茶と隠元禅師──その思想と中国文化から「煎茶道」を深める

(著) 岡田皎上月

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作品詳細

[商品について]
―中国の長い歴史と智慧が凝縮した煎茶道を、堪能する―
茶の湯文化とは異なる独自の精神を持った煎茶道は、これまで多くの文人に愛され、また庶民にも親しまれてきた。そのルーツは中国の優れた喫茶文化である文人茶にあり、江戸時代に隠元禅師らによって伝えられて日本に煎茶道という新たな喫茶文化をもたらした。本書では、黄檗皎上月流家元である著者が、中国の歴史と喫茶文化をたどり隠元禅師と弟子たちの生き方を繙きながら、煎茶道の精神をより深めるための考察を行っていく。第25回日本自費出版文化賞・研究・評論部門入選作品、待望の電子化。

[目次]
はじめに――茶の効用と喫茶の始まり――
第一部 煎茶道・隠元禅師と『茶禅一味』 ――雪中煮茶とその弟子達
第一章 隠元禅師の伝えた黄檗文化
第一節 香炉に線香を立てる
第二節 隠元禅師の放生運動と本の版行
第三節 隠元禅師が伝えた食材 普茶と円卓作法
第四節 隠元禅師らが伝えた文化
第五節 民衆のために生きた黄檗僧 鉄牛・干呆・月海
第二章 煎茶道につながる中国で生まれた文化
第一節 「土器の発明」が人類の文明を大きく発展させた
第二節 中国新石器時代の文化
第三節 煎茶道の設えに使う文人趣味 古器物・玉器・青銅器
第三章 中国で生まれた茶 日本に伝来
第一節 中国における喫茶文化の始まり
第二節 唐代中国では喫茶文化が全土に広がる
第三節 喫茶文化 日本への伝来
第四節 隠元渡来――日本に煎茶文化を伝える
第四章 隠元の茶と「茶禅一味」
第五章 隠元隆琦の雪中煮茶
第一節 文人の極み 雪中煮茶 白居易に始まる
第二節 隠元禅師主催の雪中煮茶とその弟子達
第三節「雪中煮茶とその弟子達(十一人の文人僧)」の茶会から今日何を学ぶか    「黄檗日中文化芸術祭」茶会
第四節 中国文人達に通底する「志高く清貧に生きた」隠元禅師達の生き方
第六章 中国時代の隠元禅師
第一節 幼少時代から成人まで
第二節 万里に父を尋ねる
第三節 隠元古黄檗山において鑑源禅師のもとで出家
第四節 古黄檗山萬福寺住持をする
第五節 隠元日本に渡る
第七章 隠元禅師ゆかりの地 福建省での文化交流
第一節 福清古黄檗山萬福寺を訪ねる
第二節 廈門(あもい)虎渓岩寺(こけいがんじ)を訪ねる
第三節 中日黄檗文化「内藤香林・陳秀卿書画展」
第四節 写真で見る煎茶会の様子と世界遺産の旅 福建土樓・コロンス島
第八章 河南省遺跡巡り 鄭州市登封
第一節 世界遺産「嵩山」「天地の中・聖なる山」を訪ねて
第二節 禅宗の発祥地
第九章 煎茶道の設えと書
第一節 煎茶道の設え盛花・盛物
第二節 読んでおきたい漢詩
第二部 中国の文化・日本の文化について
第一章 中国の歴史は「民族融合の歴史」
第二章 日本の文化について
第一節 日本文化を生み出した日本の地理的条件と自然環境
第二節 海を要塞として育った日本の基底文化
第三節 日本の国のはじまり 平和的に合意した連合政権
第四節 国のはじまり 聖徳太子 和(わ)をもって貴(たっと)しと爲(な)す
第五節 日本文化はかつて大陸にあった
第六節「煎茶文化」を振りかえって
書の解説
日本・中国年表
参考文献
あとがき
著者略歴

[担当からのコメント]
お茶は私たちにとっても馴染みの深い文化ですが、知れば知るほどその奥深さに驚かされます。本書を通じて、茶道とは異なる煎茶道の魅力を多くの方に味わっていただければ嬉しく思います。

[著者略歴]
岡田皎上月(おかだこうげつ・さつき(本名))

一九四七年、三重県津市白山町生。煎茶道黄檗皎上月流家元(未生流・直田斎紗月木甫)。玉川大学文学部と地元短大保育科卒。十代後半より茶道・華道・油絵を始め、四〇代より煎茶道を始める。
油絵を福島隆寿に師事、美術仲間とヨーロッパ(スペイン・フランス・イタリア等)を旅しその芸術や文化に触れる。夫の在外研究でアメリカに滞在。アートカレッジで短期留学、絵画の友や現地の人々と茶文化交流をする、佐藤秀苑に水墨画を師事。中国黄河流域の遺跡巡り・桂林・雲南省スケッチの旅・江蘇省煎茶の旅。
福建省福清・廈門で煎茶文化交流
第二代太田玄鶴、仙石一恵に煎茶道を師事。村上玉松に古美術を師事。

著書
『煎茶道 黄檗皎上月流 巻一』(合同会社クリエテンドク戸村由男)
『転読さん』(岩崎書店二〇〇五年刊)第一〇回NPO法人日本自費出版グラフィック部門賞賞・『珊瑚礁の美ら海―珊瑚礁五億年の歴史と沖縄・海底だった大陸アメリカ紀行』冊子・『静かな海』・『いのちの花』・『おそろしい星』詩人くにさだきみと共著。詩画集『自画像』・『神経伝達物質』詩人大島元と共著。いずれも挿絵担当。
『煎茶道・隠元禅師と茶禅一味』二〇二二年初版。制作KKアジア太平洋観光社・デザイン青城・印刷KK堀越 第二五回NPO法人日本自費遺出版文化賞・評論・研究部門入選。

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