。
 その間、プロジェクトリーダーとして建設したプラントの内、①ポリエステル繊維原料DMT酸化精製プラント、②ナイロン繊維原料シクロヘキサノン製造プラント、③同ヒドロキシルアミン製造プラント、④ウレタン弾性繊維原料PTMG製造プラント、⑤自動車用耐熱樹脂原料ブチレングリコール(14BG)製造プラント。並びに、⑥光ファイバー原料であり、同時に単結晶シリコン引上げ「るつぼ」原料でもある超高純度石英粉製造プラントの六件が社長賞を受賞し(社内未曾有)、内一件(⑤の14BG)が大河内記念生産賞の【特賞】を受賞した(社内初で後続なし)。以上のプロジェクトに関して取得した取得した特許は約二百件。

 転身:こんな大きな実績を持ちながらも、定年退職後の生活を視野に入れて業務の傍ら大型「技術資格」の取得に励み、成功して本社企画部長を最後に六十歳で定年退職し、日本労働安全衛生コンサルタント会所属の安全衛生コンサルタントとなり、かつ、英語力を活かして外資系審査機関のフリーランスISOMS審査員となった。
 これにより独立の成功を確認したので、平成十三(二〇〇一)年有限会社田辺コンサルタント・グループを設立して代表取締役社長に就任。

 さらなる発展:令和二(二〇二〇)年、長女の「商店街の街並み整備支援」事業である「まちひとこと」総合計画コンサルタント事業を吸収合併して事業拡大した。
 以上の生業と併行して工学(エンジニアリング)を軸に据えた「我が国の近現代史」を、過去三十年間にわたり、身内の体験を通じて研究し、その集大成をノンフィクション歴史作品として現在執筆中。仮題「明治維新戦争を恩讐の彼方に~京都疏水『赤の洞門』物語~仇敵二人の子孫田邉康雄」

 現状:本書発行現在、八十五歳十一か月で生涯現役エンジニアを実践中。

 著作:①ISOマネジメントシステム参考書「全員参加のISOマネジメントシステム」、「ISO安全品質環境早わかり」(いずれも日本規格協会)、他多数、②安全衛生参考書「楽しく学ぶリスクマネジメント実践スクール(新技術開発センター)、他多数、③ノンフィクション歴史作品「びわ湖疏水にまつわる、ある一族のはなし」(私家本国会図書館蔵)他多数。

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