麦畑の記憶

(著) 西村惇子

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[商品について]

―ひとりの女性の中にある戦争の記憶と、芸術・音楽に彩られた日々―

学徒動員令で働いていた工場でB29の爆撃に遭い、怪我をした友人を置き去りに逃げ惑った苦い記憶が心に残る「麦畑の記憶」、幼い頃の浴衣をワンピースに仕立て直してくれた母の記憶とともに和服から洋服へと変化する敗戦後の生活の情景を綴った「浴衣のワンピース」、若き日に出会ったメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲の優美な旋律から、年を重ねるに従い心を捉えるようになったシューベルトの甘美なやさしい哀愁まで、愛してやまないクラシック音楽をつれづれに思う「音楽に憩う」など、35編のエッセイを収めた珠玉の随想集。



[目次]

麦畑の記憶

麦畑の記憶

『夏の花』を読む

春の風

惑いの春

思い出を紡ぐ

「きもの」つれづれ

思い出を紡ぐ

私の油絵手帳より

ルドンの花

ルオーの娼婦

萬鉄五郎の風景

小出楢重の静物

デュフィの青

鏡と私

小さな旅

劇場にて

三谷幸喜版『桜の園』を観る

デヴィッド・ルヴォーの『マクベス』

井上ひさしを追いかけて

笑いを求めて

音楽のたのしみ

音楽に憩う

モーツァルトの顔

日曜日のピアノコンサート

小さな教会で開かれたチェロ・コンサート

日々の想い

原子力発電の危うさ

日本人の「神さま」

やさしい神さま

さくら

お月さまの嘆き

おにぎりのある食卓

「おせち」作り

下駄の音

織部焼の小擂り鉢

米酢と蜂蜜のカクテル

丸谷才一の遺稿『茶色い戦争ありました』

あとがき



[担当からのコメント]

かつて親が子どもに語り聞かせたようなとわずがたりの趣を楽しめる本書。しかしそこには、体験した者の心にぬぐい難い記憶を残す戦争の影が見え隠れします。一人の女性の人生の記憶を辿りながら、今を生きることや平和についても考えたくなる作品です。ぜひご一読ください。



[著者プロフィール]

西村 惇子(にしむら・あつこ)

1931年(昭和6)生まれ

1954年(昭和29)大阪大学文学部文学研究科(社会学)卒

1937年以来、大阪府豊中市在住

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