泉寔作品集 時の流れをみつめて

(著) 泉寔

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作品詳細

「卒業も間際の三月のはじめ、夜中に火事のサイレンが街の方から下宿にまで聞こえてきた。起きだすのもおっくうな寒さで、その晩は眠った。翌日街に出てみて「ヒラツカ」が炎上したことを知った。古い木造ながら、街の中心に個性をむきだしていたあの店はなくなっていた。その焼け跡を目の前にして、その時われらが青春も終わりかという思いが込み上げてきた。」(本文より)

わたしの歴史の影法師——一個人の追憶と郷愁を綴った作品集。
本書は二部構成となっている。前半の「さらば青春」は、進路に悩み、悪戦苦闘した作者の青春時代の追想記。そして後半の「私のなかの旧別子」は、日本の近代化の原点のひとつで、作者の郷里である旧別子村の探訪記となっている——流れ去った時間のなかに、新たな時代を拓く鍵が、きっとある。

【著者プロフィール】
泉 寔(いずみ・まこと)
1936年10月12日 愛媛県新居浜市に生まれる。
東北大学文学部美学美術史学科卒。
愛媛県立砥部高校を振り出しに、松山南高校、三島高校に勤務。新居浜市立商業高校に移籍、県立移管後も同校に勤務。1996年3月退職。
新居浜工業高等専門学校教授(1996年4月~2000年3月退職)。
著書に
『私のなかの旧別子』(1994 近代文芸社)、
『さらば青春』(1996 創風社出版)、
『子規の文学―短歌と俳句』(2002 創風社出版)、
『心理小説研究序説−ヴァージニア・ウルフの作品解釈を中心として』(2011 文芸社)
『田舎教師のうた』短歌集(2019 愛媛新聞サービス・センター)
など

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