自然農法の稲を求めて ー 生命(いのち)をつくる風景、土の力を信じる人々

(著) 中井弘和

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作品詳細

[商品について]
―自然の摂理の中で生かされる農業が、これからの私たちには必要だ―
自然の摂理に沿い土本来の力を生かし、土を要としたいのちの循環の中で営まれる自然農法は、これまで戦後急速に発展拡大してきた近代農業技術の陰に隠されていた。しかし地球環境問題が人類の喫緊の課題となっている中で、自然農法は重要なキーワードになりうるものである――農学者として育種学を研究し、日本各地域の農家の人たちと稲の育種に取り組んできた著者が、稲の品種づくりを中心に、自然農法の現場で工夫し思考錯誤する生産者たちの姿と自然農法や日本の農業の未来への思いを綴った農業エッセイ集。

[目次]
序にかえて
自然農法の野へ
自然農法のイメージ
自然農法の稲を求める旅
一.育種学
1.育種学
2.生きている土から
3.自然農法の稲のすがた
4.大冷害に凛として稔る
5.青い空
6.初夏の大仁農場から
7.黄金に輝く稲穂の国
8.食卓の風景
9.自然農法で収量を上げる
10.ナザレ園に響いた「故郷」の歌
11.頭寒足熱
二.自然と分け合う
12.自然と分け合う
13.一品ばかりを植えるべからず
14.稲のいのち、人のいのち
15.身土不二
16.人との出合いから自然農法へ
17.戦争と食べものの記憶
18.自然農法水田に風の道
19.品種が重要
20.野性を取り戻す
三.今こそ、いのちの時代へ
21.今こそ、いのちの時代へ
22.フクシマの風景
23.沖縄の海から
24.平和の礎(平和とはみんなが仲良く米を食べること!?)
25.ある小さな棚田から
26.苦しみから希望へ
27.雲南の棚田
28.風化
29.希望の芽
30.落穂ひろい
四.未来のいのちに責任を持つ
31.未来のいのちに責任を持つ
32.遥かなる武夷山の茶園
33.富士には自然農法水田がよく似合う
34.農と食の倫理
35.故郷の再生
36.地域適応性(地域で種を育てる)
五.自然農法と有機農業
37.自然農法と有機農業
38.稲のことは稲に聴け
39.食べものとからだ
40.モンゴルへの旅
41.モンゴルへの旅②
42.育種十年目の秋
43.少年よ、大志を抱け
44.3.11の記憶
六.見直される在来種
45.見直される在来種
46.稲行脚
47.稲の季節を待つ大仁農場
七.「おいしい」たべもの
48.「おいしい」たべもの
49.自然農法の価値を生み出す時代
50.あきたこまちの郷から
51.日本の秋
52.ゆるしと食べもの
53.新しい米の世界を拓く
54.フクシマから未来へ
八.米の力
55.米の力
56.家族農業のすすめ
57.少年の夢
58.幸運を伝える育種材料!?
59.ウイーン再訪
60.大仁農場と農業大学校の若者たち
61.種はいのち——黒船異聞
62.球磨の里から
63.マザー・テレサからの贈り物
64.陸羽一三二号
九.新しい時代の食べ物と農業に向かう姿勢
65.新しい時代の食べ物と農業に向かう姿勢
66.善いことがしたい
67.中国苗族の棚田を訪ねて
68.トンボ飛ぶ田んぼからの音信
69.良寛の心宿る越後平野から
十.天、共に在り
70.天、共に在り
71.国際家族農業年
72.赤とんぼの郷
73.コロナ禍後の時代
74.因幡(いなば)の国から
十一.いのちと自然と食べ物
75.いのちと自然と食べ物
76.東日本大震災から10年
77.ヒマワリに声をかける
78.桃太郎伝説の郷から——農家とともに種をつくる夢の始まり
79.チンパンジー研究者ジェーン・グドール博士の夢
80.ブナガヤの村から稲の復活をねがう ——大宜見農場における稲の育種
81.杜の都、仙台から——東日本大地震を乗り越えて
82.北の国から
83.花より団子?!
84.育種学と育種
あとがき

[担当からのコメント]
かつての日本には理想的な循環型社会が根付いていましたが、近代化の波とともにそうした風景は失われてしまいました。本書は、そうした近代化や物質的な豊かさというステージを経て現代を生きる私たちが、いのちに不可欠な農業といかに向き合っていくかを考えるうえで、とても参考になる内容になっています。ぜひご一読ください。

[著者プロフィール]
中井弘和(なかい・ひろかず) 1939年福井県武生市(現、越前市)生まれ。 農学博士(1978年)。専門は「植物育種学」。 1965年、東京農工大学農学部卒業。同年京都大学大学院農学研究科修士課程進学、 博士課程に進み1967年11月同中途退学。12月より京都大学助手農学部付属農場勤務。1969年より静岡大学農学部に移り助手、助教授を経て1989年教授。 1995~1999年、静岡大学農学部長 2000~2004年、静岡大学副学長 2005年定年退職、静岡大学名誉教授 1979~1982年、国際原子力機関・世界食糧農業機関共同部門遺伝育種班・派遣専門家(オーストリア・ウィーン、バングラデシュ・マイメンシンにおいて非常勤で働く。) 1998~2001年、日本農学アカデミー副会長 2000~2019年、棚田の修復と自然農法による稲つくりの学びの場・清沢塾長。 2009~2019年、公益財団法人『FNCA(アジア原子力協力フォーラム)突然変異育種プロジェクト・リーダー 2019~2022年、静岡英和学院院長 現在、公益財団法人『農業・環境・健康研究所』技術顧問。社会福祉法人『静岡いのちの電話』理事長。中等高等少年院『駿府学園』非常勤講師(情操講話担当)。SBS(静岡放送)番組審議委員会委員長。 著書、『米と日本人』(編著)(静岡新聞社、1997年)、「生命(いのち)のかがやきー農学者と四人の対話』(野草社、2006年)他。

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