等深線上の詩人たちーー岐阜詩人ノート1:殿岡辰雄から河田忠まで

(著) 藤吉秀彦

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[商品について]
―風土に根ざす詩の言葉は、同時に時代を映す魂の言葉でもある―
戦争という惨禍を経て社会が大きく変わった激動の戦後に、詩という表現で人間の生を問いかけ続けた岐阜の詩人たち。岐阜という風土の息吹を吸いあげ、多面的な詩活動を展開した彼らの歩みを、いまその作品へのささやかな詩ノートという形でふり返る。第1巻は、自らの生きる存在と理由を求めて詩表現の場をふかめようとした殿岡辰雄から、現代という時代における詩の自我確立の場を求めた河田忠まで、9人の詩人を取り上げる。

[目次]
殿岡辰雄ノート・詩集『異花受胎』詩誌『詩宴』活動をとおして 生の条理への旋回と凝視
一 詩心への自己開示の道程
二 連動する詩心の萌芽のなかで
三 奔流する情況への彷徨
長尾和男ノート・『長尾和男遺稿詩集』詩誌『さちや』との関連 感受する詩心への方位
一 傍観の極点に根ざす輪廻の位置
二 詩想の移動と展望への位相
平光善久ノート・詩集『骨の遺書』などをとおして 戦火への放念
一 喪失への出発
二 生の存在への対峙
三 骨の帰還する位置
四 業あぶりざま火焔まみれに
五 彷徨する一刻の彼方に
伊藤勝行ノート・詩集『風圧の中で』などをとおして 条理への眺望と位置を求めて
成田 敦ノート・詩集『水の年輪』などをとおして 内包する風景への幻惑
石川正夫ノート・詩集『寒村』などをとおして 凍結する内視からの断念
吉田欣一ノート・詩集『わが射程』などをとおして 未明の望郷への彷徨と思念
水野 隆ノート・詩集『室内楽』などをとおして 憂遊のいのちの美学を求めて
河田 忠ノート・詩集『乱反射』などをとおして 自閉する吐息の彼方に
あとがき
著者略歴

[担当からのコメント]
詩人が何を見て、何を感じ、どう言葉にするのか。その目線や言葉の先にあるものを見たとき、私たちは否応なく彼らの生きた時代と人としての本質的な問いかけに目を向けることになります。岐阜の詩人たちの問いかけに耳をすます、そんな時間を本書と共に過ごしていただければ嬉しく思います。

[著者略歴]
藤吉秀彦(ふじよし ひでひこ)

昭和九年(一九三四) 岐阜市に生まれる

ふるさと文化フォーラム主宰
詩誌『無宿』主宰

著書
詩集『にっぽん子守歌』(あんかるわ叢書)/『ゆけ飢餓あぶり街染めて』(あんかるわ叢書)/『やさぐれ』(風淋堂)/『ちまたにうたの降る日々に』(洛西書院)/『さらば柳ヶ瀬』(マナサロワール社)/『山頭火』(砂子屋書房)/『藤吉秀彦詩集』(砂子屋書房)/『寺山修司』(砂子屋書房)/『幻界ゆすり哀号まみれて』(鯨書房)等がある
平成十年~二十一年
岐阜の風土に根ざした「ふるさと手づくり歌づくり 藤吉秀彦作品集」を岐阜放送で四回放映
平成十六年~二十二年
岐阜の風土やそこに生きる人々をとらえ、写真・絵と詩をコラボレーションし、人間の情念を表現した作品展「詩のある風景」をのべ十四回開く
平成二十一年  岐阜市ふるさと文化賞受賞

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