西アジア・シルクロード サーベイ紀行──かつて東京大学イラン・イラク遺跡調査団と共に中近東一帯を走破したときジャーナリストが残した当時の映像と記録

(著) 鵜飼宏明

Amazon

作品詳細

[商品について]
―アラブ語でお茶はチャイ。では、水はなんと言うでしょうか―
1、マイ  2、ティチ  3、ミー
正解は、本書 第1章6節「アラブ語のイロハ」をご覧ください。
本書は、1965年6月から翌年3月にかけて行われたイラン・イラクの遺跡調査に参加した放送記者の鵜飼宏明氏が、調査団とともに西アジア諸国の遺跡を巡った旅の記録である。人類最古の文化都市バビロンの遺跡やトルコへ向かう道中のウガリットの遺跡、1961年以来発掘を開始したチャタル・ヒュユーク遺跡など、様々な遺跡に足を運んだその道中は、決して楽なものではなかった。タイヤが泥にはまったり、鼻血が止まらなくなったり、シリアでクーデターに出くわし銃を突き付けられたりしながらも、シルクロード西域の姿を臨場感あふれる筆致で描いた波乱万丈の紀行ガイドブック。

[目次]
序文
はじめに―現代と六千年の美の歴史をたずねて
第一章 テル・サラサートの生活
テント村での歓迎第一夜
世界各国の遺跡調査団
テル・サラサートでの生活
調査団のメンバー
アラブ人気質
アラブ語イロハ
イスラム教の戒律
恵みの雨
アラブ人の家族
夜の生活とたのしみ方
第二章 メソポタミア平野を下る
夜半来の風雨騒動
タイヤが泥にぬめり込む
モールス市に入る
スーク(市場)をのぞく
チグリス河沿いの古跡
ハトラ、アッシュール、サマラ
第三章 バグダッドの都
今はむかしのアラビアン・ナイト
今日の新生イラク
市中からバビロンの遺跡へ
アラブ式対応の仕方
計算に手まどる
セスタの制度と由来
街のたたずまい
禁酒の国の裏通り
発掘品を二国間にわける
第四章 シリア砂漠を越えてヨルダンへ
ゼネラル・サーベイへ出発
最初の小事件
ルトバの夜から国境へ
ヨルダンへ入国
自動車の接触事故
首都アムマンの修理工場
ヘジャーズ鉄道に沿って
神秘の隊商都市
第五章 死海とその周辺
死海の水の味
『死海の書』の発見
聖都エルサレムに入る
旧市街のたたずまい
破壊された旧ユダヤ人墓地
鮮やかなモザイク古地図
ドルメン探索行
C14による年代測定
ジェラシュの遺跡
第六章 レバノンの雪と太陽
ベイルートの女
自由都市ベイルートの歴史
滞っていた雑務を整理する
レバノンの諸遺跡
古代ビブロスのあと
バールベックの神殿を見る
白ブドー酒の一夜
第七章 東西の十字路・シリア
クーデターの発生
再開されたラジオ放送
日本への情報経路
やっと出た外出許可
オマイヤッド・モスクを見る
ダマスカスを逃げ出す
古代都市パルミュラの展望
女王ゼノビアの一生
アレッポへ到着
第八章 トルコに見るヘレニズム
〝ようこそ緑の国へ〟
やっとの思いでトルコ領へ
トルコと日本人
ヘレニズムの影響
地中海沿いの古跡
コリコスの乙女城
第九章 アナトリア高原で
まるで別世界の高原地方
千夜一夜教会の谷
古都コニアにて
新しい遺跡チャタル・ヒュユーク
新生トルコの首都アンカラ
ヒッタイト博物館
街なかの人肉市場
第十章 謎のヒッタイト文明
ボアズキョイの城砦
ヒッタイト芸術の独特な味
村の婚礼式に出合う
天下の奇勝地
小疲労と小休止と
悪路に悩まされて断念
チグリス、ユーフラテスの上流
三たびシリア領を横断
なつかしいテル・サラサートへ
世界文化の源流・伝播の地/西アジアのシルクロードを体験的に語る 座談会 西アジア、その多層的文化と美
■西アジアとの出合いと体験
■西アジアの興亡と美術的特徴
■体験的西アジア像とは
■日本と西アジア
脚注と年表――西アジアの理解のために
あとがき
著者略歴

[出版社からのコメント]
西アジア諸国の遺跡を巡る旅を記した本書には、イラク北部にあるテル・サラサートでの生活やアラブ人の気質の紹介、イエス最後の祈祷の地 ゲッセマネの園が広がる聖都エルサレムなど、簡単には旅ができない地域での出来事が紀行風に書かれています。著者たちが出会った人や街についてたくさんの情報が盛り込まれて、まるでともに旅をしているかのようなひと時が味わえる一冊となっています。

【著者略歴】
鵜飼 宏明(うかい・ひろあき)

1930年 京都市に生まれる 
1948年 旧制第三高等学校文科丙(フランス語科)を修了
1953年 新制東京大学第1期生として文学部ドイツ文学科を卒業

経歴:
放送 JOKR(ラジオ)からTBSテレビで番組制作 ~1979年
舞台 DANCE THEATER CUBICで創作活動 台本&演出 ~1991年
教職 淑徳短期大学/日本女子体育大学の非常勤講師 ~1997年
評論 現代舞踊を中心とする創作作品の批評と審査 ~2013年
以上ダンス関係の仕事にはペンネーム日下四郎(くさかしろう)を用いた。

【主な著作と作品】
●鵜飼宏明名の著作
『太陽と砂との対話:西アジアのシルクロード』(1983 里文出版)
『東京大学・学生演劇七十五年史:岡田嘉子から野田秀樹まで』(1997 清水書院)
『さすが舞踊、されど舞踊』(2005 文芸社)
『ナナとジャン : 昭和20年代が生んだ青春の譜 上下巻』(2016 青風舎)

●日下四郎名の著作
『モダンダンス出航』(1976 木耳社)
『竹久夢二の淡き女たち』(1994 近代文芸社)
『現代舞踊がみえてくる』(1997 沖積舎)
シリーズ『ダンスの窓から』(2003−2012全3冊 安楽城出版)
翻訳本『ルドルフ・ラバン』(2007 大修館書店) その他

●ビデオ制作(全6巻 各1時間 台本・演出および解説パンフレット)
『第1巻 開拓期の人々』~『第6巻 戦後世代の展開』(1988-2005CDAJ)

新刊情報